「崩壊の危機」に直面する住民の苦悩
2005年11月27日 (日) ─
耐震強度偽装問題で、基準を満たしていないとされたヒューザーの物件、江東区扇橋の「グランドステージ住吉」を訪問視察。
住民の方々のお話を聞かせていただいた。
突然の「住まい」の「死刑宣告」。さぞかし驚愕と絶望に打ちひしがれておられるのでは...と想像していたのだが、存外、皆さん元気にしておられた。
もちろん、表に出さないだけで大変なご心労があると思われるが、建物はモダンで、また招き入れられた室内は快適そのもの。確かにこの建物が崩壊の恐れがあるといわれても、今、住まいしている方々にとっては実感がないのは本音かもしれない。
67戸の住宅は、100平米以上ばかりで、130、160平米と広々とした高級感あふれるマンションである。住民の広報担当をされている方からもお話を聞いた。
「正直言って、何の過失もない住民には、これからどうなるかということは、一切想像もつかない。」と語る。無理もない。
都や区が、公営住宅を用意すると言っているが、50〜60平米の住宅に、今の生活の実態が収まるわけもない。また、ローンの扱いがどうなるかもわからない状態で、新たな負担は厳しい。
結局、どうすることもできないでいる住民と、余裕があって転居を進めようとする住民とで、温度差が生じたりもしているという。
ヒューザー側は、文書で住民の「重畳的債務の引き受け」をするとして暗に「免責的債務の引き受け」を拒否している。これでは、ヒューザーが破綻した場合は債務が残ってしまう住民側は納得できるわけもない。
何を望まれますか?、との問いに、「このマンションを気に入っている。ここに安心して住みたい、というのが本心です。」との言葉を聞いた。「住まい」という人の営みの土台が崩れることへの不安を、心の叫びとして聞いた思いだった。
「崩壊の危機」に直面する住民の苦悩