第1005号 衆院選総括

2021年11月8日 (月) ─

 衆院選は最終的に自民党が絶対安定多数の261議席を獲得する一方、立憲民主党は14議席減の96議席と敗北する結果となりました。

◆野党に欠けた期待感
 事前の世論調査では、自民党は大きく議席を減らすのではないかと予想されていましたが、結果的に議席は微減に留まりました。事前調査とのズレに関しては、最終盤での自民党候補の追い込みの強力さや、メディアの事前予測の手法の限界などが指摘されています。しかし、結局、野党が実際に有権者に投票所に足を運んでもらって投票して頂く強い期待感に欠けていたことが、自民党との戦いに競り負けた大きな原因だと考えています。

 野党が投票行動の決め手となる期待感に欠けてしまったのは、戦略の失敗があると思います。野党は反対ばかりで対案を示さないという主張は与党の常套句ですが、実際は野党も多くの対案を発表し、国会に法案を提出しています。例えば、新型コロナ患者に対して適応外の医薬品を緊急的に使用できる法案です。また、野党間で合意した消費税の時限的な5%への減税は、決して与党では採用できない政策です。

 こうした、与党と野党の差異を際立たせる政策を早々にイシューセッティングし、野党が政権を担うことで具体的に何が変わるのかを繰り返し国民に訴えることが必要でした。ところが、例えば立憲民主党の選挙公約は選挙直前まではっきりせず、しかも目玉政策を絞らずに分野ごとに小出しに網羅的に発表するやり方を取ったため、メリハリに欠け、国民にとって一体何をやってくれるのかが見えなかったのだと思います。

 結果、現実に政策を進めている与党に消極的支持が流れてしまいました。

◆野党「共闘」の是非
 野党の敗因としてもう一点指摘されるのが、各党の「共闘」が保守層離れを招いたのではないかということです。この点については詳細な投票分析が必要ですが、「共闘」の言葉だけが一人歩きし、あたかもそれぞれの党が一体であるかのような印象を持たれてしまったことはそれぞれにマイナスであったと考えています。

 あくまで基本的に別の理念を掲げる政党であるが、選挙区情勢を鑑みて、与党を利するだけの競合を避けるため、そして消費税減税など共通する政策の実現のため、水面下で候補者調整を行うというスタンスをもっと早くから明確にしておけば、選挙直前になって急遽一体化したなどという印象を持たれることはなかったのではないかと思います。

◆新たな政治勢力結集のために
 いずれにせよ現状のままの野党共闘には限界が見えたのは事実で、国会審議のあり方や重点政策で今までとは一線を画す新たな政治勢力の結集が求められていると感じます。今回の野党敗北を受けて各党が再び殻に閉じこもってしまっては、巨大与党を倒す機会はやってきません。

 来年の参院選までもう8か月しかない今、党勢を立て直し、新たな政治勢力を結集するために自分に何が出来るのかを、仲間と話し合いながら慎重に見極めていきたいと思います。

第1005号 衆院選総括