シビルエンジニアリング(市民工学)
一年ぶりの横浜国立大学土木同窓会総会。
今は、建設学科シビルエンジニアリングコースと称すらしい。ずいぶんとハイカラになった感じだ。女子学生の姿もチラホラで、かつて「女は入れない土木」と語っていた名物教授もいたが、隔世の感だ。
恩師の今井五郎教授が急逝されたのは去年の大晦日。その土質研究室も、地盤研究室と名を変えていた。
「もう、土質とは言わないんですねぇ。」と先輩方々に聞くと、「土だと、柔らかいものだけってイメージだから岩盤なんかも含める広い意味で”地盤”に変わったんだ。」との話。
へぇー、そうなんだ。工学教育の世界も、日々学際が拡がり、あらゆる意味で全般を学ばなければならないという意識が徹底しているようでもある。授業には、環境に対する意識も持たねばならないとして生態系や生命についても取り入れているという。
総会は、パーティー形式をやめて今年から教室の研究状況など「情報発信」の場にするという意味で、現役教授の特別講演などが組まれていた。
久しぶりに聞く授業のようで、大変面白かった。
水環境研究室の柴山教授による、スマトラ沖地震の津波被害とカトリーヌ台風による高潮被害についての分析は、被災直後に現地に飛んでいって三次に渡る調査結果をそれぞれの研究チームで共有するなどして国際的な協働作業によって緻密に検討されたものだった。
調査結果によりスリランカにおける津波の最大高さは48.9mに達していることを初めて柴山教授らのチームが明らかにし、波の運動エネルギーが位置エネルギーに置き換えられた結果からその凄まじさをあらためて浮き彫りした。
うーん、当時、海岸工学などあまりまじめにやってなかったなと反省しながら、地道かつ緻密な調査に頭が下がった。
こうした結果を基に、日本における地震災害などの時の津波シュミレーションやハザードマップの作成などの実務的な応用がなされていく。まさに、工学の世界。
その後の二次会は、地盤研究室の皆さんと横浜中華街へと繰り出していったのだが、日帰りで地元に帰らねばならず途中退席。変わらぬ先輩や後輩の姿を見ながら、あらためて、素晴らしい学問を学んできたな、と誇りに思う。