第498号 デマンドレスポンス
エネルギー政策は、国家の安全保障問題でもある一方で、重要な産業政策でもあります。
ここのところ、エネルギー政策というと、具体的に需給をどのようにコントロールしていくのか、経済への打撃をどうやって最小限に抑えるべきかという、脱・原発依存の場合の電力需給問題ばかりが議論の中心となっていますが、需給コントロールは原発の再稼動が行われない限り、かなり厳しい状態となる見通しです。もちろん、「埋蔵電力」と呼ばれている自家発電の利用も検討はされていますが、実用的に十分に融通できるかどうかは難しいところです。
◆埋蔵電力でまかなえるか?
電気事業法に基づいて届出をしている1000kw(キロワット)以上の自家発電設備を国内で全て稼働させたとすると、約5400万kwの発電能力があります。このうち「卸(おろし)供給」という、元々電力会社に売られていた分と、この夏を乗り切るために売られた電力を合わせると、約2200万kwになります。残りの約3200万kwが純粋な「自家用」の電力ですが、当然、自家用なので空きがなければ売電に回すことはできません。しかも、その中で売電をするための設備が整っている所は少なく、3200万kwのうち、売電に回るのは1割にも満たないでしょう。
また、非常用電源の約2300万kwが取りざたされることもありますが、これはまさしく「非常用」であるため、常時運転するのは現実的ではありませんし、こちらも売電用の設備はほとんど備わっていません。
こうして考えると、埋蔵電力による新たな電力供給は非常に困難と言えます。
◆デマンドレスポンス
だからこそ「節電」という発想に至るのですが、重要なのは「節電」=「我慢」ではなく、「需給の管理を徹底する」という発想で受け止めることです。一例として、電力会社が電力需要の高い時間帯に各家庭での家電製品の稼動を調整したり、あまり電気が使われていない時間帯には電力を貯めるようなシステムが考えられます。この仕組みを「デマンドレスポンス」と呼ぶのですが、私自身は、このデマンドレスポンスを経済政策へと反映させるべきだと思っています。
一方、「需要側管理」=「デマンドサイドマネジメント(DSM)」と呼ばれる消費者側が電力を管理する仕組みも産業政策として大きな可能性を秘めています。
例えば、需要側管理を行うには、電力を貯めるための蓄電池を設置しなければなりませんし、リアルタイムで需要を把握するためのスマートメーターも必要となります。こうした、蓄電池やスマートメーターの生産や開発に国が関与することは、経済政策としてのエネルギー政策に十分なり得ます。
スマートメーター、というと電気料金メーターがちょっと進化したもの、というイメージがありますが、需要管理を図るための大変重要なツールであり、いずれは電力の供給構造を大きく変える起爆剤ともなりうる代物です。一定規模のスマートメーターの支給や設置への支援、それから蓄電の買取価格の見直しなど、3次補正で節電の仕組みを需要サイドに立って考えることにより、さらに可能性は広がります。
もちろん、「入口」である、電力供給の再生可能エネルギーへのシフトも重要ですが、それを待つだけではなく、デマンドレスポンスやDSMによって需要側からも「出口」で対応することも考えなくてはなりません。(了)
スタッフ日記「祝・還暦」
今週7月21日は杉ジィこと、公設第一秘書の杉岡さんの誕生日でした。御歳60歳になるということで、数日前からさりげないアピール!「今日は何日や?あ、そうや、21日は俺の誕生日や、60歳、還暦や!今度の木曜やな…」
冷たいことに事務所内ではリアクションも少なく、杉ジィもどこか淋しそう。
そうは言ってもこの馬淵事務所、人生の記念すべき大事な日を無視は絶対いたしません。本人に気づかれないように着々とサプライズパーティを準備しました。
急に入った事務所打合せという予定に、「何の打合せや?」といぶかりながら着席した杉ジィ。全員から「お誕生日おめでとう!」と拍手が沸くと、本当に照れくさそうに、ニコッと言うか、デレッと言うか、なんとも言えない笑顔を見せてくれました。そして、代議士直筆の「祝・還暦」と書かれた赤いちゃんちゃんこと、頭巾をつけてみんなで記念撮影。
代議士は、いつもはサプライズされている側なので、今回逆の立場になってすごく楽しそう。ちゃんちゃんこに祝いを書くときも、いたずらを企てる少年さながらに“そわそわ”でした。始まる直前には「どういう風に動けばいいんだ?」と流れの確認にも予断がありません。どんな事にも真剣に取り組むのが馬淵事務所のモットーです!そうでないと、本当の思いは伝わらない。
ともあれ、ひと時ではありましたが全員で杉ジィの還暦のお祝いをすることが出来てよかった。でも、ほんとは地元奈良で、パーッとお祝いしたかっただろうなあ~。(チョロ)