第599号 迫る消費増税判断 

2013年8月3日 (土) ─

 28日、政府は、来年4月に予定されている消費税率引き上げについて、10月中旬にも召集される臨時国会前に最終判断する見通しを示しました。 
法律には、消費増税について、「経済状況を好転させることを条件として実施」、「経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる」という景気条項があり、これをめぐって、今後、3つのシナリオが考えられます。

◆想定される3つのシナリオ 
 1つめは、これまでの機動的な財政政策や駆け込み需要、株価の上昇等を踏まえ、景況感の改善を確認して、予定通り消費税率引き上げを行うシナリオです。この場合、財政再建への意欲を内外に示せる一方で、景気には確実にマイナスの影響が生じます。過去の例を見ると、消費税導入後の91年と、税率が5% に上がった97年を境に景気は後退しました。しかも、当時と今回の増税を比較すると、当時の消費税率引き上げは、併せて所得税や法人税などの減税を行い、消費税以外の税を含む税制全体では減税となっていました。一方、今回の消費税率引き上げは、純増税となり、景気が大幅に後退する恐れがあります。 

 2つめは、増税凍結です。来年4月の税率8%への税率引き上げを凍結した上、増税時期の延期や、引き上げ率を毎年1%ずつに刻みながら、なだらかに増税していくなどの措置を行うことが考えられます。この場合、「国際公約違反だ」との批判が想定されますが、仮に、G20などの首脳会議での発言を「国際公約」と定義するのであれば、過去の多くの「国際公約」は実現していないことになります。つまり、「国際公約」は、消費増税における経済状況の判断を甘くする理由にはならないということです。ただし、増税を凍結するとした場合、財政当局の抵抗は凄まじいものになることは間違いありません。 

 3つめは、増税と同時に、大胆な財政出動を伴う低所得者対策を行うなどのバラマキ政策を打つシナリオです。政府にとって、これが最も現実的かつ実施容易な解かもしれませんが、その場合、消費税は社会保障財源の確保手段にならず、増税の大義は吹き飛ぶことになります。

◆私見:毎年1%ずつの引上げ 
 消費税率を予定通り引き上げた場合、税率を8%に引き上げる来年度は、日本経済に2つの逆風が吹くことになります。一つは、消費税引き上げ前の駆け込み需要の反動減であり、もう一つは経済を牽引してきた復興需要が縮小することです。確かに、税率引き上げ後の反動減については、一定期間を過ぎると元の水準にまで消費は戻ってくることになりますが、ここで重要なのは、一時的な景気の落ち込みが、停滞から脱却に向けて動いている日本経済を再度、停滞に陥れるリスクがあるということです。 

 私は、経済人としての立場から、景気腰折れの懸念に配慮しつつ、社会保障財源を確保していくためには、税率引き上げのスケジュールを見直し、税率を毎年1%ずつなだらかに引き上げていく方法が、現時点でベターな選択と考えます。税率5%にした97年の財政再建の失敗を繰り返さないために、政府は、社会保障のための増税という大義を守りつつ、消費増税判断を柔軟に行うべきと考えます。(了)

 

スタッフ日記「日曜日の過ごし方」 

 うちの息子は落ち着きなく走り回っては、よく転んでいます。そんな息子に走り方の基礎を習得させようと思い、毎週日曜日の早朝、代々木公園で行われる“ かけっこ教室”に通い始めました。

 息子は自由気ままに振舞えない習い事が大嫌いです。そこをなんとか楽しく出来ないかなと思ったのと、早朝の空気の良さと、公園という開放感から、私も柔軟体操から一緒にやることにしました。

 しかし、これまでの運動不足がたたって身体がコチコチに堅くってもう大変。息子に「ママへーん、マネしないでよ~」と言われる始末です。でも、空気のいいところで、身体を動かしたり、走ったりする事が本当に気持ち良くて、今では日曜の朝を公園で過ごすのが家族の楽しみとなっています。

 ところで、日曜日の公園って本当に面白いです。

 毎週同じベンチで朝からずっと日光浴している40代位のバリバリロックンローラーや、大きな声で演劇の練習に夢中な若者たち、集団で踊りの練習をしていたり、ギターを引いてフォークソングを歌っているチームや、アフリカの楽器で盛り上がっている人達がいたり、ひたすらマラソンをしている人などなど、いろんな人が集まって来ていて、人間観察しているだけでも面白いのです。

 我が家も今では、キャンプ用のイスやテーブルを持って行って、何もなければ日曜の半分を公園で過ごす程になりました。暑い日が続きますが、自然の中はやっぱり気持ちがいい、たくさんの発見がありますよ!(チョロ)

第599号 迫る消費増税判断