第954号 まだ消えぬ早期解散
◆臨時国会日程
10月26日召集が決まった臨時国会は、菅総理の所信表明に始まります。その後、各党代表質問、翌週には予算委員会が開かれる予定です。法案は約10本程度とされ、早期に成立が求められるのが公務員賞与の引き下げを求める人事院勧告に基づく給与法改正とイギリスEU離脱に向けて関税の激変を防ぐための日英の2国間貿易協定の見直しなどです。これらに加えて新型コロナ対策関連もあると言われていますが、何か他に重要法案があるかと言えば、今以て報道には上がらない状況です。国会運営に影響を及ぼす皇室日程と外交日程も、立皇嗣の礼が11月8日に決まり、また豪首相の訪日も未だ調整中ということは、まだまだ早期解散の目がなくなったとは言いがたい気がしています。
◆実質の密室談合選出
菅総理の誕生は、安倍総理の辞任表明を受けていち早く二階幹事長と菅官房長官が動いて菅総裁候補支持の流れを作り、あっという間に二階派、細田派、麻生派、竹下派、石原派の5派閥が菅支持で固まり大勢を決したことにあります。小渕総理が倒れ森総理が誕生した時のように、具体的に密室談合が行われたと報じられるような場面はありませんでしたが、事実上水面下での調整無くしてあのような流れが生まれようはずがありません。菅総理は実質、5派閥の密室談合によって誕生したといって過言ではないでしょう。
こうした中で菅総理が誕生しましたが、派閥を持たない総理の政権基盤は脆弱です。組閣党人事は派閥に配慮した形となりましたが、政権発足後の高い支持率が続くかどうかはわかりません。解散のタイミングを逃して来年の9月の総裁選を迎えれば、5派閥の長によって、それこそ交代を余儀なくされることも十分に考えられます。菅総理が政権基盤を強化しようとするならば、その方法はたった一つ、それは総理の専権事項である解散総選挙であり、そこで勝利する以外にないのです。
◆流される「解散は遠のいた」
菅総理の就任早々、学術会議任命拒否問題で、あっという間に政権支持率は7ポイントも下落しました。菅総理の手法に強権的な姿を垣間見た国民の率直な気持ちの表れと考えられます。このような状況で、盛んに政権のスポークスマンのような政治評論家や報道解説委員、論説委員たちが選挙は遠のいた、来年の秋ではないかと語り出しましたが、まだまだわからないと思っています。
支持率の下落により、早々に解散に持ち込まないと政権が持たないと総理が焦ることも考えられますし、臨時国会の会期が12月5日までの41日間という短期間に方針が固まったことは、法案審議の充実よりも、解散に打って出る可能性を残すものです。年内であれば、11月20日の解散、12月1日の公示、12月13日の投開票。年明けにずれたとしても、年度内成立は無理でも連休前までに令和2年度予算を成立させようとすれば年始早々の通常国会召集、解散、1月19日公示の1月31日投開票の選挙が必須となります。
このコロナ禍で選挙をやってる場合か!との国民の怒りもよくわかりますが、菅総理は権力の強大さとその使い方をよくわかっていると思います。よって私は、総理が、早期に解散を打ってくる可能性をいまだ否定できません。準備を進めます!
スタッフ日記 「坪枯れ」
稲刈りが始まり、普段だと黄金色に輝く景色が、今年は少し変だなと感じておられる方もいらっしゃると思います。田んぼの中に、直径4~5mの円形の黒くなった稲の立ち枯れが二つ、三つ、あるいは半分以上が黒く枯れている田も多く見られます。
「坪枯れ」と言われ、今年は病害虫のトビイロウンカによる水稲の被害が拡大しているとのことです。近所の人に聞いても、ウンカの被害は多少経験しているが、これほど酷いのは初めてで、いまだに被害が拡大しており収穫の目途もたたずどうしようもない、と大変お困りのようでした。
トビイロウンカは梅雨の時期に偏西風に乗って中国南部や東南アジアから飛来し、稲の茎から水分や養分を吸い、枯死させてしまいます。今年は梅雨が長引いたことが原因とみられています。8月7日に福岡県で警報が発令され、46カ所の水田で実施した調査では10株あたりの成、幼虫数は194.8頭と2019年の3倍以上と多く、長梅雨とその後の猛暑によって卵がふ化するまでの時間が短くなっている可能性があると言われています。
作況指数は九州が96(やや不良)、近畿が99(平年並み)との数字が出ていますが、奈良県内の状況を見ているとさらに下方修正されると思われます。田植えからようやく収穫時期となった農家にとっては、大打撃です。我が家でも普通にお米が届くものと考えていましたが、改めて調達を考えなければなりません。
長梅雨、猛暑がもたらした異変ですが、地球環境の大事さをより身近に感じた出来事でした。収穫の秋、誰もが感謝できる時となりますように。(スギ)