第709号 TPP国会を開け!

2015年10月17日 (土) ─

 5日、米国で行われたTPP協定交渉に関する閣僚級会合において、参加各国が大筋で合意に至ったとの声明が発表されました。

◆「守るべき」は守れたのか
 TPPは、環太平洋諸国の間で自由貿易の促進など高いレベルの経済連携を推進するための多国間協定で、今回の合意を受け、「各国の国民に利益をもたらす(中略) バランスの取れた協定」との閣僚声明が出されました。

 しかし、その具体的な内容を見ると、我が国の国益に資する「バランスの取れた」合意と言えるかは疑問です。

 例えば農業分野では、単に農産品の自由貿易を推進するだけではなく、食糧自給率の確保や、国内農業の維持発展への配慮も必要です。そうした意味で衆参農林水産委員会では、米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖等を「重要5品目」と位置付け、関税撤廃を認めないこと等を決議していました。

 ところが、今回の合意には、米国からの輸入米7万トンの別枠輸入を認め、牛肉や豚肉等の食肉の関税を大幅に引き下げるなど、日本の農林水産業へ極めて大きな打撃となり得る内容が含まれています。

 私は、環太平洋地域で自由な貿易を進め、経済連携を深めるべきだとは考えますが、同時に国内農業の今後の展望と長期的な政策を示さず、単に無制約に自由化を推し進めることは控えるべきだと考えます。

◆臨時国会での議論を
 このように、農水分野を中心に、TPPが我が国に与える影響について政府は未だ十分な説明をしていません。また、米国でも次期大統領の有力候補とされるヒラリー氏が反対を表明するなど、TPPをめぐる情勢は流動的です。

 上述の疑問に答えるためにも、政府は早期にTPPを集中的に審議する臨時国会を開催すべきです。しかし、党内調整や議論で守勢に回るのを恐れてか、与党内では年内の臨時国会召集を見送る動きも出ています。

 民主党としては、憲法53条に規定された、衆参いずれかで総議員4分の1以上が要求すれば内閣は臨時国会を召集しなければならないという規定も念頭において、政府与党に国会の開催とTPP審議を要求して参ります。

 これまで政府は、外交交渉であるとの理由で、TPPの交渉状況を殆ど明らかにせず、国会での実質的な審議を行ってきませんでした。

 今後、TPPは「交渉(=政府間の外交交渉)」から「批准(=議会における審議)」のプロセスへと舞台を移します。しかし、外交上の合意は、合意書レベルでは曖昧な表現も多く、付属文書や交渉担当官の間の覚書によって解釈が変わってくるにもかかわらず、公開されるのはこれらの一部だけにとどまります。民主党は他の野党と共同で、既に「TPP等通商交渉情報提供促進法案」を国会に提出していますが、政府は、国会論戦や国民的議論のたたき台となる、詳細な合意内容や交渉過程の情報開示を速やかに行うべきです。

 TPPは安保法制に続き、国の方向性を決める極めて重要な問題です。十分な情報の提供と審議時間の確保を求め、論戦を挑んで参ります。(了)

 

スタッフ日記「写真撮影部隊便り」
 「ヨイヨイヨイヨイ、ヨイトコマカセッ!」力強い掛け声に押し出され、太鼓台が暴れます。

 今年も奈良市の各地で秋祭りが行われ、太鼓台巡行と担ぎ合いがありました。勿論ハードトレ-ニーの馬淵も、日頃鍛えている身体をフルに活かせる場ということで、今年はなんと太鼓台8基を合計9回も担ぎ、その勇姿を、写真撮影部隊の私と特命係長が、まるで運動会で活躍する我が子を追いかけるように撮影しました(写真はフェイスブックやツイッターにアップされていますのでぜひご覧ください)。

 しかし、担ぎ棒を手で頭上高く持ち上げる「差し上げ」を担ぎ手になる度に行ったせいで、さすがの代議士も筋肉がパンパンになってしまいました。

 その状態を「僧帽筋と三角筋から上腕三頭筋がキツイ…」とビルダーらしく特命係長に訴えたそうなのですが、トレーニングに疎い特命係長には、筋肉が張っているということしか伝わらなかったようです。

 さてその太鼓台ですが、奈良市では、すぐ隣の町でも形が全然違っていて、興味深いです。

 屋根の部分に正方形の布団を逆ピラミッド型に積んだ、いわゆる「ふとん太鼓」と呼ばれるもの、神社をそのまま担いでいるような形のもの、だんじりそっくりの形のもの、と見ていて飽きることはありません。同じ地域でここまで多様な太鼓台をもっているのは珍しいそうなので、これからも伝統を守り、地元一丸となって盛り上げ続けて欲しいと思います。

 また、掛け声の「よいとこまかせ」は370年以上続いている御幸行事からきていて、「よい世の中になりますように」という意味なのだそうです。よりよい世の中を望むのは今も昔も同じですね。(お松)

第709号 TPP国会を開け!