第1025号 ゼレンスキー演説と国会改革
23日、ウクライナのゼレンスキー大統領が国会内でオンライン演説を行いました。
◆理性的な大統領演説
ゼレンスキー大統領の演説は、一部事前に巷間で取り沙汰されていたような感情的なものではなく、非常に理性的かつ抑制的な内容で、厳しい状況にありながらも冷静沈着に職責を果たされている大統領の姿が伝わってきました。
大統領は日本の支援への感謝を述べるとともに、日本人の温かい心や平和への価値観はウクライナ人と共通のものだとして、ロシアの侵略を止めさせ、平和を実現するための更なる協力を訴えられました。
厳しい戦禍の中で心静かに語る大統領の演説は、平和主義という日本の国是を維持しつつ、侵略行為に対して連帯して対峙していくという、国際社会における日本の果たすべき役割を示唆するものだったと思います。
◆前例を超えて実現
ゼレンスキー大統領のオンラインによる国会演説については、前例が無いことや、オンライン技術や機材の問題、外交上の立場の問題などを理由として、与野党を問わずに一定の慎重な意見もありました。
しかし、技術的な問題や機材の不足などは些細な問題であり、要は「事なかれ主義」が反対の主な理由であることを国会内で感じていました。私はこの戦時下において、前例に捉われずに切実な生の訴えを日本の国会に届けてもらうことはぜひとも必要と考え、国対委員長として、与党との国対委員長会談で、演説の実現を主張しました。
結果として、与野党で意見がまとまり、オンライン演説が実現したことは国会のあるべき姿として大きな前進だと考えています。今回は、国会内のホールで演説が中継されましたが、本会議場でもこうした演説が可能となるような整備を進めることが必要と考えています。
◆オンライン審議も必要
オンラインを活用した国会運営は、コロナ対策や、災害、紛争などの緊急事態においても問題となります。国会への議員出席は各国で様々な違いがあり、例えばイギリス議会では、開催に当たって事実上定足数が無く、必ずしも全員が出席していません。日本では、総議員の3分の1以上の出席がなければ議事を開き議決できないとの憲法規定がありますが、実際に議員が本会議場に足を運ばなければ出席としない考えと、緊急時などにオンラインを通じての参加も出席として許容できるという考えとに解釈が分かれています。
前者の解釈を取ると、オンライン審議の導入には憲法改正が必要との説に行き着きますが、そこまでは必要ないと考えます。国会議員がしっかりと本会議の内容を理解でき、意思表示できる環境にあるなら、一定の場合には、たとえオンラインでも出席は許容されるべきで、それが社会の流れでもあり、ことさら憲法改正という大きなハードルを課すべきではありません。
今回は、国対が中心となって動き、ゼレンスキー大統領演説が実現しましたが、国会運営は基本的に前例踏襲が多く、時代の変化に合わない運営がまだまだあります。国対委員長として、国民目線で不合理な運営はどんどん改善するように提案していきます。
スタッフ日記 「生駒の山上から」
4月を目の前に、お水取りも終わり、奈良にも本格的な春の訪れを感じる季節となりました。
生駒山上遊園地では先週から冬季の閉園期間を終了し、春の営業をスタートしました。花見客や来園者の数がコロナ禍によって落ち込む中で、今年こそは日常の中のレジャーというひとときが取り戻されることを祈って再開したと、ネットで目にしました。
その歴史は古く、1929年に近畿日本鉄道の前身である大阪電気軌道によって開園しました。同時に生駒ケーブルが生駒山上まで延長され、アクセスが改善されたことと、山上からの眺望と夏の避暑地として当時のドリームランド、あやめ池遊園地に並んで人気のスポットとして発展しました。
また、園内に設置されている飛行塔は、国内に現存する最古の大型遊具で、懐かしさを呼ぶとして隠れたファンからも多いとのことです。昨年には、国内の歴史的土木構造物に対して保存を推奨する土木学会選奨の土木遺産にも認定されました。
2019年からは、国内最大規模の屋外あそび場として「プレイパークいただき」が隣接オープンし、心地よい山のあそび場として生駒山の頂(いただき)で子どもたちが楽しめる最先端のヨーロッパテイストの遊具が人気を集めています。
屋外で子どもから大人まで一緒に楽しめる生駒の山上。桜の花見や、大阪の一望に見下ろせる解放感の中、日常にあるひとときを楽しめる時間が今年は多くなることを祈って、歴史ある生駒山上遊園地に足を運んでみようかと思いました。(特命係長)