第745号 参院選の結果を受けて
10日、参院選の投開票が行われ、民進党は改選議席を大幅に下回る32議席に留まり、奈良県でも議席を失う厳しい結果となりました。
◆奈良選挙戦を振り返って
奈良選挙区では、前川きよしげ氏が、野党統一候補として立候補し、多くの票を頂きましたが、残念ながら惜敗しました。 選挙戦で訴えたのは、国民の日々の生活に密着した問題です。
その一番の柱は年金の問題です。現在、安倍政権が進める年金積立金の株式投資により、昨年度だけでも約5兆円の損失が発生していると見られています。年金積立金の過度な株式流用を見直し、年金改革を行ってこれ以上の年金切り下げを防ぐ必要があることを丁寧にお話ししました。
格差の拡大も見過ごせない問題として強く訴えました。今、子どもの6人に1人が貧困状態にあります。また、非正規雇用の増大により、奨学金の返済に行き詰まり、自己破産に追い込まれる社会人も増えています。
こうした事態に歯止めをかけるため、労働法制の再構築で正規雇用で働く人を増やし、返さなくてもよい給付型奨学金の創設など、子どもの教育支援を積極的に行うなどの政策を伝えました。
「年金が不安だ」、「子育て支援を充実させてほしい」という切実な声とともに、こうした訴えに真剣に耳を傾けてくださる方も多く、奈良市では62155票を頂きました。
しかし、全国的に厳しかった党の支持率、54.7%という低投票率のなかでの組織力に勝る与党候補の票固め、おおさか維新候補に一定の票が流れたことなどから、結果に結び付けることができませんでした。
◆真の野党結集を目指す
全国的には、自民党が55議席、公明党が14議席、おおさか維新が7議席、民進党が32議席、共産党が6議席という結果となりました。(11日5時現在)与党と、同じく改憲勢力であるおおさか維新、非改選の改憲派無所属議員を加えると、憲法改正に必要な3分の2を超えることになります。
これを受けて、安倍政権が選挙での争点化を避けてきた憲法改正を強引に進める可能性は排除できません。昨年の安保法制の二の舞とならないよう注視して参ります。
一方で、3年前の参院選では、民主党候補は1人区で全敗しましたが、今回民進党は7人が当選し、野党系候補を含めると11勝21敗となりました。今年4月の北海道補選、そして今回と、野党統一候補として候補者選定を進めれば、1人区でも与党候補と接戦に持ち込める体制が作れるとわかったのは大きな収穫です。
今後は、年内にも予想される衆議院の解散総選挙に向けて、安倍政権に対峙し、政権選択の受け皿となり得るように、さらなる野党結集を進めて参ります。そして、9月には民進党となってはじめての代表選が行われる予定です。道の険しさは今回の結果が物語っていますが、年金などの社会保障や、子育て支援、今後の消費税の扱いなどの議論を戦わせ、「国民とともに進む」党として信頼を頂けるよう、全力を尽くして参ります。(了)