第548号 3つの選択肢の意図
6/21、原子力委員会(原子力委)による「核燃料サイクル政策の選択肢について」が発表され、6月29日にはエネルギー・環境会議(エネ環会議)で「エネルギー・環境に関する選択肢」が示されました。
しかし私が危惧していることがあります。その1つが、原子力委内の原子力発電・核燃料サイクル技術検討委員会(技術小委)の結果を踏まえた「核燃料サイクル政策の『3つの選択肢』」と、エネ環会議で示された「3つのシナリオ」との間に微妙な表現の変化があることです。
◆ありうる、に変更された理由
エネ環会議は技術小委による検討結果を受けて中間的整理をまとめ、2030年時点での原子力発電比率を、①0%②15%まで下げる③約20~25%、の3つの選択肢で検討しました。
6/21の原子力委では、これら3つの選択肢に対し核燃料サイクルを①…全量直接処分(核燃料サイクルの中止)、②・③…再処理・直接処分併存と定めました。私自身はこの結果に異論がありますが、政府としては現行の政策からの見直しが図られたと評価することができます。
その後、6/29のエネ環会議では「3つのシナリオ」は①…全量直接処分、②・③…再処理・直接処分がありうると変更されました。
ほんの少しの表記の違いに見えますが、ここには大きな意味の違いがあります。
「併存」は「全量再処理」ではありませんが、この後ろに「ありうる」をつけることによって、再処理もしくは直接処分のいずれかの選択もありうる、すなわち、「全量再処理」という選択もある、という意味となります。事実、経産省もそうした解釈が可能だと漏らしています。
ここまでして全量再処理にこだわる理由は、事業者側では、再処理が困難な場合は使用済核燃料の搬出などの措置を速やかに行う約束を地元としているからであり、国の場合は青森県と核燃料サイクルの推進を約束しているからです。こうした状況下で政策を転換することは苦しい結論でしょう。
◆なぜ世論調査を行わないか
また一方で政治の思惑も見え隠れします。エネ環会議の報告書では今後の作業として「国民的議論」を8月上旬までに行い「大きな方向を定める革新的エネルギー・環境戦略」を決定、そしてそれを「政府が整理し決定する」としています。
この「政府」とは「3+2」の関係閣僚、つまり、枝野、古川、細野の三大臣と斉藤副長官、仙谷政調会長代行です。8月中にこの5人で大きな戦略を決めるということは、この件を代表選の争点としないという政府と執行部の意思の現れでしょう。
こうした思惑のため、政府としてはお盆前に「国民的議論」を終わらせなければならず、そのため「国民的議論」の選択肢から「世論調査」が削除され、「討論型世論調査」へと変更されました。これは3~5千ほどの母集団から300人程度を抽出し、討論を行うもので、大規模な世論調査とは大きく異なります。おそらく世論調査によって結論が①0%(再処理をしない)に流れるのを恐れたのでしょうが、こうした拙速な政策決定プロセスは大きな禍根を残すことになりかねません。
国民生活に直結する最も大事な課題があらぬ方向に向かわぬよう、与党議員として監視と発信を高めてゆきます。(了)
スタッフ日記「久しぶりの外回りで感じたこと」
先日、男性スタッフと一緒にまぶちニュースのポスティングとポスターのお願いに行きました。まぶち事務所では、時々全員参加で活動をしています。皆で取り組むことによって、同じ目的に向かって協力することができ、連帯感も生まれます。自分がやってみて初めて気づくことというのももあります。
代議士は日ごろから、地元の方々が何を思い、どのような生活をされているかを感じることが何よりも大切だと言っています。ですから、代議士本人も可能な限り、朝、駅でビラを配ったり、ポスターのお願いをするなど、直接地元の方々にお会いする活動を続けています。
いつも事務所内で仕事をしている私にとって、地元の方々に直接お会いしてお話を伺う機会はめったにありません。だから、最初はインターホンを押すのが心細く、勇気がいります。厳しいご意見も頂きますが、直接お聞きするとその方の想いがより伝わってきます。お会いした方から、「雨の中ごくろうさま」「まぶちさんがんばってはるね。応援しているよ」など温かい言葉をかけて頂くと、勇気と元気を頂きます。私がお会いできたのは、ほんの一部の方々ですが、本当に多くの方々に支えて頂いているのだなあ、と改めて感じました。
ここのところ「今の政治は国民目線でない。国民不在で行われている」とよく言われています。少しでも皆さんの想いを伝え、皆さんが望んでいる政治が実現できるよう、事務所全員で頑張ります。(まーちゃん)