第767号 理念なきカジノ法案
6日、衆議院でカジノを含むIR(統合型リゾート)施設の整備を推進する法案(カジノ法案)が、自民党・日本維新の会などの賛成多数で可決されました。民進党を含む野党は慎重審議を求めましたが、わずか6時間弱の審議で参議院に送られました。
◆理念さえ曖昧なままの審議
法案の成立を目指す際には、通常、新たな法制度を作る「必要性」と「許容性(=社会的に許されるのか)」が吟味されなければなりません。
今回、カジノ法案に反対するメディアや野党からの指摘は、ギャンブル依存症、マネーロンダリング(資金洗浄)、反社会的勢力の介入など、「許容性」に関する問題点にばかり偏っています。
確かにこれらは大きな問題です。しかし、この法案最大の問題点は、「必要性」の観点、つまり、観光経済の活性化を掲げているにもかかわらず、経済政策として、成長戦略に資する理念や論拠が納得できる形で示されていないところにあります。
事実、これまでの審議で、カジノが成長戦略に資するか、という基本的な議論は全く行われていません。これでは、外国人観光客が来て国内にカネを落とすだろう、という安易な考えで、根拠も理念も曖昧なまま、数の力で法案を通したと言われても仕方のない状況です。
こうした審議の進め方は、民主主義にとって大きなマイナスとなる行為で、憤りを禁じざるをえません。
◆なぜ急ぐのか
安倍政権がこれほど審議を急ぐのは、以下の2つの理由が考えられます。
【①改憲との関係】
安倍政権の至上命題である憲法改正のためには、衆参両院で「3分の2」の多数が必要です。 今回、日本維新の会が進めるカジノ法案を強引な運営で成立させた裏には、改憲に積極的な日本維新の会と協力関係を築き、連立与党でも改憲に慎重といわれている公明党をけん制する安倍政権のねらいが見て取れます。
その意味で今回の採決は、改憲に向けた一つの試金石の意味を持っていると言えます。
【②アベノミクスの限界】
トランプ氏が次期アメリカ大統領に当選し、TPPは暗礁に乗り上げました。また、構造改革・規制改革も一向に進んでいないうえ、法人税収などの落ち込みによって、今年度の税収見込みは1.9兆円減になるとの報道もされています。
このようにアベノミクスの限界が見える中、カジノという目新しいネタを持ち出すことで、場当たり的に、海外投資家の受けを狙う戦略を取っているという見方もできます。
現在、私は党の選対委員長として全国を回っていますが、地域の経済や暮らしが疲弊しているとの切実な声に加え、今回の法案の拙速な審議に対しての疑問の声も多く頂いています。
こうした声の背景には、理念さえ曖昧なまま強引に審議を進めるやり方や、その背後にある安倍政権の意図、さらに場当たり的な経済外交政策への「違和感」があるのだと思います。
そのような「違和感」を国政の場に届け、政権をただすため、しっかりと役割を果たしてまいります。(了)
スタッフ日記「夏は氷、冬こそ氷!?」
寒さが厳しくなってきました。
先日友人に誘われ、氷室神社に行きました。奈良に住んでいながら、恥ずかしい話ですが、訪れたのは初めてでした。
ホームページによると氷室神社は、平城遷都と同じ年の和銅3年(710年)、元明天皇の勅命により現在の春日山に作られ、諸国に製氷技術を教えたことが始まりとされているそうです。
翌年の和銅4年には「献氷の勅祭」が行われ、それ以降、4月1日から9月30日の間、寒い時期に池で凍らせ、氷室に蓄えていた氷を平城宮に献上していたということです。
色々な技術が発達して、家でも簡単に氷が作れるようになった今日でも、その勅祭に由来する「献氷祭」は続いています。
現在は製氷業者と販売業者の業績成就のお祭りとなっているため、日にちは繁忙期を避けた5月1日になっているようですが、鯛や鯉を封じ込めた大きな氷柱が奉納されたり、舞楽が奉納されるなど、伝統はしっかりと息づいています。
また、毎月1日には氷の器の中にロウソクを灯す氷献灯が行われています。氷の器が溶けてだんだんと形を変えながら参道や回廊を照らす様子は、写真で見ても幻想的です。
また、氷といえばカキ氷ですが、奈良は氷室神社のおかげもあり、奈良は「聖地」となっているそうで、2014年からは「ひむろしらゆき祭」というカキ氷の祭典も行われています。最近カキ氷がブームになっていて、市内でもガイドブックを片手に長蛇の列を作っているお店があります。私も暖かくなったら一度行ってみようかなと思っています。(まーちゃん)