第676号 ODA政策転換に潜む懸念

2015年2月14日 (土) ─

 政府は10日、途上国に対するODA(政府開発援助)について、その基本指針を定めたODA大綱を12年ぶりに見直し、他国軍への支援も視野に入れた「開発協力大綱」(新ODA大綱)を閣議決定しました。

◆新ODA大綱とは
 新ODA開発協力大綱では、ODAの目的として「国益」への貢献が明記され、経済成長などで国民所得が向上し、従来のODAの対象から外れた国に対しても外交上の重要性などに応じて支援できるようにすることや、民間企業との連携強化などが記載されています。そして、軍が関係する分野への支援については、「開発協力の軍事的用途や国際紛争助長への使用を回避する」という原則は維持しつつも、「災害救助など非軍事目的の開発協力に相手国の軍などが関係する場合には、その実質的意義に着目し、個別具体的に検討する」としています。

 つまり、災害復旧の際の物資提供など「非軍事目的」であれば、他国の軍が関係する活動へのODA支援が可能になるということです。岸田外務大臣は、「新大綱のもと、国際社会の平和と安定および、繁栄によりいっそう貢献していく。」と述べており、安倍政権の所謂「積極的平和主義」路線の一環としての見直しと言えます。

◆新ODA大綱に潜む危険性
 今後、この新大綱に基づきODA政策を進めていく際には、様々なリスクが考えられます。政府は、他国の軍に提供した物資や資金が軍事目的に転用されないか監視を継続する方針を示しています。しかし、通常、軍隊の活動は最高機密事項です。いったん他国の軍に渡った物資や資金の流れを正確に把握することは容易ではありません。「非軍事目的」で提供したはずのものが、いつのまにか軍事目的に使用されてしまうおそれが十分にあり得ます。このようなことが仮に現実となれば、日本が他国の軍隊に軍事的援助を行っているとの誤解を招きかねず、外交上、難しい立場に立たされかねません。また、軍に関係する分野への支援について、明確な基準が存在しない点も問題です。新大綱では「実質的意義に着目し、個別具体的に検討する」という抽象的な文言となっているため、政府の裁量が極めて広く、なし崩し的に軍事目的に近い分野での軍への援助が行われてしまう危険性があるのです。

◆右傾化する政権に対峙する
 ODAを、国の利益になるよう戦略的活用を図っていくこと自体は必要です。しかし、今回の見直しは、今まで我が国が平和主義の大原則のもと行ってきたODAの姿を一変させかねず、長期的に見て日本の国益にとってマイナスになりかねません。安倍政権は、今国会で自衛隊の海外派遣を可能にする恒久法など、安保関連の法案の成立を図るとしており、ODA大綱の見直しも、こうした政権の右傾化の流れに沿うものです。

 外交安全保障上の問題は、取り扱いを誤ると長期にわたり国益を害する重要な問題であり、とりわけ慎重な議論が必要で、拙速な判断は避けるべきです。集団的自衛権に関する安保法制の整備の問題とともに、ODA政策の見直しも含め、政府の方針を厳しくただしてまいります。(了)

 

スタッフ日記「僕はポップコン」
 週末の朝は息子の学校の上履き洗いで一日が始まります。なんでこんなに汚れるんだ!と思うくらい、毎回洗いがいのある上履きを持って帰ってきます。以前テレビ番組で、白いものについた汚れを洗い上げる秘訣として、洗濯粉洗剤を水で練ったものを摺りこんでおくと良いと言っていたので、前の晩から上履きに洗剤をぬっておき、翌朝ブラシでゴシゴシ洗います。ゴムの部分もブラシで洗うと白が蘇ってそれは気持ちいいんです。

 先週末も朝から上履き洗いをして、綺麗になってきてルンルンしていると、娘が起きて来て、「あれ、なんでママ上履き洗ってんの?」母「泰士の上履きだよー♪」娘「えーっ、私は学校に入って直ぐから、自分で洗いなさいってママに言われて自分で洗ってたよ!なんで自分で洗わせないの!」と言われてしまいました。思えば、娘の時は自分で洗わせてたな・・・。

 母「それはあなたが女の子だし、将来お母さんになるからでしょ」と言うと、娘「それは関係ない、自分のことは自分でやらせないとダメじゃん」と返されました。どちらが親かというくらいのご意見です。無意識ですが、子育ての中に女の子だからとか、男の子だからという思いがあったと思います。家庭内でのジェンダーフリー論争です(笑)。

 娘「ママが甘やかすから泰士マザコンになっちゃうよ!ね?」息子「僕はね~、ポップコンだよ、いつも飛び跳ねてるから!」だって。突っ込みすぎる姉とボケ担当の弟。これが男女の特性というものでしょうか(笑)。(チョロ)

第676号 ODA政策転換に潜む懸念