第794号 独裁化と民進党の役割
18日、第193回国会(通常国会)が閉会しました。
◆「独裁」強める安倍政権
通常国会では、安倍政権の「独裁」化がより顕著になりました。
安倍総理はこれまで、特定秘密保護法や安保法といった、中央集権的で政府の権限を強める法を強引に成立させてきました。そして、先の国会では、国民の自由と権利を制約する恐れのある「共謀罪」法を、委員会審議を打ち切って採決するなど、政府与党の強引さが更に際立ちました。
政府が野党の主張に耳を傾けないばかりか、与党も強大な権限を有する官邸の意思を「忖度」した議会運営に終始し、国会が政府の単なる「下請け機関」と化していると言わざるを得ない状況です。
この流れの先に総理が見据えているのが憲法改正です。
総理の発言から9条改正にばかり注目が集まっていますが、自民党の憲法改正草案には、「緊急事態条項」の設立や「結社の自由の制限」などが含まれており、国民に対して統制的な憲法改正の発議が強引に行われる可能性もあります。
そして、森友学園、加計学園問題に対して、政府は真摯な説明を行うことなく、形式だけの内部調査とお詫びで幕を引こうとしています。
これもまた、情報統制と疑惑の揉み消しという、独裁的な手法そのものです。民進党はこうした幕引きを決して許さず、疑惑解明のための臨時国会を開くことを要求しています。
◆「民進党は反対だけ」か
支持率低下など、国民の政府への不信感は確かに存在するものの、民進党への支持が高まっていないのも事実です。
「民進党はなんでも反対ばかり」という厳しい声も頂いています。
民進党は今国会で政府が提出した67法案中52法案は国民のために必要で、内容も適切と考え、法案の疑問点は厳しく質(ただ)し、法律の運用段階で重要となる大臣答弁等を引き出す議論を重ね、賛成の立場で取り組みました。
一方、共謀罪法のように、国民生活を考える上で、どうしても許容できないものについては断固反対しました。
その上で、反対した15法案のうち、5本に対しては対案・別案を、4本については修正案を提出しています。また、民進党の提出法案は19本、継続となっている法案を含めると59本に及びます。さらに、天皇退位法のように、与野党が議論を重ねた結果の合意の上に法が成立した例もあります。
民進党は政府与党の足を引っ張るため、法案に「反対ばかりしている」という誤解が生じてしまう一因として、まず、党の発信力が弱いことは反省すべき点です。
また、対案の中身についても常に国民の感覚を捉え、きちんと反映できているのか、政策立案能力に関するたゆまぬ研鑽が引き続き必要だと考えます。
その上で、党ガバナンスの強化も含め、大胆な改革も必要です。
「独裁」化を強める安倍政権のもと、それにブレーキをかける野党第一党の役割と責任は以前にも増して大きくなっています。今の民進党に与えられた役割は、政権を厳しく監視し、さらには代わって政権を担える能力を有する組織へと再生することです。党選対委員長として、また一国会議員として、その責任を果たすために取り組んで参ります。(了)
スタッフ日記「10年前の返事」
梅雨の時節、庭先でさまざまに色づく紫陽花についつい足を止めてしまいます。
青色や赤みがかったピンク色と品種によっても違う色になるそうですが、その環境、特に土壌の酸性度に影響される紫陽花は、梅雨のカレンダーのように日々変わる事を楽しめます。
ちょうど10年前、大学進学のため生まれ育った土地、北海道を離れて東京へ。
あの時、連絡もなしに空港に駆け付けてくれた友人が、私の肩をたたいて「東京へ行っても変わるなよ」と。
私はその言葉に返事ができず、熱いものだけが胸に込み上げてきました。羽田空港までの1時間30分、私は自分の弱さを実感しながら、一度決めた覚悟を胸に、変わらずにブレないでやっていこうと、彼の言葉とあの瞬間を目に焼き付けました。東京での初めての梅雨は、紫陽花のように、複雑に心が変化していく中で過ごしたことを覚えています。
今度、その親友が結婚することになり、私は友人代表のスピーチをする事になりました。繋がりの強い小さな町で共に育った彼とは、保育園から20年来の付き合いで家族のような存在でもあり、嬉しさの中にもどこか気恥ずかしい気持ちもあります。
北海道を離れて10年。どうしても目の前の事に精一杯で、余裕がなくなりがちな毎日の中で、まだまだ私自身胸を張れるところにはありません。
しかし、環境が変化しても、変わらずにある想いがあります。あの時に投げ掛けられた言葉に、あの時教えてくれた大切な想いに対し、今度こそ、心からの言葉を返したいと思います。(特命係長)