6月26日、社会保障と税の一体改革に関する特別委員会の裁決があり賛成多数で可決しました。その後、緊急上程の動議にて本会議採決があり、私は与党議員としての責任ある行動として、本会議採決において、「賛成票＝白票」を投じてきました。

　この法案の採決における私の投票行動と、そこにいたる考えについて、ここで明らかにしておきたいと思います。

◆昨年の代表選　
　消費増税に対しては、私は一貫して「今行うべきではない」との慎重論を述べてきました。その主張を最も強く打ち出し世に問うたのは昨年夏の代表選挙でありました。　

　その時には、将来の消費増税を一切否定するわけではないが現下の経済状況を勘案すれば、まず取り組むべきはデフレ脱却であって、同時に、景気回復のための成長戦略の実行こそが政治に求められるリーダーシップであると訴えました。　

　また、社会保障の見直しについては、負担増と給付減のポリシーミクスこそが最も重要であるとも伝えてきました。　

　しかし結果は、五人の総理候補のうち、唯一増税を意味する財政再建を強硬に訴えた野田候補が勝利しました。私の主張は退けられたのです。もちろん代表を選ぶ投票ということで増税の是非というシングルイシューを問うものではないかもしませんが、少なくとも民主党における、最も重要かつ民主的プロセスで決した結論に従うのは当然のことです。私は、直後より自らの発言は控えました。
　
　代表選挙以降、私はあくまでも、政策的な提言を行うことを旨としてきました。

◆政策提言　
　年末に始まった消費増税議論の中では、焦点が消費税をいつ、どのくらい上げるのかに絞られました。つまり「時期と幅」についての議論です。急激な円高や欧州債務危機の本格化など、国際的な経済環境の悪化が懸念される中、私は時期を強引に2013年の10月に決めようとする執行部の動きに待ったをかけました。結果、少なくとも選挙の洗礼を受けた政権が判断することができるように、半年先送りの2014年4月に改めるに至りました。
　
　3月末、閣議決定法案の議論の時には、弾力条項として、数値目標の設定を強く求め、新成長戦略に示された「名目3％、実質2％」の成長率を目標として、経済状況の好転を増税の条件とする事を明記できました。　

　今回の三党合意で野党の要求によって大幅に譲歩する形とはなりましたが、数値目標は第1項に残されました。この弾力条項がギリギリの形で残されたことは、デフレ脱却を実現してから増税をする事を意味するものであり、その目標が達成できないときには停止も含めた政治的な判断ができる余地が残されたと思っています。　

　党内手続きについては、政府・執行部ともにその不手際が目立ったことは否めません。特に、社会保障の将来像をどのように構築していくかの党内議論が十分になされないままに進められてきたのは事実です。すべて「待ったなし」の時間切れで物事を推し進める政府と執行部の姿勢は、開かれた民主的プロセスとは言い難いものがありました。意思決定プロセスの不明確さという党内マネジメントの問題は、これも昨年、私が代表選挙時に指摘したものですが、いまだ一向に解消されていないことを執行部は猛省すべきです。

◆責任を背負う賛成　
　ただ、手続きの瑕疵の有無については議論があるところだと思いますが、私自身はこうした党内マネジメントの問題は法案審議とは切り離して考えるべきだと思っています。そうした課題については、その是非を問う場面として代表選挙をはじめ他にも適した場があります。少なくとも国会は法案を審議する場であって、党内の問題を持ち込むべき場ではありません。　

　従来の私の主張は変わるものではありませんが、党という組織による決定、さらに公党による三党協議の結果は大変重いものです。加えて、増税施行についてはこれからのデフレ脱却と成長戦略の実施によって景気回復を目指した後、2年後、選挙後の総理・政権がその是非を判断することになります。これには、議員定数削減をはじめとする身を切る改革、徹底的な行政改革が行われることも前提のひとつとなります。　

　これらを我々は全力で実現するという責任を負うのです。　

　以上により、私は党の決定に従い、賛成票を投じました。　

　苦渋の決断ではありましたが、与党議員として、日本銀行法の改正などを通じたデフレ脱却の実現、さらには先の成長戦略の具体化と、その実施を政権に厳しく求め、かつ自らが実現していく強い意志をもって行動してまいります。そのことこそが、真の経済状況の好転、すなわち、「国民の生活」が最も豊かになる方策であると信じています。（了）