第661号 自然エネ政策を止めるな

2014年10月19日 (日) ─

 太陽光など自然エネルギーの普及を後押しする固定価格買取制度(FIT)をめぐり、九州電力など電力5社が、自然エネ発電電力の新規受け入れを停止した問題が波紋を広げています。

◆電力会社の言い分
 電力会社の言い分は、自然エネ、特に太陽光の急増に対応しきれず、送配電設備の能力が限界に達したためというものです。電力を安定供給するためには、電気の入りと出、すなわち、需要と供給を常時一致させる必要がありますが、天候により出力が変動する太陽光を含む発電の供給が、需要を大きく上回れば、周波数が上昇して大規模停電が発生するおそれがある、という説明です。

◆対策は本当に十分か
 しかし、この電力会社の言い分を鵜呑みにすることはできません。電力会社は、「送配電設備の能力の限界に達した」としていますが、本当に自然エネの受け入れ可能量を増やすための対策が十分に行われているのか、慎重な検証が必要です。 出力が変動する自然エネを上手く使うためには、余った電気を調整・転用する方法が不可欠です。それには主として以下の二つの方法が考えられます。

 第一に、揚水発電を用いた調整です。例えば、太陽光の発電量が多い昼間の時間帯に、電気を使って、水を上部のダムにくみ上げ、夕方や夜間に水を落とし発電するというやり方です。揚水ダムは、24時間稼働する原発の夜間の電力を「貯める」ために作られていますが、原発が稼働していない現在の状況では、そのインフラを自然エネのために使うのが理にかないます。

 第二に、地域間連系線と呼ばれる、異なる電力会社管内をつなぐ送電線を使った管外への送電です。自然エネ受け入れ停止を表明した電力会社は、九電、東北電など、大消費地を持たない電力会社です。そこで、これらの電力会社が発電した電気を、東京電力管内などの大消費地に送り、発電された電力を均すことで、受け入れ可能量を増やすことが考えられます。電力会社は、連系線の容量には限界があると主張しますが、本当に連系線に空き容量がないのかは、きちんと検証する必要があります。例えば、東北電力管内については、福島第一、第二原発から首都圏に電気を送っていた送電線が、原発事故後、空いており、この送電線を自然エネのために使うことも一案です。

◆遅すぎた対応
 自然エネ推進の肝は、系統(送電線)問題です。2011年に民主党政権で、自然エネ推進の切り札とされる固定価格買取制度を創設した当時から、系統問題は最重要課題として議論され、上記対策の必要性は、私が会長を務めたエネルギー・環境調査会をはじめ、党として繰り返し提言してきました。

 経産省は、今週、この問題を議論する有識者会議を開きましたが、自民党政権への交代後2年間も対策が講じられてこなかったことは極めて遺憾です。原発インフラの自然エネへの転用など、将来の原発や自然エネ比率を政治判断しないと進まない対策も多々あります。安倍政権は、エネルギー政策の目標を曖昧にしてきましたが、その姿勢が、今回の問題の背景となっています。安倍政権の自然エネ政策への本気度が問われます。(了)

 

スタッフ日記「思春期に少年から大人に変わる」

 現在、立命館大学に通うノブナリと申します。この夏は、まぶち事務所で2ヶ月の間インターンシップをさせて頂いておりました。

 普段は平凡な学生生活を送っておりますが、実は僕にはもうひとつの顔があります。それは、ラジオの「ハガキ職人」です。中高生の頃から毎夜のように夜更かしをし、深夜放送を最後まで欠かさずに聴いています。自分の投稿したハガキが採用されたときは、それはもう天にも昇るような気持ちになります。そうした快感が忘れられず、常にネタ帳を持ち歩いているほどです。

 僕がラジオと出会ったのは中学2年生の頃でした。今となっては取るに足らないことだったように思えますが、当時はひととの距離感が上手く掴めず随分と思い悩んでいました。夜、ベッドに横になるとその日の出来事が次々に思い起こされます。友達から言われた何気ない一言にひとり傷つき、涙を流すことさえありました。

 そうした孤独な夜に、そっと寄り添ってくれたのが他でもないラジオです。枕元にあるラジオから流れる声はまるで僕にだけ話しかけてくれているようでした。その声に耳を傾けていると、不思議にすんなりと眠りにつくことができました。僕の相談を受け、番組の方が直接メッセージを下さったこともあります。それが、どれだけ励みになったことか。

 ラジオは僕に「心の安定」をもたらしてくれたのです。その頃から、僕にとってラジオはかけがえのない存在になったのです。(ノブナリ)

第661号 自然エネ政策を止めるな