第675号 「イスラム国」非難決議

2015年2月7日 (土) ─

 日本時間の2月1日、「イスラム国」と称する過激派組織「ISIL」は、拘束していた湯川遥菜さんに続いて、後藤健二さんを殺害したとする映像をインターネット上に公開しました。

◆卑劣なテロ行為を許さない
 ISILとは、シリアとイラクにまたがる地域で急速に勢力を拡大させた過激派組織で、昨年6月にはイスラム法による国家だと宣言したものです。しかし、国家を名乗っていても、その実態は残忍なテロ組織に過ぎません。

 外国人拉致・身代金要求などの犯罪行為、現地での暴力による恐怖統治を行うなど、テロ組織が、非道な行為で事実上一定の地域を占領しているに過ぎません。ISILの、無辜(むこ)の人を拘束し脅迫し殺害するといった非人道的残虐行為は、いかなる理由や目的によっても正当化されないものであります。自らの非道な行為を、宗教を隠れ蓑にして覆い隠そうとしているだけであり、このような悪辣非道の行為は断じて許せません。

 我が国としても諸外国と連携し、テロ組織による被害を二度と発生させないように対処していかなければなりません。

◆テロ非難の国会決議
 今回のISILの邦人拉致事件に対して、国会では非難決議を行いました。テロ組織の非道な行為に対して立法府として非難決議を行うことは当然です。しかし一方で、今後の国際テロに対する日本の姿勢のみならず、立法府が国内法整備に関わる事柄を含めて決議を行う場合には、慎重でなければなりません。例えば非難決議に「国連安保理決議を遵守」すると記せば、場合によっては国内法整備の責任を負うことになりかねません。昨年の9月24日に採択された「外国人テロ戦闘員に関する安保理決議2178」を例とすれば、それにより「渡航又は渡航の企画、かかる渡航に対する資金提供、渡航の組織化、便宜供与等を国内法で犯罪化」することが求められることになりかねないのです。

 結果、憲法で認められる海外渡航自由の制限等、個人の権利や自由の制限に関する法整備が、国会での十分な議論なしに安保理決議より求められることになりかねません。また、「テロと闘う国際社会との連携」という表現を入れたとすると、「闘い」に力点が置かれる可能性があるため、むしろ国連安保理決議の原文にあるように、「暴力的過激主義に係わる取組」に関する国際社会との連携という表現がより適切です。このように、猛々しい言葉に流れがちな状況であればこそ、立法府の決議として慎重さが求められます。また、今後対処に当たる政府の発信が慎重でなければならないのは言うまでもありません。

◆冷静かつ実効的な対応を
 テロ組織への対処は与野党一体となって全力をあげて取り組むべきです。今回の政府の対応について事後的な検証は必要であるにせよ、今この状況で政府の対応を取り上げて政局にするといった行動を起こすべきではなく、協力すべきは協力し、実効的なテロ組織への対処と邦人の安全確保に努めるべきです。

 決して感情に任せることなく、冷静かつ実効的な対処を検討してまいります。(了)

         

スタッフ日記「ボルダリングの壁」
 ボルダリングという壁に設置された大小様々の石をひたすら登ってゆくスポーツがあります。

 テレビで何度か目にすることがあり、面白そうだな、と思っていたのですが、触れる機会がありませんでした。

 ところが、先日、家の近所にボルダリングのジムが開店しました。願ってもないチャンスです。営業時間は22時半まで。仕事帰りでもOKです。支払いは月会費ではなく、つど払い。選挙でしばらく通えなくても損はしません。何よりもチラシに「女性でも通えます!」「1人でも大丈夫!」と嬉しい言葉が並んでいます。

 元々何か運動をしたいとは思っていました。でも、スポーツジムは続きませんでした。コツコツ、という概念を母の胎内に置いてきてしまった私には黙々とマシンを動かしたり、ランニングマシンの上を延々と走るのは土台無理な話でしたし、エアロビ教室も、ご婦人たちの仲良しの輪に入れないまま通いづらくなりました。近所の山にハイキングに行けば必ず道に迷ってしまうし、水着でプールに入る勇気もありません。八方ふさがりだったのです。

 ちなみに私は筋金入りの運動音痴で、逆上がりはおろか校庭の登り棒すら登れたことがありません。こんな私でも大丈夫か?と不安に思いながら「見学自由」の言葉を信じて、ジムの前まで行ってみました。

 ガラス張りのスタジオ。壁を登る人を応援したり、楽しそうにおしゃべりをする人たち。年齢層は若め。和気あいあいとしていました。みんなダンスをする人かおしゃれランナーのような格好をしています。

 ダメだ…。私は入ることすらできず引き返しました。37歳・地味目の人見知りにはボルダリングの壁は想像以上に高かったのでした。(シズ)

第675号 「イスラム国」非難決議