「感謝」による鍛錬の日々

2009年6月22日 (月) ─

 一年ぶりの、「一語一会(いちごいちえ)」を開催。本来は半年ごとに行っているのだが、昨秋はすわ選挙!というタイミングだったので見送った経緯がある。

 今回で第6回。毎回、政治とはまったく離れて、様々なゲストお招きし対談などを通して客席の皆さんに、「一語」を残していただく。

 これまでのゲストは、お坊さん、お医者さん、作家、ピアニスト、映画監督、など多士済々だが、ここらで一度スポーツ関係の方をお招きしたいと思っていた。

 いろいろ考えあぐねた結果、やはりボディビルの師匠である「トレーニングセンター・サンプレイ」の宮畑豊会長にお越しいただくことにした。

 宮畑会長は二十歳のころ、脊椎分離症により一年間病院で寝たきり状態の生活を送っていた。医者からはもう歩くことも困難だろうと見離されかけていたのを、とにかく自分で動ける身体になりたいとの一念で懸命のリハビリを続け、回復を遂げた。

 それこそ、歩けるようになるにも大変で、やっと10分歩けたと思ったらすぐに40度の熱を出して倒れるなどということも度々あったという。しかし何とか社会生活可能な状態にまで回復を遂げた後、そこで終わりにはならずに、さらに心身ともに強化することを願いボディビルを始め、激しいトレーニングを重ね、とうとう全日本選手権準優勝(ミスター日本2位)にまで登りつめた伝説のボディビルダーである。

 その宮畑会長が唱えるのは、人間の身体の「可能性」である。限りなき可能性を秘めた人間の身体能力を、どう引き出していくかということを主眼として、その後、ボディビルダーの後進指導だけでなく障がいを持つ方のリハビリをはじめ高齢者のアンチエイジングの健康法などを考案し、全国指導に駆け巡っておられる。

 そんな宮畑会長の健康指導と、サンプレイのチーフトレーナーでありお弟子さんでもある現役の全日本クラスのボディビルダー、近藤賢治選手のポージングをアトラクションとしてプログラムした「一語一会」は大好評で終了した。

 現役選手のボディビルダーの姿を見るのは始めてという来場者の中、近藤選手の深みとキレのある筋肉と華麗なポージングは会場を魅了した。

 プロスポーツ選手の育成も含め、スポーツトレーナーの世界では有名な宮畑会長だが、最後にいただいた会長からの「一語」は、「鍛錬」でもなければ「努力」でもない、「感謝」だった。

 病院のベッドで天井だけを見つめ続けていた闘病時代も含め、全てに感謝する気持ちが今日の自分を創ってくれた、と語る宮畑会長の目は、優しさに満ち溢れている。黙々と自分に向き合って鍛え続けた日々、健康な体を取り戻すことができたことの喜びを、すべての人々への「感謝」の気持ちに置き換えてトレーニングの原動力にされてきたのだろう。

 宮畑会長と近藤選手を駅の改札で見送りながら、「これでまた少し、トレーニングにも身が入るというもんだ!」と、ひとりごちていると、ヒロコから「お父さん、あなたの仕事はなーに?」と、釘を刺された。

 「ハイ、国会です...。」

「感謝」による鍛錬の日々