第800号 「原発ゼロ基本法」をつくる

2017年8月12日 (土) ─

  安倍政権は今月にもエネルギー基本計画の見直しに向けた議論を本格化すると言われています。

◆矛盾する政府の政策
 現状、政府は「震災前に描いてきたエネルギー戦略は白紙から見直し、原発依存度を可能な限り低減する」、「原発の新設・増設は考えていない」としています。

 一方で、2030年時点において、総発電量のうち、2割程度の原発比率を維持することを目標とし、そのため「原発再稼働は進める」という方針を採っています。

 そして、原発で一度使用された使用済核燃料を全て再処理して、新しい燃料として再利用する「核燃料サイクル政策」も堅持しようとしています。
 既存の原発の再稼働は、安全上の問題などからどこまで進むか不透明です。そうした中で、使用済核燃料の全量再処理を維持するとなれば、使用される以上の不要な再処理済核燃料が蓄積されていくことになります。

 これは、政府の採ってきた「利用目的のない再処理済核燃料は持たない」との原則に反しています。

 ここから推測されるのは、原発依存度を低減させるという言葉とは裏腹の、ゆくゆくは原発の新規建設、増設を行い、原発比率を維持していこうという政府の考え方です。

◆柱は「現実的脱原発依存」
 私は、福島第一原発での事故処理を通じ、我が国では将来的に原発から再生可能エネルギーを中心とした電源構成に変えてゆかなければならないと考えるに至りました。

 一方で、今まで蓄積された使用済み核燃料の処分や、移行期間に電力が安定的に供給されるような手当てをすることも政治の重要な役割です。

 こうした課題の解決のために、私は「現実的脱原発依存」が必要だと考えています。

 「現実的脱原発依存」とは、①厳しい要件をクリアしなければ原発再稼働を認めない②再稼働した原発についても、法令で定める年運転制限」を厳格に適用、徐々に廃炉を進めるというプロセスを通じて、最終的には原発稼働ゼロを目指す道すじです。

 また、使用済核燃料については、全て再処理をするという政府の考え方を見直し、いったん特殊な容器内で暫定的に保管した上で、そのまま埋設して最終処分する事を考えていかなければなりません。

 その際、最終処分地の選定は重い課題です。

 いまだ手を挙げる自治体が無いうえ、政治的に自治体が手をあげることは困難であるため、選定には難航が予想されます。 今は認可法人が主体となって最終処分地選定を行っていますが、国がより責任を持ち、前面に立つべきだと考えます。

◆「原発ゼロ基本法」に向けて
 私は、民進党エネルギー環境調査会の副会長として、「原発ゼロ基本法」の立案作業を行い、今秋にも取りまとめる予定です。

 安倍政権、そして自民党では原発ゼロを達成することは出来ません。 民進党は、核燃料サイクル政策の見直しを含め、徹底した省エネの推進や再生可能エネルギーの導入、原発稼働ゼロを目指します。

 今後の民進党の政策の目玉となるよう、全力を尽くして参ります。(了)

 

スタッフ日記「ダムカード?」
 今年の夏も雨が少ないので、関東地方では取水制限が行われています。しかし、私の住む神奈川県は例外です。

 湘南や江の島など海の印象が強い神奈川ですが、実は山も多く、その地形を利用してダムを4つ備え、県内に給水しているため、水不足になりにくいのです。 そして、その4つのうちの3つは私の育った町のすぐ近くにあります。

 中でも首都圏最大級で、県内の3分の2の地域に給水している宮ケ瀬ダムはまさに町内にあり、私たちは横浜などの大都市から「水源地の子どもたち」と呼ばれて、サーカスに招待されたりしていました。

 建設過程で川がどんどんやせ細ってゆくのを見るのはつらいものでしたが、今「宮ケ瀬ダムのおかげで水不足にならない」と言われると、少しうれしいような気もしてきます。

 …と、まじめにダムのことを書こうと調べていたら「ダムカード」なる単語を見つけました。どうやらダム版のトレーディングカードのようです(聞きなれない方は、プロ野球チップスのカードを想像して頂くとよいかもしれません)。

 国交省が出していて、表にはダムの写真が、裏にはミニ知識が載っているそうなのですが、「ダムのことを知ってもらいたい」という趣旨とは裏腹に、現地に行かないともらえない、土日には配っていない所もあるなど、集めるのにはなかなか苦労しそうです。

 でも、熱心なファンもいるらしく、ネットにはたくさんの情報があがっていました。奈良市内の岩井川ダムや布目ダムでももらえるようですので、夏休みのハイキングがてら出かけてみてはいかがでしょうか?(シズ)

第800号 「原発ゼロ基本法」をつくる