第1074号 「銭形警部」は存在しない!
統一地方選の裏で、旧NHK党の茶番とも言えるゴタゴタが連日、ニュースを賑わせています。民主主義の虚をついたやり方は、政治の劣化という一言で片づけられるほど簡単な問題ではありません。
とりわけ、ガーシー容疑者の問題は深刻です。参議院議員を除名になった途端に逮捕状が出され、国際指名手配される見通しですが、実は逮捕にまでには大きなハードルがあります。
◆検挙率4%
私は、7日の内閣委員会で、谷公一国家公安委員会委員長と警察庁に対し、国外逃被疑者と国際指名手配の現状について質しました。
そこで明らかになったのは、海外への「逃げ得」の実態です。
令和3年中の国外逃亡被疑者の数は693名ですが、検挙数は28名にとどまっており、わずか4%です。現在、国際指名手配がかかっているのは概ね130件で、検挙数は明らかにされませんでしたが、おそらくはごくわずかな数でしょう。
これだけ低い理由として、国境を越えた捜査の壁があります。
国際刑事警察機構(インターポール・ICPO)を通じた指名手配と聞くと、何やら凄い組織の凄腕警部が派遣されて、もはや容疑者は逃げきれないというイメージがあるかもしれませんが、そのような凄腕警部の派遣は存在しません。ルパン三世に登場する、「銭形警部」は存在しないのです!。
また、日本で発付された逮捕状は、例えばUAE(アラブ首長国連邦)国内では効力を持たず、日本の逮捕状を根拠に、海外で身柄を拘束することは出来ません。
結局、国際指名手配をかけたとしても、各国警察による情報の共有や、容疑者への心理的プレッシャーといった、間接的な効果しかもたないという限界を警察庁は認めました。
◆UAEってどんな国
ガーシー容疑者については、UAEに潜伏しているとされることが、さらに問題を複雑にしています。 まず、日本と犯罪人引渡条約を締結しているのはアメリカと韓国だけで、引渡についての条約上の義務がありません。
また、UAEは逃亡被疑者にとって様々な抜け道を使って滞在が可能な「パラダイス」であることも指摘されています。
日本政府は、ガーシー容疑者にパスポート返納命令を出していますが、例え日本のパスポートが失効しても、即、日本に強制送還になるわけではありません。
ガーシー容疑者はUAE国内で、通称「ゴールドカード」と呼ばれる、長期滞在が可能となるビザを既に取得しているとの情報もあり、合法的に滞在が可能なら、日本の警察が手を出せない状況が続きます。ガーシー容疑者の余裕の態度の裏には、こうした事情があるのです。
◆「逃げ得」許さず検挙を
日産自動車元会長のカルロス・ゴーンが、保釈中に海外に逃亡してからすでに3年以上が経過していますが、こちらも全く身柄拘束される見込みは立っていません。
容疑者が悠々と海外で逃亡生活を送り、動画配信などで人を馬鹿にしたような態度を取り続けることを決して許してはいけません。
私の国会質問を受けてというわけでもないでしょうが、最新の報道では、近々日本からUAEに捜査員が派遣されて、現地当局に捜査への協力を求める方針であると報じられています。
容疑者に決して「逃げ得」を許さないためにも、単に国際指名手配をかけてそれで一件落着とするのではなく、警察の現場のみならず、外交ルートなどあらゆる手段を尽くして、粘り強く検挙を図る姿勢が求められています。
スタッフ日記「ルール変更の脅威」
2023年度、メジャーリーグでは大きなルール変更されたそうですが、選手達から大きな批判が起きているようです。
いくつか変更はあるのですが、最も大きなものは「守備シフトの禁止」そして「ピッチクロック」の2つです。
守備シフトの禁止とは、右打者や左打者に対して内野手は外野によって守備位置を移動するなどシフト変更することができなくなるということです。
またピッチクロックとは、投球開始までの時間制限です。つまり投手は決められた時間内に投球開始しなければならず、これを超えた場合1ボールがカウントされてしまうのです。
これによって、2ストライク3ボール、2アウト満塁1本ヒットが出れば逆転の場面、集中力を高めて1球を投じるため、投手が長い時間をかけてバッターと駆け引きしてしまうとピッチクロックに引っかかり打者進塁、そして逆転され試合終了という場面も出てくることになります。
このようなルール変更に左右されるというのは、政治の世界でも同様にあって、2017年第48回衆議院総選挙、この選挙で小選挙区の区割り変更により、ここ奈良1区は奈良市に加えてお隣の生駒市を選挙区に含むことになりました。 昨年12月28日から「10増10減」が施工され、また区割り変更が行われましたので、このルール変更に悩まされる人も出てくるのでしょう。
野球の話から逸れてしまいましたが、ルール変更の脅威、皆さまもお気をつけを!(テン)