第1038号 政権運営のゆくえ

2022年7月16日 (土) ─

 参議院選挙が終わり、次期国会は8月上旬に3日間程度開会された後、9月まで開会されない見込みです。各党内の動きが活発化する夏に入ります。

◆力を増す岸田総理
 参院選では自民党が議席を伸ばして、単独で改選議席の過半数を獲得しました。これで与党内の力関係も自民党の強さが増し、また、党内最大派閥の領袖であり影響力の強かった安倍元総理が亡くなられ、安倍派が集団指導体制へ移行する中、参院選に勝利し、高支持率を維持する岸田総理の党内プレゼンスは高まっています。

 8月下旬にも内閣改造と党役員人事が予想されており、岸田色を強く打ち出す人事で、国政選挙の無い「黄金の3年間」に備えるのではないかと考えられます。

◆「黄金の3年間」に何を目指すか
 多くの重要政策を「検討中」と語る岸田総理が、「黄金の3年間」と称している今後、何を実現しようとするのか見えて来ませんが、私はまずは緊急の経済対策を打ち、その後ウクライナ情勢など国際社会の状況を見つつ、一年少しで解散総選挙を打ってくると思っています。

 憲法改正と密接に関係する安全保障問題は、自民党が野党を批判するため選挙のたびに争点化したい課題です。結論を先送りすることで来年の解散総選挙でも改憲や安全保障を争点にしたい意図も考えられます。現に、与党は今までも一部の野党協力勢力も含めて憲法改正発議に必要な3分の2の議席を確保してきたにもかかわらず、実際には発議しませんでした。

 大規模な経済対策を行いながら、かつての安倍元総理のように解散によって政権基盤をより強固にしながら、財政健全化路線などにシフトしていくのではないかと考えています。

◆立憲-反省を踏まえて
 一方、皆さまのご支援を集めることができず議席を減らす結果となった立憲民主党ですが、ここは厳粛に結果を受け止め、反省し、長期的な党の再建を目指すしかありません。

 8月には参院選の総括を行いますが、今は党内が結束して泉代表を支え、党の進むべき方向性を固めるしかないと考えています。

 泉代表は就任して半年少々であり、短期間で代表の責任を追及し党の姿勢をブレさせては、より大きな失望を招くと考えるからです。なお、私の党内における役職も代表の決定事項であり、どのような形になるにせよ、代表を全力で支えることに変わりはありません。

◆巨大与党とどう戦うか
 今回、獲得議席数では自民党の圧勝ですが、実は比例では2019年参院選からは1議席減らしています。多くの選挙区で野党がバラバラで戦った1人区での前回10勝22敗、今回4勝28敗という結果が、与野党間での決定的な議席差となって表れました。また、野党間での主義主張の多様化から、1議席を比例で獲得するミニ政党も複数あり、比例票の分散も顕著です。

 こうした状況の中、巨大与党と対峙して戦うという姿勢を、野党間でもう一度話し合っていく必要があります。半永久的に与野党が固定するようであれば、民主主義は機能しません。あくまで目標は政権交代です。そのために何が出来るか、今回の反省を踏まえ智恵を絞ります。

 

スタッフ日記「奈良町の夏」

 本格的な夏が訪れ、連日猛暑日が続いております。この暑さの中で、毎年連想する「ならの夏の風物詩」といえば“お地蔵さん”として地域で親しまれてきた旧の街並みの各所で7月23日に一斉に執り行われる、地蔵盆です。

 奈良町の界隈では、細い路地裏の角や、民家のすぐ脇など、古い街並みに溶け込んで各所にお地蔵さんがまつられています。普段何気なく通り過ぎているこの場所に、地域の方が集まり、子どもたちのためのお飾りとお供えが用意され、子どもから大人が一緒になって祈りを捧げる光景を目にすることができます。

 一昨年に行われた奈良市の調査によると、奈良町周辺だけでも50箇所以上の地蔵盆の開催が確認されており、同日にこれだけの規模で伝統的な行事を継承していることに、奈良の歴史的な行事として保存していこうという動きがあります。場所によっては、ピンゴ大会やスーパーボールすくいなど、お祭りさながらの行事として地域の子どもたちにとっても大切な夏の思い出となっています。

 また、大きな寺院や地元の商店街の中にある地蔵盆では、一つのイベントとして、観光資源としての活用も注目されています。近鉄奈良駅から北へ歩くとすぐのきたまちエリアでは、地蔵盆マップをまとめてその日に各所回れるような取り組みがあり、ガイドの案内を伴うツアーを実施するなど、奈良町をにぎわいのある町として、より深く奈良町の歴史や文化に触れられる新たな工夫がなされています。

 これからも、地蔵盆の維持と地域の活性化のため、新しい情報発信をしていくことが期待されてます。(特命係長)

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