第919号 大臣答弁の重み

2020年2月8日 (土) ─

 7日、私は予算委員会の質疑に立つ予定でしたが、直前の質問者の問いに、北村誠吾地方創生・規制改革担当大臣が答えられない場面が続き、このままでは真っ当な予算審議が出来ないとして委員会は中断。その後、散会となりました。あらためての質疑は10日に順延となりました。

◆審議不能の委員会
 大臣が質問の内容に対して答弁できない理由は様々です。今回のように、所管行政についての知識・勉強が明らかに不足していて、質問と答弁が食い違うケースや、後ろめたい疑惑を追及され、真実を話すと自らに不利益が生じるので隠そうとするケース、敢えてとぼけた振りをして論点を逸らそうとする確信犯のケースなど、およそ一国の国務大臣として「論外」の答弁がここ最近続出しているように思えます。本来の大臣の職責を全うできない者が閣僚を務めることは、ひいては国益を損ねることに繋がりかねません。次々と大臣が辞任していくさまに、長期政権のゆるみきった政治姿勢が垣間見えます。

 委員会を中断させるのは、国会議員としての職務放棄ではないかとの批判もあります。しかし、大臣と議論そのものを行うことが困難である場合、委員会審議を重ねても意味がありません。真摯な議論を行える環境作りの責任は一義的には与党にあります。大臣の政治的責任を内閣や与党、ひいては総理に対してその任命責任を問い、交代を求めることで、正常な議論を取り戻すことを目指すのも一つの解決策です。今回は、まさに、そのケースだと思います。

◆重い大臣答弁
 大臣答弁は非常な「重み」をもっています。憲法63条は、内閣総理大臣その他の国務大臣は、答弁のため出席を求められたときは出席しなければならないと規定しており、出席する以上当然に、適正に答弁し、説明することが要求されます。大臣がまともな答弁をしないことは、政治的問題だけではなく、憲法上の問題でもあるのです。

 私が国土交通大臣を務めていた時には、八ッ場ダムや尖閣問題含め前任者からの課題が山積でしたが、真摯に向き合って答弁に努めました。

 現役の国務大臣も、もう一度答弁の「重み」を認識し直すべきで、自らが答弁に堪えられないと判断すれば、潔く職を辞するべきだと思います。

◆予算委員会の戦略は?
 残念ながら直前で延期されてしまいましたが、私は今回、カジノについてその実態を明らかにし、国民にカジノ整備の是非を正面から問う質疑を予定していました。

 もちろん、カジノをめぐる贈収賄疑惑について、野党は政府を厳しく追及すべきですが、国民は、政策の中身に関しても、野党に骨太の議論を求めていると思います。政府の追求と政策議論を両輪として、偏ることなしに、メリハリをつけた国会戦略が重要です。それゆえ私は、今まであまり注目されなかった、経済から見たカジノの実態をテーマに選びました。

 予算委員会が続く2月いっぱいまで、数回は質疑の順番が回ってきます。カジノに加え、現在の経済情勢、消費税増税の景気への悪影響と、着実に骨太の政策議論のラインアップを整え、資料の収集を進めています。まだまだ、これからです。

 

スタッフ日記「ひそかなマイブーム」

 2000年も前のこと、垂仁天皇の時代に穴師坐兵主(あなしにますひょうず)神社で、大和国当麻にいた怪力の持ち主と、出雲の国から同じく力量に自信あった双方が力比べをしたそうです。その場所こそ、奈良県桜井市にある相撲神社の境内で、力を競った天覧試合が国技である相撲の発祥として日本書紀にも伝えられています。

 初場所優勝インタビューから2週間が過ぎ、大きな感動と喜び、そして受け答えからにじみ出る人柄から一気に相撲ファンの心を鷲掴みにした徳勝龍関は、奈良市の出身。史上2人目の幕尻優勝、奈良県出身力士としては98年ぶりの優勝は、相撲発祥の地である奈良県の誇りとして、多くの県民がその瞬間を見守っていたのではと思います。

 世代的にも相撲中継を見る事はほとんどしてこなかった私ですが、今回に限っては違いました。場所2日目、同じ日本大学出身の人気力士・遠藤関の2横綱戦勝利から心ひそかにエールを送り、気付けば注目力士の取組をユーチューブ動画でチェックする程になっていました。しかし中盤以降は結果が伴わず、一方で終盤にかけて徳勝龍関の連勝が続き、見る間に場所全体が盛り上がっていきました。

 3月8日から始まる大阪場所は徳勝龍関にとって地元ともいえる場所です。横綱戦、大関戦も予想されます。笑顔が似合う勇姿とともに、土俵入りにはお馴染みのせんとくんが四股を踏む化粧まわしを見て、奈良県民の誇りとして応援したいです。

 もう33歳でなく、まだ33歳だと思って頑張る。優勝インタビューでの徳勝龍関の言葉に、多くのスポーツファンが夢と希望をもらいました! (特命係長)

第919号 大臣答弁の重み