□■混沌を愛せよ

2022年12月31日 (土) ─

□■混沌を愛せよ

 怒濤の1年であった。
例年の6割にも満たない本数に法案を絞って、参院選前の争点化を極力避け
ようとする岸田政権。

一方、2月にはロシアのウクライナ侵略が始まり、国際的な安全保障環境は激
変した。

 19年ぶりの大国による直接的な戦争行為は、国際社会を震撼させた。
また、コロナ禍の悪夢も覚めやらぬ中、円安、物価高が進み国民生活は急激
な悪化をたどった。また、コロナは次々に変異し、蔓延を繰り返した。

 安倍元総理への凶行は、その後、旧統一教会問題へと展開し、政治がカルト
集団によってねじ曲げられてきたのではないかという、不安が国民を襲った。

 更には、岸田政権の支持率急落を受けて、「聞くチカラ」どころか正反対の「聞
かないチカラ」の発揮によって、防衛3文書でのいわゆる敵基地攻撃能力、反撃
能力の明文化、5月の閣議決定との合わせ技で、安保法制の大転換を国会審
議なしで、強引に推し進めた。

そして、とうとう、この年末には増税の方向を決定するに到った。

 ある意味、安倍政権よりも強行に、国民的議論を行わずに独断で決める岸田
政権の舵取りに、この国の先行きに「真の闇」を見る思いでもある。

 ネットで話題の、タモリ氏による「新しい戦前」という言葉が、現実味を帯びる不
安を、ネット民のみならず国民が感じている。

 岸田総理は、防衛費増税の前には解散総選挙を行う、とも発言した。
来年は解散総選挙が十分に起こりうると思う。
旧統一教会問題で、ここまで支持率を下げて、解散はないだろうという人も居る
が、むしろ逆だろう。

 臨時国会で救済法案を通した。支持率低下は底を打った。
これが岸田総理の頭の中にあるのではないか。

 閣僚の交代を終えて、来年からは、野党が支持率を上げられない中でジリジ
リと政権支持率を上げられる、解散総選挙を「早駆け」で実施する。

再来年まで引っ張ろうとすれば、政局を仕掛けられる恐れがある…。

 総理の頭の中では、こんな思いが駆け巡っているのではないか。

 従って、来年、早ければ、広島サミット後。
夏前には総選挙のタイミングを計られる事態が、起きると考えておかねばなら
ない。

 想像も出来ない事態。「想定外」という言葉が、かつて危機管理の中で、免罪
符のように使われてきたが、むしろ想定できることの少なさを私たちは、理解す
べきだろう。

 AIやIoTや、と人知を超えた劇的な技術革新が次々に起きてくるだろうが、そ
れでも、私たちが「想定内」と考えることは、まだまだ、わずかでしかない。

 むしろ、有史以来の人類は、常に生存を脅かされながらも、たくましく生き抜い
てきた種が、今日に繋がってきている。つまりは、常に想定外の中で闘い、判断
し、行動してきたのである。

 だから、恐れる必要はない。

常に、時代は混沌に満ちていた。

その混沌の中でこそ、生きぬくチカラを見いだすことができ、また、リーダーたる
ものが、現れてきたのである。

 初当選以来、20年を数えることになる2023年。

何も恐れることなく、歩みを進める。

そして、自らに、言い聞かせる。

「混沌を愛せよ」、と。

□■混沌を愛せよ