明けましておめでとうございます

2016年1月1日 (金) ─

 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。

 昨晩より、新年の挨拶回りは地元の氏神様から。例年のことだが、年々、しんどくなるのは歳をとったということだろう。

 年末の26日に次女に第三子の長女が誕生し、晦日にベビーと共に退院。我が家の一部屋を陣取って、4歳、2歳の悪ガキちびっ子ギャング共々にやってきて、突然、賑やかな状態になった。義父や両親を見送ったり、子どもが巣立ったりだったが、久しぶりに12人が家の中にいる。かまびすしいが、なんとも心が和む瞬間でもある。

 年始の挨拶回りと、年末の疲れで、今日の午後からは少し身体を休めた。

 少し、時間がある時に、また、参院選はじめ補選や衆院選の戦略の練り直しをしっかりとやっておきたいと思う。

 目の前の課題としては、一つは衆院の定数削減がある。1月14日には、議長の諮問機関から答申が出される。これにより、10減案が遡上に載る模様だ。

 議長の諮問機関として設けられた「衆議院選挙制度に関する調査会」が提示するであろう10減案での選挙は、ダブルでは不可能であり、現行定数となる。定数減に対して三回連続で「違憲状態」判決がなされている中で、再び475議席での選挙は、国民の大きな批判を浴びることも想定されるなか、定数削減の行方はどうなるのか。

 ことの経緯は、3年前にさかのぼる。

 2012年12月の衆院総選挙で、一票の格差は2.43に達し、2013年11月20日の最高裁判決では違憲状態にあるとの判断が示された。最高裁判決を受けて、衆議院議院運営委員会での議決(2014年6月19日)に基づき、衆議院選挙制度に関する調査・検討等を行うため、議長のもとに衆議院選挙制度に関する調査会が設置された。諮問事項には、「一票の較差を是正する方途」と明記されている。

 議員定数削減は民主党政権時代の野田総理と、自民党安倍総裁との党首討論での約束であり、委員会の諮問内容には、「各党の総選挙公約にある衆議院議員定数削減の処理」と明記されている。これを基に、議員定数削減が議論されてきた。調査会の佐々木毅座長(元東大総長)は、特に議員定数削減について積極的であったり、逆に消極的であったりといった言動を行ってきた学者ではない。政治学者として、選挙にも詳しいことが評価されて座長に就任したと言われている。

 調査会では、一票の格差を小さくするために、都道府県の人口をある数で割り、得られた商の小数点以下を切り上げた数を各都道府県の議席数とするアダムズ方式が妥当であるとされた。アダムズ方式のメリットとしては、格差是正の他に、小数点を切り上げるので(1.5→2)、小選挙区で定数1の県が当面生じないこと(人口最小の鳥取県ですら、当面は定数2が維持される)、他の方式に比べ、定数が増減する都道府県が少ないこと、が挙げられる。

 そして、アダムズ方式の採用により、一票の格差は、2012年総選挙の2.43、2014年総選挙の2.13から大幅に改善され、1.6程度になることが見込まれている。

 議員定数削減に関しては、(1)小選挙区1減、比例代表3減の計4減案と、(2)小選挙区6減、比例代表4減の計10減案が出されたが、歴史的経緯から、最も少ない定数である465議席とすべきであるという意見や、小選挙区と比例代表の議員比率である3:2の比率で削減すべきであるという意見があり、調査会としては、小選挙区で7増13減の6減、比例で1増5減の4減の、計10減が妥当であるとの結論に至った。答申でもこの案が踏襲される見込みだ。

 大幅な定員減について、佐々木座長は、記者会見で、「大幅に削減すると、地域によってはどんどん議席が減るとの不安感がある。」との発言を行っている。具体的な増減案は、小選挙区では、東京が3増、埼玉、千葉、神奈川、愛知が1増、青森、岩手、宮城、新潟、三重、滋賀、奈良、広島、愛媛、長崎、熊本、鹿児島、沖縄が1減である。比例区では、東京が1増、東北、北関東、東海、近畿、九州が1減。

 民主党は、小選挙区で3増18減案を示しており、枝野幹事長は、調査会案について、「早急に定数削減を実現させないといけない」と強調した。議員定数の3割削減を掲げる維新の党の今井幹事長は、「数は不十分だが、定数削減に踏み込んだ点は評価したい」と述べた。

 一方、共産、社民両党は、定数削減そのものに反対の姿勢だ。

 公職選挙法改正、区割り改定法については、1月14日の調査会答申のあと、答申を受け取った衆院議長のアクションにより、その是非が検討されることになる。具体的には、総務省下の常設審議会である衆議院議員選挙区画定審議会で審議され、是非が判断される。また、具体的な区割りもここで決定される。

 ここで問題となるのは、調査会の答申はあくまで5年前の平成22年の国勢調査での各都道府県の人口に基づいて検討されたものであって、最新の平成27年の国勢調査の速報が発表される来年2月以降の選挙区画定審議会では、最新の人口動態を参考にする可能性があることだ。

 そうなれば、増減の対象となる都道府県が変わることもあり得る。ただ、区画審議会が最新の国勢調査を参考にするかどうかは不明だ。具体的な区割りについては、区画審議会が決定するので、今の時点では全くの未定である。

 区画審議会による決定の後、公職選挙法の改正や、区割り改定法として閣法として国会に提出され、審議、可決成立という流れとなる。

 現時点で答申も出ておらず、スケジュール感については不明確というほかないが、前回の小選挙区0増5減の改正の際のスケジュール感は参考になる。0増5減の改正の際は、定数3の県5県が、定数2に変更された。当時、区画審議会は、2012年11月26日に区割りの審議を開始し、約4か月間の審議を行い、2013年3月28日に総理に勧告した。総理勧告後に閣法として提出され、2013年6月24日に可決成立した。

 0増5減という比較的限定的な改正でさえ、区割り審議会での審議に4か月かかっている。(成立までには7か月間もかかっている。)今回のように7増13減という大規模な改正で、利害関係も複雑に入り組んでいる状況では、とうてい次期通常国会で改正案が成立することは不可能であろう。よって、仮に来年夏に衆参ダブル選挙が実施されることになったとしても、7増13減の下で総選挙が行われることはほぼ想定出来ないと考えられる。

 普通に考えて今回の7増13減を2月以降の区画審議会で審査し、その後国会審議を経て可決成立させるのには、ゆうに1年はかかると言われている。来年中に総選挙があったとしても、間に合わないのではないか。

 公明党は今回の7増13減案に対しては比較的好意的である。しかし、自民党内部に反発が大きい。減少する地方部の小選挙区議席は、ほとんど自民党議員が占めているからだ。0増5減案の時でさえ、自民党内は反対の声が強かった。政府与党としては、改正を急ぐというよりも、最高裁判決と与野党合意に従って、改正に前向きに取り組んでいるということをアピールしたいだけで、本音は改正に後ろ向きではないか。最新の国勢調査の結果を反映させれば、定数増減都道府県と区割りに影響が生じることも考えられる。

 いずれにしても、国民が求めた大幅な定数削減は、未だ、なかなかに進まない状況をはらみながらとなる。今年の選挙は、原稿区割りで想定すべきと言うことになる。

 奈良は4つの選挙区で、準備だ。

明けましておめでとうございます