第771号 生活者視点の経済政策を

2017年1月14日 (土) ─

 日本経済はトランプ効果を受けて円安株高の状態です。しかし、本格的な経済成長のためには、GDPの6割を占め、景気のカギを握る個人消費を回復させる生活者視点の経済対策が必要です。

◆低迷の原因は「消費増税」
 2014年4月の消費税8%への引き上げ以降、個人消費は落ち込み続けています。

 総務省によると、2人以上の世帯の実質消費支出は、14年、15年でそれぞれ前年比-2.9%、-2.3%、最新の16年11月のデータでも、15年の同月比で-1.5%となっています。

 日本生活協同組合連合会の調査では、消費税の3%増税よって1世帯当たり平均で年間7万円台の増税となっており、これが個人消費の落ち込みを招いていると考えられます。

 また、消費税は、低所得層ほど負担が増す「逆進性」を持っています。

 現在、非正規の雇用や、高齢世帯が増加し、生活保護受給世帯が過去最高を更新し続けています。低所得層が増加し、格差が拡大しているにもかかわらず、増税の悪影響は低所得層に集中しています。

◆引き下げと再分配の強化
 こうした現状を踏まえ、個人消費を回復させ、景気を回復基調に乗せるためには、私は消費税を5%に引き下げることが必要であると考えます。

 財政が厳しい中での消費税引き下げについては、無責任という批判もあるかと思います。しかし、税の「再分配」機能を強化する形で税制改革を行えば、代替財源の確保は十分に可能です。

 例えば、現在の社会保険料控除制度は、所得が多い人ほど恩恵を多く受ける制度となっていますが、これでは再分配機能としての役割を果たしていません。

 そこで、消費税率の引き下げと同時に、社会保険料控除を見直して、税の再分配機能を強化すれば、高所得層には影響を及ぼすものの、低所得層への影響は、消費税を増税した場合に比べて小さいものにとどまります。

 また現在、通常所得に対する限界税率は45%ですが、株の運用などの金融所得に対しては20%と低く抑えられています。

 株式運用を行うのは比較的余裕のある層が多いことを考えると、逆進性の高い消費税を引き下げ、代わりに金融所得に対する課税を強化することは、再分配機能となり、中間層から低所得層の消費を刺激する効果があると考えられます。

 一方、国の予算編成にも手を加える余地があります。

 現在は、当初予算で国債費を中心に経費を多めに計上して歳出を膨らませ、それを補正予算の財源とする予算の「無駄積み」が毎年行われていますが、これも徹底的に洗い直しを進めるべきです。

◆生活者の視点から
 以上の施策を組み合わせることで、消費税増税分の税収は十分確保可能です。

 本来はこうした無駄を削減し、個人の生活に影響の少ない改革を着実に行った上で、さらにどうしても社会保障費が不足するという場合に限り、消費税の増税は検討をされるべきものです。

 景気の回復、税制、そして、持続可能な財政。消費税の増税ありきではなく、生活者の目線からいかに経済成長と財政健全化を両立するかという原点に立ち戻った検討が必要だと考えます。(了)

 

スタッフ日記「渦巻」
 年末年始の休みに淡路島に行きました。まぶち会バスツアーの下見も入れて1か月半の間で3回。お気に入りの地になりました。

 今回は南淡へ渦潮とハンバーガー目当ての旅です。

 ハンバーガーは以前日本一になり、ガイドブックにも必ず掲載されているもので、長蛇の列でしたが甘い玉ねぎがとろけそうな美味しさで並んだ甲斐がありました。

 渦潮は船で鳴門大橋の真下、鳴門海峡へ。ちょうど太平洋と瀬戸内海が隣接する海峡で大小の渦が海のあちこちに出来ては消えていました。

 宇宙と地形の奇跡、力強く巻き込んで一つになる様子は迫力があり、引き込まれそうになりました。瀬戸内海の干潮、満潮時に太平洋との潮位の差からそれぞれ逆向きに1日2回渦を巻くそうです。

 海面の下では大きなトルネードが海底まで達して、プランクトンなどの栄養分を拡散するのだそうで、魚が美味しいのも納得でした。

 海に境目ができ、小さい滝のように海水が落ちるのも見ものでしたが、その手前のまるで油が浮いているようなまったりした水面にも驚きました。海は波立つものという概念があるため異様な光景でした。

 また海水の一定でない流れはテレビでみた津波が到達する前と似ている気がしました。

 渦の迫力、壮大さを真近で見て、勢いある気持ちで新年を迎えることができました。

 来たる代議士の選挙にはこの渦潮のごとく心を一つに、強く勝利への道を邁進したいと思いました。

 跡に潮の花が咲くように、勝利の花を咲かせる為に。(葉っぱちゃん)

第771号 生活者視点の経済政策を