第994号 感染者10000人の衝撃
29日、新型コロナ新規感染者数は東京で3865人、全国でついに1万人を超え、過去最多を記録してしまいました。
◆切れた緊張の糸
東京はオリンピック開幕後に急速に感染爆発が進む結果となってしまいました。開催との因果関係は検証が必要ですが、東京の街の人出の多さと夜の賑わいを見るに、完全に感染防止の緊張の糸が切れてしまった感があります。
政府は開幕直前になってあわてて東京に緊急事態宣言を再発出しましたが、コロコロとなし崩し的に切り替わる緊急事態宣言とまん延防止等重点措置における要請はメリハリに欠け、国民にとってはもはや何の違いがあるのか、どこまで有効なのかさえ分からない状況になっています。
感染の波を見極めきれず、オリンピック開催ありきでこれまで続けてきた政府の場当たり的な対処が、まさに今の狼少年的な状況を作り出しているのだと思います。このままでは、昨年と違ってお盆休みに大都市圏と地方の往来が活発になり、地方でも感染爆発に陥ってしまう可能性が十分あります。
◆世論分断と対立のおそれ
感染状況と並んで心配なのは、世論の分断と対立による社会不安です。政権や政治の不甲斐なさによる感染爆発の一方で、連日の日本人選手の金メダルラッシュを見れば、自然と気持ちが沸き立ちます。そうした相反する感情の中で、感染防止の議論が両極端に振れ、分断、そして互いの立場への非難の応酬が起きるのではないかと心配します。
医療関係者、データサイエンティストらの科学的合理性のある議論よりも、感情的な結論ありきの非難合戦により政策が左右されてしまう事態は避けなければなりません。冷静に感染の実態を見極め、政策に反映させるべきです。
◆危機感の共有が必要
現在、春の第4波時に比べて重症者や死亡者が少ないことは事実で、治療法にも進歩が見られます。しかし、第5波の感染者ピークはいつになるか見通せず、後遺症についても研究の途上で、40代~50代でも重症化する例が多く見られることからも、決してあなどることは出来ない感染症であることには変わりはないと思います。
ワクチンが有効であることは確実ですが、供給の遅れにより、2回接種した方は28日時点で国民の27.0%にとどまり、今日明日というレベルで全員が接種できる状況にない現状では、第5波に対する危機感を国民が共有し、感染防止に努めて頂くしかありません。
例えばまだ地方での感染爆発が生じていない今のうちに、各県知事の要請を待たずに、率先して総理が全国に緊急事態宣言を発出して、事後的に知事や市町村長の協力をお願いするといった対応が必要です。ただ、すでに政府が国民の信頼を失ってしまっている以上、もう一度緊急事態宣言下で何が必要で何が出来るのか、国民に何をいつまで求めるのかを明確にし、徹底的に説明して理解を得なければ効果は得られないと思います。それが出来ないのならば、もはや菅政権は存在意義を持たず、9月退陣が現実味を帯びると考えます。
スタッフ日記「ゴールドメダルラッシュ」
2020東京オリンピックが新型コロナウイルスの変異株が流行するなか開会式を迎えました。
無観客の国立競技場でのセレモニーに違和感を感じましたが、競技が始まると初日の柔道で高藤直寿が金メダルを獲得したのを皮切りに、安部一二三、阿部詩兄妹、大野将平、スケードボードの堀米雄斗、西矢椛、水泳の大橋悠依、そして新競技の卓球ミックスダブルス水谷隼、伊藤美誠、競技が始まって3日間で早くも8個の金メダルを獲得しました。
この先の競技を考えると、1964年東京、2004年アテネでの16個の金メダルを大きく超 える益々のゴールドメダルラッシュを期待したいと思います。また、銀メダル5個、銅メダルも5個と見逃せない選手の皆さんの頑張りに、私も大変楽しませて頂いております。
一方、新型コロナ感染は第5波を迎え、その拡大の時期とオリンピックが重なってしまいました。非常事態宣言やまん延防止等重点措置など繰り返し発出されるだけで、酒類を提供する飲食店だけを悪者扱いの狙い撃ち、酒屋さんや飲食店からの悲鳴だけが聞こえてきます。
一旦店を閉めてしまうと改めて開業するには大変な労力が必要です。アルバイトを含めた従業員の生活の保障、家賃や材料などの購入資金等、本当に困っている人達にスピード感を持った対処をしていただきたいと思います。また若者の感染拡大が深刻です。ワクチンの一刻も早い接種も必要です。
何れにせよ、私はテレビ観戦です。今夜は女子ソフトボールの決勝戦、一杯やりながら楽しみたいと思います。ガンバレ日本!!(スギ)