第516号 地位協定運用見直し
先日の沖縄訪問で最も多い訴えが、基地負担軽減の要望でした。その中でも基地の移転問題の先行きが見えにくい状況の中、「基地がある前提を認めるわけではないが」という断りつきで多かったのが「日米地位協定の見直し」でした。「日米地位協定」は、昭和3 5年1月1 9日の「日米安保条約」第6条の規定により定められたもので、米軍基地についての施設、区域の使用や、軍隊の地位を取り決めたものです。この地位協定では、米国の「軍隊の構成員」「軍属(基地で働いている軍人以外の米国人)」、「家族」が規定され、基地利用の詳細にわたって日米の合意事項が記載されています。沖縄県民には、この地位協定こそが長年の基地負担の根源になっているとの思いが強くあり、基地負担の軽減はすぐにできなくても、主権国家である日本が50年経った今も変わらず地位協定変更を働きかけることができない状態を憂いておられるのです。
◆運用の「見直し」
先日、この地位協定の一部の運用見直しが報道され、話題となりました。これは1月に米軍属が交通死亡事故を起こした事件について、いったん容疑者(軍属)は不起訴となったものの、那覇地検が25日に自動車運転過失致死罪で在宅起訴したと発表したことを指しています。今までの地位協定の運用では、日本国内で事件や事故を起こした米国の軍関係者については米軍に優先的に裁判権があり、結果、日本の法律にのっとっての裁判はほぼ不可能な状態でした。今回の地検の決定は、日米両政府が地位協定の運用見直しで合意し、米側が日本側の裁判権行使に同意したことによるもので、ずっと法務当局に裁判権行使の必要性を訴えていたという地検の思いが実った形となります。次席検事も「被害者には何の落ち度もない。日本人なら刑事罰が相当だ」と説明しています。地位協定により阻まれていたある意味当たり前のことが、運用の改善により可能になったのです。
日米両政府は、この運用改善について新たな合意文書を締結しました。これにより、まず、米国が刑事訴追するかどうかを決め、日本に通告し、訴追しない場合は日本は米国に対し30日以内に日本国内で裁判を行うことに同意するよう要請できることになります。その際、交通死亡事故などの重大事案については米側は日本の要請に「好意的考慮を払う」として、事実上日本の裁判権を認める運用に変更したのです。
◆本格的な見直しは?
しかし、これはまだまだ氷山の一角であり、本格的な見直しとなると政府は慎重です。地位協定の最も重要な点は、いわゆる「思いやり予算」などの日本の米国に対する経済的支援であり、これらは特別協定により5年ごとに締結され続けてきた、ある意味恒久的な措置です。また、今回のような死亡事故を含む事例だけではなく、全ての事例について裁判の運用がなされるべきですが、取調べに弁護士の同席が認められず、その上可視化も十分でない日本の司法制度そのものが米国の事情と違うことから、米側が難色を示し、再考の余地はほとんどない状態です。今後、93年に米国とドイツで行った戦略的対話を元に、東アジアの安心安全を考慮しながら地位協定の見直しを話し合う必要がありそうです。 (了)
スタッフ日記「だいたいどのくらいの重さですか?」
家電量販店に行くのが好きです。
お気に入りは冷蔵庫と炊飯器です。ロックアイスのような氷ができたり、真空になる部屋があったり、勝手に節電したり、冷蔵庫はどんどん新しい機能が増える代表格で、わくわく感を刺激します。逆に、炊飯器は、とにかくごはんをおいしく炊くことを各社競い合っているストイックな商品です。炭釜を使ったり、火力を工夫したり、と職人みたいなこだわりようがたまりません。たとえれば、冷蔵庫は新古今和歌集、炊飯器は古今和歌集、「たおやめぶり」と「ますらをぶり」と言ったところでしょうか。
ところで、ノートパソコンの表示について一点、大変気になっていることがあります。
「1.46kg」などと重さが表示されているのですが、それでは全くイメージが沸かないのです。「このパソコンはあのパソコンより200g軽いです」と言われたところで、機能と重さを比べて、どれくらいの得なのかよくわかりません。手で持ってみれば、なんとなく重さはわかりますが、かばんに入れたときと手で持った時とではちょっと体感が違います。しかしまさか商品をかばんに入れてみるわけにはいかないですし…。
例えばキティちゃんのように「りんご3個分」などと言ってくれれば「そうか、りんご3つもかばんに入れたら重いよなあ」といった想像が働きそうなものだ、と思い、店員さんに聞いてみました。「1.46kgって、大体どのくらいの重さですか?」。しかし店員さんは「いやぁ…」と遠くを見つめて黙ってしまいました。どうやら困らせてしまったようです。
買わないのにすみません…。(シズ)