大臣の方針転換答弁
茂木経産大臣への経産委での質疑。
5日に発覚した、福島第一原発の地下貯水槽から汚染水漏えいについての質疑。
鋼製地上タンクを敷地内に設置して、原子炉建屋などに溜まった汚染された滞留水を移送してきた汚染水処理。しかし、鋼製タンクの容量は限られる。もはや露天掘り溜池状の地下貯水槽しかないとして7基が設置され滞留水の移送が行われてきたのだが、そのうちの2号貯水槽からの漏えいが貯水槽の水位の低下及び高い放射能濃度検出によって明らかになった。
水位の低下は、3月20日ごろから。
発表は4月5日。二週間以上、経過観察という状態だった。あわてて東電も2号貯水槽の汚染水を1号貯水槽に移送開始し始めたのだが、今度は昨日にその1号貯水槽からの漏えいが発覚。
汚染水処理の根幹が、崩れるかという状況に陥っていた。今日の、新聞各紙の朝刊では大々的にこのことが報じられている。
僕自身は、前回にも質疑で質したが、汚染水処理をして海に流すなどという場当たり処理はもはや破たんしていると主張してきた。福島第一原発の原子炉建屋4基をすっぽりと囲い込む、地下遮水壁工事を行うしかないのである。
昨晩は、こうした状況における質疑準備のなかで経産省、あるいは東電と激しいやり取りを繰り返した。
東電は、とうとう今日の国会質疑には社長、副社長が福島に急きょ出張したため、参考人としての出席はできないと言ってきた。
でたらめな処理を繰り返しながら、国会の質疑の場をも出席を拒否するなどは言語道断。社長、副社長以外でも構わないとの通告に対しても、かたくなに拒否だった。
もうこうなったら、徹底的に現状の地下水処理の問題点をあぶり出してやる、と意気込んでいたところだ。
しかし、質疑が始まって25分くらいのところで、茂木大臣から「汚染水をためる場所として使わない」と地下貯水槽利用の汚染水処理を行わないとの発言が飛び出した。
「昨日の夜、判断しました」との大臣答弁は、質疑手順の準備を整えていた中、事務方が「大臣のご判断をいただかないと回答できません」とこだわり続けた状況の中での最終の判断を意味する。
破たんしてしまっている汚染水処理スキームについて、厳しい質問が来るかもしれないとの判断が働いたか否かはわからないが、急きょの昨晩の大臣判断であることは間違いない。
茂木大臣の英断に対して心から敬意を表すると同時に、ぜひとも海洋汚染の危険性をはらむ現状の汚染水処理プロセスの抜本的見直しをしていただきたいと、切に望む。
大臣からは、現在東電が進めようとしている地下水バイオパス計画も何ら抜本的解決にはならないとの認識が示された。
ぜひとも民主党政権では最終的に実現し得なかった事故収束に全力で取り組んでいただきたい。
政権の更なる交代は、こうしてお互いに与党になった政党が切磋琢磨して現状打破を模索するという、意味ある政策監視プロセスが働くことを実感する場面でもあった。
野党でも、目指す政策実現のためにやれることがあることを久々に感じ、ほとんど寝ずでの質疑を終えた。
一歩一歩、着実に前に進めていく努力を続ける。