第613号 「100年企業」に学ぶ
「日本再興戦略」(平成25年6月14日閣議決定)に盛り込まれた施策を実行し、日本経済を再生し、産業競争力を強化することを目的とした産業競争力強化法案の審議が行われています。法案では産業競争力の強化の観点から、企業の提案に基づく「規制改革」を実行するための新たな特例措置、「産業の新陳代謝」を加速するためのベンチャー支援や事業再編の促進などの措置を講じることが示されています。
しかし、私は「産業の新陳代謝」という「変化」への道筋だけが、日本の競争力を高めていくことにつながるのか、という観点からの検証が必要と考えています。言い換えれば、グローバルに駆け抜ける「強欲資本主義」に対する弊害が明らかになってきた今日、大震災や大恐慌、敗戦をも生き抜いた「100年企業」のDNAを徹底分析する必要があるのではないかと思っています。それは、まさに「売り抜ける資本主義」から「育てる資本主義」への脱却を意味するものです。
◆日本は老舗大国
日本は老舗大国です。創業100年以上の会社は2万7441社にのぼり、創業200年を超える会社は3973社もあります。全世界最古の企業は寺社建築に携わる金剛組で、創業は飛鳥時代の西暦578年です。次いで旅館の慶雲館、千年の湯古まん、法師と1000年以上の歴史を持つ企業が続きます。日本国内の企業の平均年齢は35.6歳ですから、極めて異例の長寿会社が存在するということです。
世界に目を向けると、創業200年を超える企業は7780社で、その半数を日本企業が占めます。上位国別で見ると、日本の3973社に次ぐドイツで1850社、以下はイギリスの467社と激減します。つまり、日本は世界に冠たる老舗大国なのです。
◆風土と精神文化が生みだした無窮の連続性
稲作による生活は米文化として共生の概念を涵養し、「一所」を命懸けで守る精神へと昇華していきました。また、コメは発酵技術を発展させ、腐らずに調和させ熟成させていくことを日本人に学ばせてきました。さらに自然災害に対する粘り強さという「天然の無常感」をも醸成させてきました。そして最も重要な要素として、神話の時代以来、祈りの国として「利他の精神」が国民の中に共有されてきた精神文化があります。これらの要素が、多くの老舗企業に宿り、家族主義的な企業経営の形態となって長寿化を生み出したと考えられます。
◆強欲資本主義からの脱却
米企業をはじめとする多国籍企業による「租税回避」が、G20でも重大な問題とされています。グローバル企業は利益追求の名のもとに収奪的な政治経済体制を維持しようとしますが、一方で、我が国では分配型発想の企業が世界に冠たる永続性を誇っています。言い換えれば、米国流の「フランチャイズ型」と日本流の「のれん分け型」の違いであり、効率的なロイヤリティ回収システムのフランチャイズと、信頼の分配・拡大再生産システムである「のれん分け」の違いとも言えます。このように、私は、真の競争力強化の種は、実は日本の歴史そのものの中に潜んでいることを忘れてはならないと思っています。(了)
スタッフ日記「金木犀の香り」
バス停から、自宅に帰る途中に一本の金木犀の木があります。毎年秋になると黄色いちいさな花をたくさん咲かせ、あたりは甘い香りにつつまれます。甘い香りを嗅ぐたびに、今年もこの季節が来たんだなあと思いだす光景があります。
私がまぶち事務所で働き始めて最初の選挙の日々。はじめてのなれない作業の連続で、周りの景色をゆっくり見る心の余裕もなく、気がつけば一日が終わっていました。
夜道を、クタクタになって家に帰る毎日。そんなある日、甘く懐かしい香りがし、周りを見渡すと金木犀の花がたくさん咲いていました。甘い香りに疲れが和らぎました。
時は流れ、今年の11月9日、まぶちすみおは議員活動10周年を迎えます。私が出会ったころ(まだ議員になる前の)民主党の馬淵澄夫を知っている人はまだ少なく、ポスターを張って下さる家も、ほとんどありませんでした。代議士がこうやって議員活動を続けてこられたのは、本人の力だけではありません。本当に多くの方々の応援と支えがあったおかげだと改めて思います。この10年、政治の世界は大きく変動しています。民主党に対しても厳しいご意見をたくさん頂きます。けれど、代議士は役割や肩書は変わっても、何事にも正面からむきあい突き進む、そしてそのために努力を重ねていける人です。それは、出会ったときから変わっていません。
私は、代議士にこれからも変わらぬ熱い想いで、党を再生し、いつの日かこの国を担ってもらいたいと願っています。(まーちゃん)