第639号 電力利権に切り込む
14日、衆経産委で、電気事業法改正案の質疑に立ちました。
◆なぜ競争が進まないのか
今回の法改正は、民主党政権で先鞭をつけた電力システム改革の一環で、現在、東電や関電などの大手電力会社にしか認められていない家庭等への電力の販売を自由化するものです。実施時期は2年後の予定ですが、これにより、各家庭で、携帯電話のように料金メニューなどを見て、新規参入の会社を含め、どの会社から電気を買うかを選べるようになる見込みです。
実は、電力の小売自由化は、2000年以降、段階的に実施され、工場やオフィスなど、すでに電力量の6割が自由化されています。しかし、自由化後10年以上が過ぎているにもかかわらず、新規参入者のシェアは3.5%に過ぎません。なぜ競争が進んでこなかったのか。その背景に大手電力会社の利権があります。
◆2つの「電力利権」
電力販売に新規参入するには、売るための電気を、安く安定的に仕入れる必要があります。そこで注目されるのが、自治体が経営する水力発電(公営水力)と、電源開発株式会社(電発)がもつ石炭火力です。この2つの電源は、電力取引所価格の半値以下で、ほぼ全量が大手電力会社に売電されており、電力会社の「利権」となっています。
公営水力については、昨年6月の質疑で、法律上、一般競争入札が原則とされているにもかからず、東京都を除き全ての自治体が、随意契約で大手電力会社に売電している実態を明らかにしました。さらに、その背景には、大手電力会社に売電しないと自治体に交付金が払われない仕組み(交付規則)が存在していることを指摘し、経産大臣から「見直し検討」の答弁を引き出し、質疑から1か月後に制度改正が行われました。
一方、今回の質疑で重点的に扱ったのが、電発のもつ石炭火力です。電発は、2004年に民営化される際、改革のため「重要な役割」を担うこととされ、発電した電気を新規参入者にも売るための交渉を大手電力会社と行っていますが、ほとんど進んでいません。その理由は、電発と大手電力会社の契約がほぼ無期限とされている上、既得権を手放したくない大手電力会社が電源を市場に出すこと(電発電源の切り出し)に後ろ向きなためです。
政府は、電力会社の「自主的取組み」に期待するという立場ですが、経営者の目からみれば、経営が厳しい中、自ら利益を削る決断は、株主代表訴訟のリスクもあり難しいのが現実です。したがって、政府の側で、電源の切り出し義務化等の「制度的措置」を講じることが不可欠です。また、電力会社は、原発再稼動が行われなければ電源の切り出しには応じられないとの立場ですが、それは利権を守るための言い訳にすぎません。以上の点を指摘し、茂木経産大臣からは、「今の電力会社が使っている理由は、何年か後には使えなくなる」、「再稼動とは直接関係しない」との重要な答弁を得ました。
利権を温存したままの自由化では、競争は進みません。真の改革か、見せかけの改革かは、利権に切り込めるか否かにかかっています。現実に改革を前に進めるために、利権に切り込み、ボトルネックを取り除く作業を続けていきます。(了)
スタッフ日記「私の鹿児島戦記」
「どうした!?ホーリー!!」鹿児島市内の閑静な住宅地で、振り返ったお松さんの声がこだましました。
事務所総がかりで臨んだ鹿児島補選。私も平日は国会、週末は鹿児島というパターンで、3週にわたり鹿児島に入りました。
事件は選挙最終日、土曜日の朝におきました。
前日、万歩計の計測で3万歩を歩いた私の足どりは想像以上に重く、足も上がっていなかったようです。
両手に旗など大物の荷物を持ち、イメージカラーのピンクの出で立ちで街を練り歩いていたキテレツな私ですが、信号のない横断歩道で立ち往生していると、重い足取りを見かねたのか、親切にも車が止まってくれました。
先行くお松さんに後れをとっていた私は「チャーンス!」とばかりに思いっきり駆け出しました。そこに罠が…。
なんと、歩道と道路の間に謎の段差があったのです。
気づいた時はすでに遅し。即座にスローモーションに切り替わった私の脳裏では、「上がらない足と前に出ない足。むう、足には期待できぬ。」ととっさに会議が開催され、結果として、旗を杖のように地面についたものの、それで勢いが収まるはずもなく、右ひじからアスファルトにダイブする羽目に。
恐らく、一番驚いたのは道を譲ってくれた車のドライバーの方ではないでしょうか。目の前で、旗を持ったピンクの人が、宙を舞い、地面にダイブし、車道の真ん中で倒れている。しかも1人で勝手に。「???」、戸惑ったにちがいありません。
ズボンが破れ、流血した私は、しかし、お松さん始め仲間達に助けられ、行く先々の商店で肘を冷やす氷を頂き、無事、夜8時まで3万歩を歩き切りました。
みんなの愛に支えられ、自分は生きている。そんなことを実感させてくれた私の鹿児島補選でした。(ホーリー)