第708号 実効的な子育て支援
7日、強い経済、子育て支援、社会保障の「新・三本の矢」を掲げる第3次安倍改造内閣が発足しました。
◆目標達成の手段は何か
総理は「希望を生み出す強い経済」として【名目GDP600兆円の達成】、「夢をつむぐ子育て支援」として【希望出生率1.8への回復】、「安心につながる社会保障」として【介護離職ゼロ】の3つの「矢」を示しました。
しかし、2014年度の名目GDPは約490兆円であったので、政府が念頭に置いている2020年度に600兆円という数値を達成するには、これから毎年名目3%程度の経済成長をしていかなくてはなりません。
ただ、2014年度の名目成長率1.6%と比べても、これは大変に高いハードルです。しかし既得権への切り込みなど、必要な具体策は示されていません。
また、希望出生率上昇と介護離職ゼロについても、楽観的な見通しを述べているに過ぎず、具体策は示されていません。
◆子育てに必要な具体策は
このような政府に対して、民主党は、実効性を持った対案を示さなければなりません。
例えば、出生率回復のためには、経済的理由で結婚できない、もしくは結婚しても子どもを持てない層への支援が必要です。
私が考える支援策としては、まず住居費の援助が挙げられます。
中所得層の低所得層へのシフトが社会全体で進むなか、特に、子どもを産む割合が高い、世帯主年齢が20代の世帯では、住居費だけで1か月の支出の2割弱を占め、子どもを産み育てる経済的余裕の無い家庭が多くあります。
また、住居費負担が重い層ほど賃貸住宅居住者が多いのですが、住宅ローン減税など、現在の税制上のメリットは持ち家を前提としているので、そうした世帯は受けることができません。
子育て支援は何よりも若年層・子育て世代の「現実の家計」をもとにその方策を考えなくてはなりません。こうした賃貸住宅居住者への減税措置や、住居費用扶助、公営住宅や増加する空き家への移住促進など、住宅政策と子育て支援を連動させることで負担軽減をはかっていきます。
また、夫婦共働き世帯が増えるなかで、双方の労働時間が長いため生活にゆとりがなく、子どもを産めない、子育てのために妻が仕事を諦めざるをえない、複数の子どもを持てないなどの夫婦がたくさんいます。我が国では週50時間以上働く人の割合は、先進国中最高の31.7%(2011年値)で、アメリカの約3倍にものぼります。
安心して子どもを産み育てられる社会にするためには、こうした長すぎる労働時間の負担を分配する残業規制の見直しや、男性の出産休暇取得の奨励、子どもが一定の年齢に成長するまで、男女とも今より少ない労働時間で働ける制度の創設などが必要不可欠です。
このように、単に金銭を給付するのではなく、子どもを産む世代の夫婦の生活全体をサポートする形での地道な支援こそ、出生率の回復には必要です。
参院選に向けて、安倍総理が打ち出してきた子育て支援への対案をしっかりと準備して、予算委員会などでの論戦に備えていきます。(了)
スタッフ日記「歩きすぎる2人」
千代田線で通勤しています。
明治神宮前<原宿>、乃木坂、赤坂などを通って国会議事堂まで至るのですが、実はこれ、すべて往年のカラオケデュエットの定番「別れても好きな人」の中に出てくる地名です。
そんなことに気付き、経路を調べてみることにしました。
まず冒頭2人は、雨の夜に「別れた人に会った/別れた渋谷で会った」、それで「傘もささずに原宿」に向かいます。渋谷駅-原宿駅間は1.1㎞、時間にして15分。名残惜しい2人ならば歩いても不思議ではありません。
その後、2人は思い出を語りながら赤坂まで歩きます。原宿からは3.6㎞・49分、渋谷からのトータルは、4.7㎞・1時間4分。思い出が尽きないにしても結構な距離で、しかも夜なのに青山霊園を突っ切る大胆なルートです。
余談ですが、2人は傘をさしていないので小雨であっても、さすがに1時間も歩き続けたら、相当濡れてしまうことでしょう。濡れそぼった2人がしんみりと夜の墓地を歩く、これはかなり背筋の凍る光景で、ロマンチックとは言い難いものがあります。
2番ではそこから2人は電車でも3回の乗り換えを要する高輪に行き、女性が「歩きたいのよ」などと甘えたりしますが、なぜかそのまま赤坂の隣の乃木坂に戻ってきます。
わざわざ高輪に行った意味は藪の中ですが、全て徒歩だったならば、渋谷から総距離14.6㎞・3時間14分の行程です。歌詞には「思いがけない一夜の」とあるので、一晩の出来事。歩くこと自体が目的なのかと疑われるレベルですが、恋とはそんなものなのでしょうか?
調べるほどに男女の機微の奥深さを垣間見る気がしますが、私は一生その境地には到達できそうにありません。(シズ)