第707号 消費税還付金問題
2017年4月の消費税10%引き上げ後の負担軽減策として財務省が提示した還付金案に批判が強まっています。
◆還付金案の問題点
今回問題となっている還付金案は次のような仕組みになっています。
① 消費者は酒を除く全ての飲食料品を購入する際に、10%分の消費税を支払うとともに、来年から始まるマイナンバー制度で配布されるマイナンバーカードを店に提示します。
② 店が端末でカードの情報を読み取ると、購入金額や日時が記録されて、2%分のポイントが貯まります。
③ 後日、消費者がインターネットを通じて還付を申請すると、年間4000円を上限に口座振り込みでキャッシュバックが受け取れます。
しかし、負担軽減策として還付されるのが年間わずか4000円ではあまりに小額です。
また、この案を実現するには「軽減ポイント蓄積センター」を設立しなければならないなど、システム整備に多額の予算が必要になること、個人の買い物情報を国が管理する仕組みになってしまうこと、マイナンバーカードを常に持ち歩く必要があることなど、問題点が山積みで、消費増税の負担軽減策として十分に機能するとは思えません。
◆負担軽減策を巡る綱引き
財務省がこのような案を出した背景には、消費増税の負担軽減策を巡る与党との主導権争いがあります。
与党の中には、消費税を10%とした後に食料品等に軽減税率を導入して、昨年の衆院選で掲げた公約を守るべきだという意見がありました。
しかし、財務省には、軽減税率を導入すれば、税収を大幅に減少させかねないばかりか、族議員の介入を招き、与党側に主導権を握られかねないという警戒心があります。そのため、与党の中の軽減税率導入に反対する勢力と連携して、財務省が主導権を握りやすい還付金制度を提案するに至ったのです。
◆給付付き税額控除の検討を
財務省の案はずさんですが、現状、わが国で軽減税率を導入することは妥当ではありません。先ほど挙げた税収減や族議員の介入だけではなく、適用する対象品目の線引きが難しいこと、税率が複数になって経理事務負担が増大することなどの問題があるからです。
私はむしろ、第3の案として、給付付き税額控除による負担軽減を図るべきだと考えます。 給付付き税額控除とは、納税者に一定の額までの税額控除を与え、課税最低限以下の者には給付を行うしくみです。
つまり、一定の所得に及ばない世帯を、現金の給付によって支援するもので、消費増税によって直接の影響を受けやすい低所得者層の負担軽減に特に効果を発揮します。
また、単一税率を維持できるため、軽減税率で問題となっている、税率軽減対象の線引きの難しさや、経理事務負担の増大なども生じません。
現在、与党政府内では、給付付き税額控除案の検討は行われていないようですが、再分配を重視する民主党としては、低所得者層に手厚いこの案を積極的に主張することで、参院選に向けて負担軽減策の対立軸としていきます。(了)
スタッフ日記「実録!深夜の攻防」
9月19日参院で可決した安保法案。16日からがヤマ場ということで衆院は禁足となり、議員は国会から15分以内に待機となりました。各党秘書たちも、深夜に及ぶであろう攻防に備え事務所待機となったため、会館内コンビニの食料はおにぎり1つ残っていない状況。
そしていよいよ夕方、委員会採決阻止に向けた徹底抗戦のため議員が招集されると、代議士は「俺こういうの苦手なんだよな…」とつぶやきながら参院へ。外ではデモ隊のシュプレヒコールが一層高まり、議事堂全体が緊迫感でいっぱいです。
「いよいよ戦いですねーっ!」という参加意欲満々な様子を察したのか、代議士が「オダもイワイも参院来たら?」と言うので、勇んで参戦に向かったイワイ、抗戦初体験のカタオカ、代議士帯同コハマのマブチ隊が参院第一委員室前でそれぞれ別の持ち場に就きました。オダは出遅れてしまったので留守番。しかし様子が気になる。
すると、さすがマブチ隊、逐次実況が入ってきます。
イワイ「女性議員がハチマキまいています!」 コハマ「プリティ長島に似ている人がいます!あ、代議士見失いました(帯同のはずなのに…)」 イワイ「衛視さんが手を広げて通路を作りました。本田芸能みたいです!」 カタオカ「人がすごいので事務所戻ります」 オダ「戻っている場合じゃないでしょ!」 イワイ「自民A班B班に分かれての対抗作戦、A班は通路の確保、B班はいざというときの実力行使要員だそうです!」と連携を発揮したのですが、代議士より「おまえら議員より熱くなってんじゃねーの!そのパワー仕事に活かせよ!!」って…。
ですよね~(笑) (チョロ)