第965号 緊急事態宣言再び
7日、菅総理は東京都など1都3県に緊急事態宣言を発令しました。近畿でも大阪府などが発令の要請を決定しました。
◆骨抜きの宣言内容
感染状況は深刻です。昨年4月の緊急事態宣言発令時は、東京都では1日あたりの感染者数ピークが約200人だったのに対し、今は2000人を優に超え、10倍以上の感染リスクが生じています。
それにもかかわらず、緊急事態宣言の内容は大幅に後退し、広範な休業要請や休校要請は行われず、飲食店への時短営業要請やテレワークの呼びかけなどに留まっています。さらに、海外からの入国者の受け入れは継続する方針が示され、水際対策の点からも全く不十分なままで、専門家からは感染者の大幅な減少は見込めないとの意見も聞かれます。
実際、緊急事態宣言が発令された翌日8日も、東京都内の朝の通勤ラッシュの時間帯は、前日までと変わらない満員電車の密状態でした。政府がテレワークで出勤者7割削減を打ち出しても、それを実現する具体的方策も支援策も示されなくては、机上の空論に過ぎません。また、飲食店も今回は時短要請には応じられないと明言する店舗も少なくありません。もはや、要請だけで十分な効果を発揮することは難しいと考えられます。
◆今からでも出来ること
これからの対策は、なぜこのような緊急事態を再び招いたのかを踏まえて行うべきです。医療面では、無症状者が他人に感染させるという新型コロナ最大の特徴から目を背け、症状が出た方や濃厚接触者に行政検査を絞ってきたやり方の破綻がついに明らかになったと言えます。
一般的な国民へのPCR検査の大幅拡大は再三再四政府に申し入れてきたところですが、いまだ実現していません。ここを変えない限り、一時的に感染者が減少したとしても、さらに大きな波となる今までの感染状況が繰り返されていくだけです。
経済活動との関係では、飲食店での会話が感染の最大の要因とされています。単なる時短要請で会話はそのままでは効果は見込めません。飲食店でも1人客の受け入れなら夜でも可とすること、食事中の会話自粛の徹底等をガイドラインとして示すなどの工夫が考えられます。
また、テレワークについても、社内で整備を進めようとする中小企業に大幅な補助金を出すなど、長期的な支援策に切り替えていくことが必要です。
◆最悪の事態も想定して
そして、新型コロナ感染防止に最も効果的な方法は、結局、人と人との接触を減らすことに尽きます。すでに国内でも感染力の強いウイルス変異種が確認され、感染状況も欧米に近づきつつあります。今後、骨抜きの緊急事態宣言で効果が見られない最悪の事態も想定しておくのが政治の責務です。その場合考え得るのは世界中で実施されているロックダウン(都市封鎖)です。
ロックダウンの程度は国によってさまざまであり、日本の現行法制では、欧米型の厳格なロックダウンを行うことは不可能ですが、今まで議論を敢えて避けてきた感のあるロックダウンの是非、どの程度の制約が許容されるのかについても、逃げずに議論すべき状況に来ているのではないかと考えています。
スタッフ日記 「2021年を迎えて」
今年の年末年始はコロナ禍による自粛の中、まぶち事務所としても、例年にない静かな正月となりました。
新型コロナウイルスが猛威を振るう中で過ごすこととなった昨年。連日の報道から収束はいつなのかと不安を感じながら、ついには年越しを迎えて、今日においても見えない脅威との闘いは続いています。
8日には、東京を中心とした感染拡大による2度目の緊急事態宣言が発出され、抑えきれない感染拡大に、国と地方が一丸となってこの一年を乗り切れるかどうかがいま問われています。
当たり前の生活が一変してから、人と会って話すことさえ避けるようになってしまった日々に、それでも政治そのものが自粛することはありません。むしろ、商店街や街中を歩けば、こんな時だからこそ多くの声が聞かれます。緊急事態宣言対象地域ではない奈良でも、政府が推し進める政策に対する厳しい意見もあります。
商店街の方からは、国難の時だからこそ政治家ができることに大きな意味があり、国民の生活を守る職務を全うできる時だと、そう仰っていただき、私も身を持ってこのコロナと闘い続ける一年を覚悟しているところです。
社会制度そのものを変える政治の力が、残されている最後の砦だと信じて、一つ一つできる事を模索していく一年。目の前の国民の生活に寄り添う歴史的な局面に、政治家がどう行動するか。今年一年が、収束へ向けての一歩となるよう、地域を担うその力の一助ろなれるよう努めて参ります。みなさま、どうぞ今年一年も宜しくお願い致します。(特命係長)