第777号 プレミアムフライデー?
24日、政府が推進する「プレミアムフライデー」が始まりました。これは毎月末の金曜日の終業を午後3時とするよう企業に呼びかけ、個人消費喚起につなげる取り組みです。
◆労働者の現実とのズレ
国内総生産(GDP)の6割を個人消費が占める以上、日本経済の回復には個人の消費喚起が必要です。
その意味で、官民一体で新たな試みをすること自体には意義があります。
しかし、今回の取り組みは現実を十分踏まえているとはいいがたいものです。
各機関の調査によると、プレミアムフライデーを取得できるのは大手企業のごくわずかの労働者に偏っており、多くの労働者にとっては恩恵のない制度となっています。
また、パートや派遣労働者など時間制で働く方にとって労働時間減が収入減と直結する一方で、サービス産業に従事している方にとっては、「プレミアムフライデー」に対応する負担増が懸念されます。
サービス産業で働く方の比率が上昇し、平日/休日の区別なく働く労働者が増える中、一律に金曜午後3時以降を休みにするだけでは働き方の実態からかけ離れており、非現実的です。
また、無理にプレミアムフライデーを実行したとしても、それで他の日の残業時間が増えるようでは本末転倒です。
◆「財布のひも」は緩むのか?
一方、肝心の消費を喚起される側の国民の「財布のひも」は簡単に緩む状況ではありません。
総務省の家計調査によると、2人以上世帯の消費支出は、消費税引き上げ以降3年連続で減少しています。
この背景には、実質賃金・可処分所得の伸び悩みがあります。
つまり、多くの労働者の日々の暮らしは厳しさを増しており、仮に金曜日に早く帰宅したとしても、消費に回すお金が無いというのが実情です。
◆「原因」への対処が必要
有権者の方の声を聞いてみても、この「プレミアムフライデー」に対する「割り切れなさ」を感じます。
私はこの「割り切れなさ」は、労働者の現実とのズレに加え、「プレミアムフライデー」が消費低迷の「本質」をついていない対策であることが原因だと考えています。
例えば、咳をする患者に対し、医者が咳止めだけ処方して原因への対処をしなければ、根本解決にならないのと同じで、消費喚起策も「王道」は、消費低迷の原因に対処するための政策や改革です。
そのカギは、家計の実体に着目し、可処分所得を向上させることにあります。
私は消費税の引き下げを持論としていますが、総務省の家計調査でも、消費税が個人消費を喚起する上で大きなネックとなっていることは明らかで、この本丸に切り込んで行くことは不可欠です。
加えて、社会保障を充実させ、将来の不安を取り除くことで、貯蓄を消費に回すよう促すことも必要です。そのための年金改革を含む社会保障の充実、そして同時に働き方改革も進めなければなりません。
大がかりなPRに頼った政策だけではなく、これらの改革に逃げることなく取り組んでゆくことが必要です。
それこそが「王道」の消費喚起策であり、国がいま取り組むべき課題だと考えます。(了)
スタッフ日記「箱根駅伝」
私は東京でインターンをしている学生です。
毎年正月に行われている箱根駅伝はテレビで放送されているので、ご存じの方も多いかと思います。私の在学する大学も出場していましたが、今年はまた別の思いを持って観戦しました。
昨夏私は地元である神奈川県内をママチャリで回る旅をしました。1日約140km、3日間で420㎞の行程です。
私は東京との県境にある川崎という街に住んでいます。初日、そこから神奈川の一番西にある箱根に向けて、ほぼ駅伝と同じルートを通って箱根の麓の小田原まで1日かけて到着し、1泊したあと、箱根の山を登り始めました。
山道はさほど険しいものではないのですが、同じ様な道で目印もなく、終わりが見えない坂道が20km続くこと、これが本当に辛いのです。自転車でこいで登れるわけもなく、自転車を押していきながら登ったので、目的地の箱根芦ノ湖につくまで、なんと4時間半もかかってしまいました!
今年の正月はそんな思い出のある山道を駅伝のランナーがさっそうと登って行くのをテレビで見ていました。
彼らは小田原から芦ノ湖の約20kmを大体1時間15分で登って行きます。成人男性は平地を10km約50分で走るそうですが、駅伝ランナーはその2倍の距離の、しかも坂道を1時間15分で登って行くのです。凄いとしか言いようがありません!
毎年見ていた箱根駅伝も今年はあの時通った道だ!と少し違った風に懐かしく見えました。実際に旅をしたことにより、箱根駅伝のランナーの凄さを実感することができたのでした!(ぼそぽそ)