第645号 都議会ヤジ問題について
東京都議会で、質問に立った女性都議が、「早く結婚した方がいい」などのヤジを浴びた問題が、国内外で波紋を広げています。
◆ヤジ問題をめぐる経緯
ヤジを浴びたのは、みんなの党会派の塩村文夏都議で、18日の都議会の本会議で出産や不妊に悩む女性への都の支援体制について質問をしている際に、自民都議が座る一角から「早く結婚した方がいい」などのヤジが相次ぎました。
同日夜、塩村氏がツイッターに投稿したところ、リツイートが3万件近くに達するなど波紋が広がり、また、多くの欧米メディアも、2020年東京五輪開催と絡め、この問題を批判的に取り上げました。
そのような中、23日、自民会派で政務調査会長代行を務めていた鈴木章浩都議が、ヤジの一部を認め謝罪しました。しかし、発言者が他にもいると指摘されているにもかかわらず、都議会自民党は、幕引きを急ぎ、民主党・みんなの党提出の発言者特定を求める決議案を否決し、信頼回復と再発防止に努める決議案のみを可決。25日に都議会は閉会しました。
◆問題の本質は議会のあり方
メディアは、議会の品位や、人権侵害の問題として取り上げていますが、今回の件はそれらにとどまらず、問題の本質は、「言論の府」たる議会における、議論のあり方であると考えます。
少し難しい説明になりますが、例えば、Aという人が、ある主張を行った時、それに反論する方法としては、①主張そのものに対する反論を述べる、又は②そもそもAが、その主張をおこなう「資格」がないと反論する、の2つの方法が考えられます。この場合、反論する側として容易なのは、②の方法です。特に、人種、性別などの、本人の意思では変えられない属性に着目して攻撃した場合、Aが行う主張全てが弱められるため、Aとしては、再反論を行うことさえ難しくなるからです。さらに、②の方法は、多数派が少数派を攻撃する際には特に有効な手段となります。
今回のヤジは、既婚者でないことをもって、塩村氏の、都の妊娠・出産の支援体制について問題提起する「資格」について疑義を呈したとの見方もできます。これは、上記②にあたり、塩村氏の主張の中身についての議論を閉ざすものです。
言うまでもなく、言論の府である議会は、何よりも言論を大切にしなければならない場所です。それは国会であろうと地方議会であろうと変わりません。それゆえ、議員は、互いの主義や立場の違いを認めつつ、主張同士を正々堂々とぶつけ合う方法、すなわち、上記②ではなく①の方法で議論を行うべきです。今回のヤジ問題の本質は、まさにこの点にあります。
定数127の都議会において59の議席を握る自民党が、数名の少数会派の質問に対して、上記②の方法で臨み、議論を潰すことは容易です。しかし、今回、全国最低の合計特殊出生率1.13の首都東京の議会における、出産支援策についての議論は深まらないままとなってしまいました。事実と根拠に基づき論陣を張り、政策の議論を徹底的に行う、議会は本来そのような政策論議の場所です。今回の問題は、議会、そして議会人のあり方について根本的な問いを投げかけています。(了)
スタッフ日記「新たな発見」
梅雨の季節だということもすっかり忘れてしまいそうな猛暑日が続き、各地での異常気象もテレビでよく耳にします。
先日、ハマーさんの実家から、段ボールいっぱいに詰まったビワが奈良事務所に届きました。ここだけの話、北海道生まれの私はビワという果物があることは聞いたことがありますが、実際に目にするのは初めてでした。ビワと聞くと楽器の“琵琶”のイメージがどうしても頭を離れません。まじまじと見ながら、たしかに、曲線が琵琶っぽいか?などと考えながら、オレンジ色の実をおそるおそる口へ運ぶと、口いっぱいに広がる甘さと、何ともいえない“渋み”が後に残り、思わず苦笑いをしてしまいました。ある方から、他の旬の果物に比べて特別おいしいものではないが、この渋さがいい!この季節を逃したら食べられないんだよ、と教えて頂きましたが・・。コーヒーの苦みにも弱い甘党の私には結構な渋みでした。
初めてのビワにさっそく興味を持ち色々と調べてみると、ビワは主に長崎県、千葉県、鹿児島県などの温暖な地域での栽培が多いようで、5月~6月が旬。
また、ビワに含まれている栄養素や成分は、疲労の原因となる活性酸素を除去する働きがあり、その含有量は、ピーマンの約2倍も多く含んでいるそうで、がん予防にも効果的なのだそうです。これには驚きでした。
連日のサッカー観戦で寝不足の方も多くおられると思いますが今年はビワで身体の疲れを癒し、真夏前のこの季節の味を口いっぱいに感じてみてはいかがでしょうか。(特命係長)