第806号 衆議院解散!

2017年9月23日 (土) ─

 ニューヨークで開かれている国連総会に出席中の安倍総理は、臨時国会冒頭での解散を決意しました。帰国後の25日に正式に表明するとされていますが、突然の解散風にあおられた永田町のみならず、国民はじめマスコミも騒然としています。

◆解散の兆候
 今年初めからの通常国会の予算審議では森友学園問題が俎上に載りました。国有地の大幅値引きによる払い下げについて安倍総理夫人の関与が取りざたされ、不可解な行政の対応に対して総理夫人の意向に対して「忖度」が働いたのではないかとの疑惑が噴出しました。

 また、その後は総理の「腹心の友」が経営する加計学園による獣医学部新設についても、総理の意向が「忖度」されて、国家戦略特区における設置が決定されたのではないかとの疑惑が浮上しました。

 これらの疑惑と、度重なる閣僚の失言や与党議員の暴言など、行政の私物化と共に一強政治による政治の腐敗が顕著となり、7月の都議選で自民党は大敗北を喫しました。

 さらに、政権支持率の低下は収まらず、ついには内閣支持率が不支持率を大きく下回る状況となりました。

 その後、政権浮揚を賭けて内閣改造を行い、8月に「仕事人内閣」を発足した安倍政権は、度重なる北朝鮮のミサイル発射や核実験などの挑発行為によって国家安全保障上の緊張感が高まる中、「有事の政権頼み」の作用によって支持率の回復が見られるようになりました。

 一方で、民進党の前原新体制は、執行部人事のつまづきにより、野党第一党としての支持率も低迷することとなりました。 こうした中、9月初めに行われたと言われる自民党の世論調査により、いま解散をすれば、大きく議席を減じることはないとの判断に傾いたのは容易に想像できます。

 また、臨時国会を開けば、引き続き加計学園問題が蒸し返され、窮地に立ちかねないとの思惑もよぎったと考えられます。

 加えて、マスコミ取材によれば、会計検査院の報告で、加計学園については不適切という指摘が行われる可能性があるとの話もあり、このままでは国会での予算審議には耐えられないと踏んだとも考えられます。

 常識的には、衆参ともに改憲発議が可能な3分の2議席を確保し、来年秋に3期目の総裁選を控えた状態で、総理が解散を決断するとは考えにくいと言われていましたが、7月以降の政局を見ると、明らかに解散の兆候が現れていたと言えます。

◆背信解散
 都議選後には、自らが反省し、丁寧にかつ真摯に国民に説明責任を果たしていく、と総理は語り、さらには組閣した内閣を「仕事人内閣」と称したにもかかわらず、国会も開かず、大臣所信も表明せず、1本の法案審議もせずに冒頭解散を図るというのは、国民を愚弄していると言っても過言ではありません。

 もちろん、解散権は総理の専権事項であり、いくら野党が解散の大義を問うても、最終的にはその判断は国民が選挙でなすものであります。

 疑惑隠蔽・逃走解散、と発しても、議席を失ってしまうようでは何もなりません。

 解散となった以上、堂々と、受けて立つ!というのが野党の姿勢でなければならないことを肝に銘じ、取り組んで参ります。(了)

 

スタッフ日記「第2の故郷、奈良」
 数珠繰り、それは長崎出身の私には初めての体験でした。

 8月末のめずらしく少し涼しかった雨上がりの夕方、私は地蔵盆の数珠繰りに参加させていただき、地蔵盆は子供がすこやかに育つよう行われる行事で、村の入り口や辻といった要々におかれた地蔵をおまつりするものだということを教わりました。

 地域により様々なスタイルがあるそうですが、鐘の鳴る中、大きな数珠を20人ほどが車座になり、108回まわす―。手の中にある数珠の玉の木の滑らかさを感じ、永遠とも感じられるような時間の中、異界に迷い込んだような不思議な気分になりました。

 お神酒があげられ、提灯がさげられ、静かな明かりの中で祈りをささげる、それは大量の爆竹が一夜にして消費され、煙のたちこめる長崎の精霊流しとは対極にあるような行事ですが、どこか懐かしいような感じがしました。

 しかし、今や江戸時代に街道沿いの宿場町として栄えた町々も面影のみを残すだけで、街の中心は今や他の地域に取って代わられ、若者も流出してしまい、子供のためのお祭りにもかかわらず、ほとんど子供がいませんでした。

 文化を伝える人がいなくなれば、この地蔵盆も存続が危うくなってしまいます。大学で歴史を学ぶ者として、変わりゆくものの中でも価値あるものは守り、次へ伝えていかなければならないと感じました。

 奈良の優しく、ゆったりとした雰囲気は、異国情緒あふれ、華やかな長崎とは異なりますが、せっかく奈良に来たのですから、第2の故郷として、もっともっと奈良の文化を吸収していきたいです。(キファ)

第806号 衆議院解散!