第737号 野党連携の可能性

2016年4月30日 (土) ─

 24日、衆院補欠選挙の投開票が行われました。京都3区では民進党公認の泉健太候補が当選したものの、残念ながら北海道5区で民進党が推薦した野党統一候補の池田真紀候補は惜敗しました。

◆野党共闘の成果
 北海道5区は町村信孝前衆議院議長が昨年6月に逝去されたことに伴う補欠選挙で、私は、党からの特命を受けて1月初旬から北海道に入り、水面下で選挙の組み立てを行ってきました。
 当初は「弔い合戦」として、故町村議長の娘婿である相手候補の圧倒的優勢が伝えられていました。しかし、野党連携と、市民活動を中心とした草の根運動の盛り上がりによって、池田氏への支持は徐々に高まり、選挙戦後半の世論調査では、ほぼ横一線に並ぶところまで与党側を追い込みました。
 結果として、与党の厚い組織力を打ち破るまでには至りませんでしたが、野党が連携すれば、巨大与党とも互角の勝負に持ち込めることを示せたのは大きな収穫でした。

◆今後への課題
 一方で、今後に向けた課題もあります。
 1つは、ツイッターやフェイスブックなど、ソーシャルネットワークを用いた運動のあり方です。情報を瞬時に全国的に拡散し、有権者の関心を引くことが可能になるという点でソーシャルネットワークは画期的ですが、今回は、それを具体的な投票行動に十分結びつけることができませんでした。
 調査によると、池田候補に投票した無党派層は7割にのぼりました。もし無党派層が投票所に足を運び、投票率が高くなっていたら、池田候補が得票をさらに伸ばしていた可能性が高いと言えます。
 しかし、今回の投票率は前回の総選挙を下回る57.54%にとどまりました。これは、ソーシャルネットワークによる市民運動だけでは、無党派層を選挙に向かわせるまでには至らなかったことを示しています。
 もう1つの課題は、今後の国政選挙では、「無所属の野党統一候補」という形式をとるのが難しいという点です。
 今夏の参院選で32ある1人区に対し、民進党は候補の公認を進めています。しかし、比例区との兼ね合いもあり、他の野党が全ての選挙区で野党統一候補の擁立に積極的というわけではありません。また、衆院選の場合は、政権選択、つまり政権を担う政党を決する選挙となるため、無所属の統一候補という形を取ることは現実論として困難です。

◆野党連携を進める
 こうした課題はありますが、巨大与党に対峙するためには、野党間の連携の強化が重要です。もちろん、政策的なすりあわせを十分に行い、国民に広く理解を得なければなりませんが、市民運動や無党派層を地方の政党組織と繋ぎ、いかにして具体的な投票行動に結びつけてゆくかは今後の大きな鍵となります。
 夏の参院選では18歳以上の投票が可能になり、商店街などへの投票所の設置拡大も行われます。投票率の向上は緊急の課題であり、無党派層や若者にも投票に足を運んでもらえるよう、活動のあり方を模索していきます。(了)

 

スタッフ日記「どんな困難にも立ち向かう」
 この時期、九州から北は北海道へ向け、まるで1色のドミノのように全国津々浦々の桜の名所が一斉に日本列島を染めていきますが、今年の春は、奈良公園の開花を待たずに北海道へ。

 北海道ではまだまだ春は遠く、雪の積もる中での選挙応援。桜の開花はこれからで、ゴールデンウィークが見頃。その前に奈良へ帰ってきました。すっかり機会を失ってしまった私は、今年は桜を見ずに夏へ突入することになりました。

 世界の中でも、たった一つの花の開花を国民全員が待ちわび、心から楽しむのは日本人ぐらいだと聞いたことがありますが、誰にも心の奥に忘れられない、桜の光景があるかと思います。

 私にとって忘れられない桜、それは岩手県盛岡市にある『石割桜』です。

 盛岡地方裁判所の構内に咲き誇るこの一本桜は、4月中旬が見頃ですが、その名の通り巨大な花崗岩を裂いて咲き誇る、高さ11メートルにもなる大木です。

 地上に見える岩の周囲は約21メートルですが、その真ん中20センチ程の割れ目から力強く、まっすぐに立ちはだかる大木を目の前にすると、その生命力だけではなく、堂々たる姿に心をわしづかみにされます。樹齢350年から400年とも言われている老木なのだそうですが、年々数ミリずつ割り続けているというから驚きです。

 中学の修学旅行で、探索した時に出会った、この石割桜。花びらは白っぽく小ぶりですが、そのひた向きな様子は、盛岡ゆかりの石川啄木や宮澤賢治の目にもとまったのではないかと思います。(特命係長)

第737号 野党連携の可能性