加害者でもあり被害者でもあり

2007年5月22日 (火) ─

 そういえば、先週末のテレビ出演の時に時事ネタとして福島の高校生の実母殺害事件についてのコメントを求められた。

 高校進学のために親元を離れて暮らす兄弟の一人が、実母を殺害し首と腕を切断しかつ頭部をショルダーバッグに詰めて警察に出頭したという、言葉を失ってしまうような事件。

 切り落とされた腕は白く塗装され、オブジェのように鉢植えに突っ込まれていたという周辺状況の猟奇性も含めて、マスコミは大騒ぎになった。チョット前にも、実妹を殺害した歯科医師一家の次男の事件が取り上げられていたことがあった。報道系のニュース解説番組や情報系のワイドショーなどでもこのような事件に対しては、加害者であり被害者である一家について、執拗に聞き込みをはじめとする取材を重ね、映像とコメントが流される。

 この状況に何ともいえない違和感を感じてしまう。

 確かに、犯罪心理学をはじめとする再発防止のための研究に資するためには事実の把握と分析が必要であろう。しかし、それはある意味捜査や法廷等含めて司法の場で行えばよいのではないか。果たして、一般の私たちが報道で「事実を知らねばならない」ことなのだろうか。

 これらの家族は加害者側でもあり被害者側でもある。このことに対する、一定の配慮は必要ないのだろうか。

 福島の事件の、残された家族の様々な人間像が映し出されその暮らしぶりまで報道される中、思わず「どんな家族だったかなど知りたくない。それより、もう知らさないで欲しい...。」とまで感じてしまう。

 番組中に、そんな言葉を発しそうになったのだが、次のコーナーへと移ってしまった。

 子どもには、命の大切さをあたたかな話で伝えたい。

加害者でもあり被害者でもあり