第696号 正義なき安保強行採決
15日、政府提出の安保法案が衆院安保特別委員会で強行採決され、16日には民主党を含む野党が欠席・退席する中、衆院本会議で可決されました。世論調査で、国民の8割が「説明が不十分」とする中での暴挙に強い憤りを感じます。
◆なぜ「説明が不十分」なのか
自民党の安保特別委の理事は、「法案審議は116時間におよび、すでに主要な論点は出尽くしている」と述べています。しかし、世論調査によると、いまだ8割以上の国民が、政府は説明不足であると答えており、審議を通じて国民への説明が十分なされたとは言えないことは明らかです。
その理由を考えると、まず、法案に書かれている「存立危機事態」とは何なのかという点や、自衛隊員や我が国が負うリスク等の重要な論点について、政府が真正面から答えていないことが挙げられます。政府がそのような不誠実な姿勢を取る限り、議論は噛み合わず、いくら審議時間を重ねても十分に議論したとは言えません。
加えて、政府は最も重要な部分についての議論を避けています。今回の法案をめぐる議論の本質は、日米同盟の維持・強化のために、自衛隊が世界各地で、自国防衛と関係なく、事実上、アメリカ軍の補完・支援勢力として共同行動を取ることを可能とすることの是非です。仮に、それを真正面から問うのなら、憲法改正の是非も含めた議論は避けられません。
しかし、政府は、ハードルの高い憲法改正の議論は避け、また、日米同盟強化のために自衛隊の活動範囲を拡大することや、米軍との関係強化、その必要性と是非についての説明を避けています。これでは、国民に対する説明が果たされたとは言えません。
◆民主主義への暴挙
安倍総理自身、委員会採決前の質疑で、「残念ながらまだ国民の理解が進んでいる状況ではない」と答弁しています。また、石破地方創生相も14日の記者会見で「『国民の理解が進んできた』と言い切る自信があまりない」と述べています。政府内に、「国民の理解が得られていない」という自覚があるにもかかわらず、拙速に強行採決を行ったことは、民主主義への暴挙と言わざるを得ません。
今後、審議の場は参議院に移りますが、民主党としては、法案の問題や疑問点を引き続き追及していく一方で、単に政府案を批判するだけではなく、我が国の安全保障についての論点を改めて整理して対案を提示し、責任ある議論を行って行く必要があります。
今回の衆院通過により、いわゆる「60日ルール」が適用され、今国会の会期中に安保法案が成立するのはほぼ確実であるとの報道がされています。しかし、今回の強行採決や参議院審議を通じて、世論の反対の声がさらに強まれば、政府与党としても参議院の強行採決や衆議院の強行再可決の政治的ハードルが高くなります。
その世論の声の受け皿となるべく、引き続き全力で取り組んで参ります。(了)
スタッフ日記「海の日山の日」
7月20日は海の日で、土日がお休みの方にとってはゴールデンウィーク以来、久々の3連休です。当日は梅雨が明けて陽ざしの強い猛暑、という予想もあるそうで、もしその通りになれば、海へ泳ぎに行くのにベストの休日となることでしょう。
ところで、来年から8月11日が山の日として祝日となることが決まりました。海の日があるのに山の日がないのはけしからん、ということではないと思いますが、「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ことが制定の目的なのだそうです。
国土の7割が山地ということもあり、私たち日本人にとって山はなじみ深く、山登りやハイキングなどは男女、年齢問わず人気のレジャーです。
ただ、8月11日という日にちには疑問を感じます。お盆に帰省し、故郷の山に登ってもらいたい、というのがこの日に決まった理由らしいのですが、気候的に真夏のハイキングはいささか厳しいように思われます。また、そもそも帰省するということは既にお盆休みなので、休日としてバッティングするのではないかと思うのです。
当初、山開きが多く行われる6月に、という案もあったらしいのですが、休みが増えるという意味で私としてはそちらの方が断然良いと思われます。こうなったら、祝日のない6月に「湖の日」でも作ってもらいたい、そんな風にすら思います。
ちなみに、海に面していない奈良県では、山と川についての理解を深めるため、条例で7月第3月曜日を「奈良県山の日・川の日」と定めています。国の定める海の日と同じなので、山、川、海について同時に考える、奈良の皆さんには少々忙しい日になっていますね。(アタリ)