第532号 トリガー条項

2012年3月17日 (土) ─

 社会保障と税の一体改革関連法案の党内事前審査が始まりました。昨年末の12月29日深夜の決着となった党税調の議論と同様、今回も、長時間の議論が繰り返されています。

◆トリガー条項 
 さて、今回の一体改革関連法案では、消費税法の改正そのものが議論の焦点となることは言うまでもありません。特に、昨年末の議論で最後までもつれた税率引き上げの施行期日(平成26年4月1日から8%、平成27年10月1日から10%)の規定は政府としては譲れないだろうと想定される中、党内議論でどのような修正協議が行われるのかが争点です。  

 私は消費増税の議論が煮詰まってくれば、最終的には景気の回復、経済状況の好転がどうやって判断されるのか、ということが焦点となると考えていました。そのため「円高・欧州危機対応研究会」を議員有志によって立ち上げ、2月23日には政府・日銀に対して年度末までのさらなる量的緩和や、デフレ脱却のための強力な意志となる、インフレ目標「2%超」への引き上げなどの提言をおこなってきました。13日の日銀金融政策決定会合で、さらなる量的緩和がなされなかった今、一方で景気の回復に冷や水を浴びせかねない増税に対してはより一層の注意を払わなければならないとの意思を持って研究会でも党内議論の前にいわゆるトリガー条項(弾力条項・この条件を満たすならば、法律を実行できます、という項目)を検討しました。 

 閣議決定した大綱では、経済状況の好転を指標によって確認した上で、停止を含めた措置を講じることになっているため、具体的にはこの規定を整理する必要があります。

◆指標をどうするか 
 かつて橋本内閣の財政構造改革推進特別措置法では、後に実質経済成長率が2四半期1%を下回った場合には財政再建(増税)を停止するという条項が取り入れられました。その場合は施行期日を含め政令でその規定を定めるとしているのですが、今回も同様に、というわけにはいきません。長時間の議論を経てやっとこぎつけて盛り込んだ施行期日を執行部が政令にレベルダウンさせることはないでしょうし、政府としてもそこまで譲歩するとは考えにくいところです。 

 むしろ、大綱では「種々の経済指標を確認し」としているので、指標を明確にして目標として設定することが重要です。期日を明記させる代わりに目標値も明記させ、施行するにはその達成を条件とするのです。その際の目標には、平成22年6月18日に閣議決定された「新成長戦略」で規定されている「名目3%、実質2%を上回る成長」を設定すべきと考えます。また、同戦略で規定されている「GDPデフレーターでみて1%程度の適度で安定的な上昇」も妥当です。 

 こうした目標値を設定した上で、「その達成が出来ず、経済状況の好転を確認できない場合には、施行期日見直しの法案提出を行う規定とする」という、いわゆるストップ条項を求める予定です。わずかな変更が大きな骨格を揺るがしてしまう可能性を執行部が恐れていることは十分承知していますが、国民からみて納得できる結論、少なくとも経済を第一に考えるという姿勢が見られない結論はありえない、ということをしっかりと肝に銘じる必要があります。(了) 

 

スタッフ日記「できないと思ったらできない!」 
 私は2月から奈良事務所でインターンをしている経済学部の大学生です。 

 難しくて理解しにくい授業や眠気に襲われる授業もある中で、最近とても感動した授業がありました。「史的唯物論」について学んだ時のことです。 
史的唯物論とは、歴史上の出来事でいえば、活版印刷という技術の存在によって人々の意識が変わり、宗教改革が起こったというのが一例です。つまり、「実際に存在するものが人の心を決める」という考え方です。 

 しかし当の、教えている教授自身はその考えには賛同しかねるようでした。いわく、「存在が意識を決めるのではなく、本当はその逆で、意識が存在を決める。だから、できないと思ったらできないのだ」ということでした。私はその言葉にハッとさせられました。今でも忘れることが出来ません。 

 その頃の私は部活で大きな役を任され、荷の重さのために憂鬱になっていました。しかし、「できないと思ったらできないのだ」という言葉はとても衝撃的で、ふっと気持ちが楽になりました。もっと言うなら、やってみる勇気が湧いた気がしたのです。あんなに嫌だったその役も今では何とか続けることが出来ています。 

 インターン活動でも街頭アンケートやプレゼン発表など大変な課題があります。でも、そんな時こそこの言葉を思い出し頑張っています。 

 これからも、自分には出来そうにない事なんてたくさんあると思いますが、「できないと思ったらできないのだ」という言葉を胸に、自分の能力を超えていそうなことにもしっかりと向き合い、取り組んでいきたいです。(ちゃり)       

第532号 トリガー条項