第912号 野党連合はワンイシューで
9日、第200臨時国会は、会期末を迎えました。
◆政治の停滞と機能不全
9月に改造安倍内閣が発足して早々の臨時国会では、開会後間もなく、菅原一秀経産大臣と河合克行法務大臣が、それぞれ公職選挙法違反疑惑で大臣を辞任しました。そして、安倍総理自身にも、税金で開催される総理主催の桜を見る会に、個人的な支援者を多数招いていたのではないかという疑いが向けられました。
不祥事による閣僚の辞任と、総理による公金の私物化疑惑は、トータル8年間に及ぶ安倍政権で、何度も繰り返されてきました。そして、森友・加計問題のように、その都度疑惑は有耶無耶のまま放置され、明確な解明はなされないままです。
それにもかかわらず、政権支持率が微減にとどまり、自民党からは安倍総理の任期延長の声まで聞こえてくるのは、ひとえに、与野党問わず、安倍総理に取って代わる政治家と、その政治家が実現しようとする政策を、国民がイメージ出来ないからです。ここに、長期政権下での政治の停滞と機能不全が見て取れます。
◆対立軸は経済政策
政権と対峙すべき野党は、9月に「立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム」として共同会派を結成し、私も会派に所属しました。委員会での質問の共通化や、国会対応での足並みの揃えなど、野党がまとまることで政府与党へのプレッシャーが強まり、大学入試の改悪を延期に追い込むなど、一定の成果は挙げられました。
しかし、ここで連携を一歩進め、野党全体で合流、もしくは将来的な連立政権のビジョンを打ち出し、新しい総理の「顔」を示さなければ、安倍政権はこれまでと同じく、消極的支持を受けて続いていくことになると思います。
その際、各党間で全ての細かい政策まで一致を求めていては、合意は至難の業です。世界の連立政権、もしくは政権に対抗する多党から成る野党勢力も、各党全ての政策が一致しているわけではありません。12日に投票が行われたイギリスの総選挙でも、与野党の大きな対立軸はEUからの早期離脱の是非一本でした。与党との対立軸をワンイシューに絞り込んで、政策合意を行うことが必要です。
今の日本においては、ワンイシューは経済政策だと思います。10月の消費税増税が消費に与える悪影響のデータが出そろいつつある中で、野党各党は減税や積極財政を経済政策の柱として据えられるように、政策の協議に入り、合意を目指すべきです。
◆年始の通常国会で復帰
私自身は、先の臨時国会で、予算委員会で関西電力金品授受疑惑について、国土交通委員会で台風19号被害を教訓とした防災のあり方について、有意義な質疑を行うことが出来ました。また、消費税減税研究会を立ち上げ、与野党の大きな対立軸の形成に、一石を投じることが出来たと自負しています。
会期途中の11月4日には、交通事故により負傷し、今現在も、歩行訓練などのリハビリのため、東京都内の病院に入院中です。臨時国会後半に登院できなかったことは、国民の皆さまに大変申し訳なく思っております。今はしっかりとリハビリを行い、身体を治して、1月早々に始まる通常国会で復帰し、国会議員としての務めを果たして参る所存です。
スタッフ日記 「若者は政治を知らない?」
先日、ある忘年会でご一緒した30代後半の会社員の方からこんな話がありました。「私が住んでいる地域は学園前駅からバスで10分ほど、開発から40年近く経っている場所です。昨年、人手不足のために私が自治会長をしていましたが、ふと大阪の知人と会って話した時、地元の県会議員にお願いしてみたらと言われ、自分自身、奈良の県会議員を一人も知らなかったことに、驚かれました。」という内容の話でした。
私達が日頃生活する中で、国政、県政、市政がどれほど身近なのか、逆に言えば、地域に住み働く世代の皆さんが、日頃からどれほど“政治”というものを感じていただけているのか、を明確に突きつけられた話でした。
選挙期間中に駅前や街角で街頭演説をしている姿は見かけても、政治家が普段どの様な活動をして、生活をどう変えてくれるのか、地域の代表として選出される政治家と“暮らし”との接点など全く感じられていないのだと、私は衝撃を受けました。
これは、若年層の政治離れと言うべきなのか、しかし、そもそも選挙に行かない今の若者にとっては、政治というものに近づいたことすらないために、政治の若者離れ、と写っているかもしれません。
秘書の仕事をして、今年の選挙イヤーを過ごした中では全く予想もしていなかった話に、今後どのように、政治が若年層に近づくべきなのか、また、そのきっかけを作っていくべきなのか、世代を超えて政治へ参画すことに意味を感じてもらえる、ワクワク感を感じるような“政治”が若年層の目に写る日が来ること祈っています。(特命係長)