第905号 即位礼正殿の儀に参列

2019年10月26日 (土) ─

 22日、私は、天皇陛下が即位を宣明される「即位礼正殿の儀」に参列致しました。

◆厳かな中にも華やかさ
 即位礼正殿の儀には、国内はもとより、180か国余りから来賓が参列し、天皇陛下の即位を祝しました。私も国会議員として、参列の栄誉にあずかったことは、光栄の極みでした。

 儀式は荘厳な雰囲気の中にも、王朝の華やぎと明るさが感じられるものでした。それは各国からの国際色豊かな参列者による華やぎや、親しみやすい天皇陛下のお人柄によるものではないかとの思いを持ちました。そして、上皇陛下の譲位が実現したことにより、忌事なしに即位が実現したことも、この明るい雰囲気の要因ではないかとも思われ、あらためて譲位関連の法施行に関われたことに、誇りと喜びを感じました。

◆憲法の中での象徴天皇
 天皇陛下は、即位の宣明の中で、上皇陛下が30年以上にわたって常に国民の幸せと世界の平和を願われ、国民と苦楽を共にされてきたことに深く思いを致されました。そして、国民の幸せと世界の平和を常に願い、国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、日本国及び日本国民統合の象徴としてのつとめを果たすことを誓われました。

 天皇陛下のご宣明は、上皇陛下が即位された時の宣明と比べて、世界の平和を願うことと、国民に寄り添うことを明確にされました。これは、天皇皇后両陛下が留学経験をお持ちで、世界の中の日本の地位を強く意識され、さらに、上皇陛下が実際の行動で示し続けて来られた、国民に寄り添う象徴天皇としてのあり方を、しっかりと受け継いでいく決意を、言葉で明確に示されたものだと推察致しております。

 また、憲法にのっとり象徴としてのつとめを果たされることを改めて宣明されたことも、現行憲法下で生まれ育たれた天皇陛下の、憲法に対する思いを伺わせるものでした。

◆皇位継承の永続のために
 即位の慶事を目の当たりにし、世界で最も長く続く王朝とされる皇室を、末永く未来にわたってつないでいくことは、今を生きる我々の責務であるとの思いを強くしました。即位礼正殿の儀には、未成年の愛子さまと悠仁さまを除き、11人の皇族が参列されましたが、男性は秋篠宮さまと常陸宮さまの2人だけでした。皇族、そして皇位継承者の減少により、このままでは皇位が途絶えかねない厳しい現実が改めて浮き彫りになった形です。

 2年前の譲位関連法の審議の際、私は質疑に立ち、菅官房長官から、今回の譲位が先例となり得るとともに、安定的な皇位継承を確保するための女性宮家の創設などの方策について、法施行後の具体的な検討に向けて適切に対応する旨の答弁を得ましたが、今に至るまで、具体策は示されていません。

 政府は、11月中旬の大嘗祭後に、ようやく皇位継承問題の議論に着手する見通しですが、皇室永続のため、女性天皇、女系天皇を認めるのかといった本質的な議論には踏み込まない可能性が高いと見られています。しかし、皇位継承問題は決して後世に先送り出来ない課題です。譲位関連法成立の時のように、国民的な議論を喚起し、一定の結論を出すために、私も発信を続けて参ります。

 

スタッフ日記 「日本らしさの継承」

 かつて、都があった奈良には、天皇家(皇室)ともゆかりのある地域が多いことでも知られています。春日大社や橿原神宮などはその代表格で、地域に現存する小規模な寺社仏閣を訪ねると、こんなところに!と思える意外な歴史が隠されていることも多く、どこか身近に感じる事ができます。

 22日、皇居で執り行われた即位礼正殿の儀は、改めて令和の時代の幕開けが、希望あふれる慶びとして感じる瞬間でもありました。即位式の歴史は、奈良時代の終わり781年に即位した桓武天皇の時から行われ現在に至るとされ、平成の時代を歩んできた私にとって、国のはじまりの地奈良で新たな決意とともに迎える特別な日となりました。

 日本らしさの文化・歴史に触れるため、これから先も多くの観光客が来県することが見込まれますが、旅行者にとってのニーズも多様化していくのだと感じています。しかし、そのニーズに対応のできる大規模な寺社仏閣がある一方、年中祭事が担う人手不足のため開催できないのど深刻な問題となっている地方の寺社があるのも事実です。

 今後は体験型の文化発信など、知識がなくても気軽に足を運べるような敷居の低さが求められていくのだと感じています。ある地域では小学校と神社が連携した教育体験の場として新たな役割を果たしている成功例もあります。

 お守りやおみくじ、初詣など誰もが一度は訪れたことのある日本のふるさとの風景。奈良らしい風景やそこに見出す日本らしさを継承していくため、時代に応じて変化することができる柔軟性を備えながら、新しい時代を歩んでいきたいと思います。(特命係長)

第905号 即位礼正殿の儀に参列