第1066号 税収最高なのに、増税?

2023年2月4日 (土) ─

 通常国会が開会し、来年度予算の審議がスタートしました。

◆「おぬし、悪よのう…」
 今国会は何といってもこのタイミングで大幅増税が必要か?が審議のポイントです。

 政府は、防衛費増額や少子化対策でお金が足りないので増税が必要という理屈ですが、本当にそうなのでしょうか?

 実は、昨年2021年度の国の一般会計税収は過去最高を記録しています。しかも過去最高は2年連続で、2020年度より約6兆円も増えているのです。防衛費倍増には年間5~6兆円程度増額が必要ですが、すでにその分の税収が確保される計算です。

 さらに、今年2022年度の税収も3年連続で過去最高になると見込まれています。

 つまり、国民が取られるお金はすでにうなぎ上りに上がっているのです。時代劇でたとえて言うなら、今の政府は、年貢が高いのに問答無用にさらに農民から搾り取ろうとする悪代官のようなもので、まさに「おぬし、悪よのう…」の世界です。

◆ステルス増税!
 個々の税の税率を上げる増税はまだこれからですが、実はすでに目に見えない「ステルス増税」は始まっています。それが消費税です。

 消費税は所得税や法人税と違って、モノやサービスを買うたびに発生し、値段に応じて10%分上乗せで払わなければなりません。つまり、物価が上がると自動的に消費税の支払額も増える仕組みで、月々取られる金額は確実に上がっていきます。

 例えば今まで100円だったものが110円に値上がりすれば、支払う消費税は10円から11円へとアップします。支払総額では110円から121円になります。これが日々の全ての買い物に発生するのですから、積もり積もれば大変な増税となります。賃金がロクに上がらない中、支払額だけが上がっていくのですからたまりません。

 結局、物価高で値上がりした商品に対して支払うお金は、売り手の利益や労働者の賃金だけに回っているのではなく、しっかり国に収める税金にも回されているのです。すでに税収のうち最も多いのは消費税で、全体の約3分の1を占めています。物価が急上昇している今年度は、さらに消費税収は増えることになるでしょう。

 このステルス増税を国会審議も法律改正も無しに出来るという点で、つくづく、消費税は徴収する国にとって都合が良く、庶民にとっては苦しい税であることが分かります。

◆個人だけにしわ寄せか
 足りないから増税、しかも増税ターゲットは賃金が伸びない個人という政策を続けていては、いつまで経っても経済の好循環は生じません。

 税収が過去最高となった原因の一つに法人税収の増加があります。個人がステルス増税と実質賃金の低下で苦しめられる中、大手輸出企業には過去最高の利益を上げる企業が続出しています。つまり、負担する余裕のある企業は確実に存在するのです。

 法人税は昭和末期の42~43%台から今では23%台に引き下げられていますが、法人所得が増えても、それが賃金に回されず、内部留保だけが積み上がっていく今、増税と減税を組み合わせて、負担のあり方を見直していかなければならないでしょう。

 増税ありきではなく、個人だけにしわ寄せが行かないように負担のあり方を見直していくことこそ、予算と税収の議論に必要な視点だと考えます。

 

スタッフ日記「若草山 山焼き」

 天の原 ふりさけ見れば春日なる 御蓋の山に 出でし月かも

 阿倍仲麻呂が唐の明州の地から故郷である平城京の御蓋山の月の出を思い出して歌った歌です。御蓋山・三笠山・若草山、山が三つ折り重なっているため三笠山(みかさやま、みかさのやま)とも呼ばれ若草山の正式名称は三笠山であったそうです。

 その三笠山、若草山で先日3年ぶりに山焼きが通常開催されました。

 当日は雪まじりの燃えにくい天候でしたが、かえって今までとは違った若草山の幻想的な姿を見ることができました。

 また、花火が上がった瞬間、約600発の花火の光で若草山に残る雪が映しだされた時は本当にきれいで素晴らしく、燃えなかった山焼きより開始前の花火に感動されている方がいらっしゃるほどでした。

 近くでその景観を撮影されていたカメラマンの方が山焼きの起源について話されていたので聞いてみると、山焼きは昔、若草山三重目にある、鶯塚古墳(うぐいすづかこふん)から出る幽霊が、山を焼くと出なくなるという迷信が発端だそうです。

 以前は山を通る人が勝手に火をつけていて、それが原因で東大寺境内にも火が迫るようなことがあり、危険なことから、東大寺・興福寺と奈良奉行所が立ち会って山を焼くようになった事から今の山焼きにつながるとのことで、本来は霊魂を鎮める供養のためだったと知り、また一つ奈良の歴史の深さを実感しました。(よっちゃん改めブースカ)

第1066号 税収最高なのに、増税?