第783号 「共謀罪」審議なぜ急ぐ
野党が反対する中、与党は一定の団体の犯罪を準備段階で罰することができる、「共謀罪」法案を強行的に審議入りさせました。
◆重要法案を後回しに
今国会では「共謀罪」法案よりも先に、2つの重要法案が提出されています。
1つは、性犯罪を厳罰化するための刑法改正です。
今まで、強姦罪や強制わいせつ罪を起訴するには、被害者の告訴が必要でした。
しかし、被害にあわれた方が、自分で告訴するかどうか決めなければならないというのは大きな精神的苦痛をを伴うものです。また、こうした負担から告訴をあきらめる場合も少なくなく、犯罪の抑止の観点からも問題が指摘されてきました。
そこで改正案では、被害者に配慮し、告訴がなくても起訴できるよう変更しています。 また、犯罪抑止のため、刑によっては懲役も引き上げられています。
性犯罪は被害者から切実な声が多く寄せられており、一刻も早い改正が求められますが、えん罪対策などの観点から議論は慎重に行わなければなりません。
もう1つは、我々の生活に密接に関係する民法改正で、国民生活や経済活動に大きな影響を与える財産法規定について約200項目に及ぶ改正が提出されています。
いずれも明治以来の大改正で、十分な時間を取った審議が求められます。
◆党利党略の国会運営
与党は「共謀罪」法案も含め、3法案とも今国会で成立させたいとしています。
しかし、「共謀罪」法案を急いで審議入りさせたため、それぞれの審議時間が圧縮され、課題や懸念が解明されないまま中途半端な審議に終わる可能性があります。
こうした動きを、刑法と民法の改正を「人質」にとっている、と考えることも可能です。
つまり、重要な2法案の審議時間確保を楯に野党にプレッシャーをかけることで、慎重意見の強い「共謀罪」の審議を短く切り上げ、答弁に不安のある金田法務大臣への追求を避けたいという考えです。
議会制民主主義の目的の一つは、異なる意見を持つ与野党で法案を徹底的に議論し、政策の精度を上げていくことにありますが、こうした強硬な国会運営は、それを無視した、国民不在の党利党略と断じざるをえません。
◆「質」で勝負する
「共謀罪」は、捜査機関の裁量しだいで、対象が無限に広がるおそれがあるだけでなく、政府説明にも疑問点があるなど、成立を急ぐべき法案ではありません。
一方、刑法・民法の改正は、それぞれ、長年の懸案事項であり、国民生活とも深く関わるもので、今国会で優先的に審議すべき法案です。
与党が数の力で強行する以上、野党は、質疑の「質」で勝負するほかありません。
私たち民進党は、今後の質疑の精度を上げ、議論が拡散しないよう、金田大臣に対し、共謀罪法案についての答弁を求める40項目の事柄をまとめました。
審議時間は限られますが、「共謀罪」法案については矛盾点を指摘し、廃案に追い込むとともに、刑法・民法は、国民が納得する形での改正となるよう、質して参ります。(了)
スタッフ日記「気になる視線」
私はプロデューサーとしてアイドルを育てています。
といっても、それはゲームの話で、アイドルの卵をトップアイドルに育てるゲームのファンなのです。好きが高じて大学では、同じゲームを愛好する人達のサークルで副会長を務めています。
先日秘書の特命係長さんに、入っているサークルのことをしつこく聞かれたので、そのゲームの紹介をしました。
始めは興味津々だったのですが、キャラクターの絵を見せるやいなや、「えー…」と、それまでの様子を一転させ、渋い顔をして、私を冷ややかな目で見ました。
長い間注いできた愛が、あっけなく先入観に負けた瞬間でした。私は「アニメ・ゲームだから」という理由だけで内容すらも見てくれないという悔しい現実に直面しました。これが偏見というものでしょう。
しかし、一方で春から大学に入った新入生がサークルの扉を叩いてくれるという嬉しい現実もあります。
ふだんは1人でプレイすることが多いゲームです。しかし、人が集まれば、情報交換だけでなく、そのゲームに対する思いのたけを発信したり、共有することもできます。
新入生に対し、私がそうしたサークルの利点を説明すると、皆一様に目を輝かせました。
この2つの相反する反応を見て、私の中にある理想が芽生えてきました。それはサークルの活動を通して「オタク趣味」の魅力を発信し、仲間を増やして、偏見を払拭しようというものです。
そう決めたからには冷ややかな視線など気にしている暇はありません。がんばって突き進みます!(砂派吏)