第904号 八ッ場ダムが救ったのか?!
台風19号による被害は拡大し、特に河川の堤防決壊によって甚大な被害が生じています。今は被害者の救助と被災地の復興が最優先ですが、なぜ被害を防げなかったのかを冷静に検証していく必要があります。
◆「適切」な治水事業は必要
自民党の中には、今回の台風で水害が拡大した理由を、かつて民主党が掲げた「コンクリートから人へ」という理念と結びつけて、民主党政権が治水事業を怠ったためと、主張する議員がいるようです。しかし、これは正確さ、冷静さを欠いた乱暴な主張です。
私は、民主党政権時、国土交通大臣・副大臣を務めましたが、一律にダムや堤防が必要、不必要というスタンスは取ってきませんでした。政治の責務は、単なる人気取りや社会の空気に流されず、何が国民のために必要かを、証拠に基づいて冷静に判断すべきと考えていたからです。
それゆえ、客観的な災害予測に基づいた適切な治水事業については、厳格な財政規律には必ずしも捉われずに推進しましたし、一方、一部のスーパー堤防計画のように、単なる従来の自民党型利益誘導に過ぎないと思われる無駄な公共事業に対しては、削減する姿勢で臨みました。治水事業を怠ったとは全く考えていませんし、その結果は、イメージではなく、個別具体的に検証されるべきで、責任は引き受ける覚悟です。
◆八ッ場ダムの効果は未だ不明
群馬県八ッ場ダムに関して、私が国交大臣を務めていた際、前大臣の判断を覆して建設を再開させたとの報道がなされました。しかし、私が指示したのは、あくまで「ダム整備の前提となる洪水時の最大水量の予断なき再検証」でした。八ッ場ダム中止か否かという単純な対立構造で判断するのではなく、冷静な検証に基づく責任ある政策遂行を行うのが大臣の仕事と考えていたからです。
今回の水害防止に八ッ場ダムが果たした役割についても、イメージではなくデータでの予断なき検証が必要です。私は、17日に国交省治水課に問い合わせ、現時点で、台風の大雨で八ッ場ダムに水が貯まったことによって、下流域の河川の水位にどのような影響があったのかの調査等は行っておらず、ダムが水害を防ぐ役割をどの程度果たしたかについて、具体的な検証が出来る段階ではないことを確認しました。
このような段階で、八ッ場ダムが下流の水害防止に大きな役割を果たしたと主張するのは勇み足で、誤りです。詳細なデータに基づく冷静な検証を行うのが、政治家の責任です。
◆国土交通委員会で防災を質す
ハード面ばかりが着目されますが、ソフト面の冷静な検証も必要です。今回は高齢者が逃げ遅れて被災するケースが多く見られました。避難指示、避難勧告が出た時点ではすでに避難が困難になっている場合もあります。避難基準や発令タイミングの見直し、夜間に各家庭に呼びかける方法の再検討が必要です。
私は、今臨時国会で、国土交通委員会への配属が決まりました。今月下旬からは委員会の議論が本格化し、災害対策もテーマとなる見込みです。堤防やダムが一律に有益なのか無駄なのかといった二者択一の議論に陥ることなしに、個々の具体的な調査に基づいた冷静な検証を求め、ソフト面の見直しも含め、治水事業の今後について大臣を質していきます。
スタッフ日記 「ONE TEAM」
先日、ラグビーのワールドカップ(RWC)で日本代表が初のベスト8進出を果たしました。
ラグビーといえば、4年前の深夜、大きな声に驚いて目を覚ますと、主人がテレビを見ながら号泣していました。何事かと思っていると、「日本が勝った!南アフリカに勝った!」と叫んでいます。ワールドカップ2015で、それまで勝ち星のなかった日本が過去2度の優勝を誇る世界ランキング3位の南アフリカを34—32で破る大金星を挙げた瞬間だったのです。ラグビーのことをほとんど知らず、あまり試合も観たことがなかった私にとっては、試合の結果よりも衝撃的な出来事でした。
今年RWCが日本で開催されるということで、主人は早々にチケットを申込み大会のはじまるのを楽しみにしていました。それでも私は、まだあまり興味はありませんでした。
大会が開幕し、テレビ中継や日本代表の活躍もあり、日に日に日本国内でラグビー熱が高まっていくのと同時に私も私のまわりも関心が高まってきました。週末になると友人宅に集まって皆でテレビ観戦をするようになっていました。日本は強豪アイルランド、スコットランドにも勝利し、結果4試合全勝でベスト8進出が決まりました。
今回日本代表のチームスローガンは、ONE TEAM「外国人、若い選手、ベテランもいるが、一つになって戦いたい。チームのために、全員で戦う。」という思いが込められているそうです。
いよいよ10月20日は準々決勝。日本対南アフリカ選が行われます。にわかファンの私ですが日本代表の更なる活躍を期待して、また皆で応援したいと思っています。(まーちゃん)