第591号 「バブル再来」はあるか
日本銀行は、白川総裁から黒田新総裁の体制となり、4月4日に大胆な金融緩和策を打ち出しました。金融政策により株高円安がもたらされ、企業の増益やデパートの売り上げ回復など明るいニュースが聞こえるようになってきています。一方で、「輸入価格の上昇が家計への打撃になる」、「株高や地価の上昇によりバブル景気が再来する」など、様々な批判が黒田新体制による金融政策に対しなされています。今回は、1980年代のバブル景気当時の日本経済と現在の状況の比較を通じて、バブル景気再来の可能性について考えます。
◆株価や地価の状況
1980年代のバブル景気の特徴として、株や土地に対する投機が挙げられます。株価は、日経平均が1989年12月29日に3万8915円の最高値となり、土地については、東京都区内の地価が、1985年3月からピークの1987年9月まで、わずか2年半の間に3倍弱上昇しました。一方、現在の日経平均はバブル当時の4割程度、地価については当時の1/4弱の水準です。このような状況でのバブル再来批判は時期尚早である上に、バブル景気の要因として指摘される、当時の金融自由化の進展を背景とした金融機関の行動の積極化や、金融機関のリスク管理の遅れと自己資本比率規制の導入、地価上昇を加速する税制等は、当時特有の事情であり、現在の状況はそれと大きく異なります。
◆原油価格の急落
1985年のプラザ合意以降、急速に円高が進み、1986年に日本は円高不況に直面することになります。円高不況の中で、なぜバブル景気が発生したのか、その理由の一つとして、原油価格の急落が挙げられます。1986年、石油価格は急落し、1バレル10ドル台と、それまでの1/3近くの水準になりました。日本は資源輸入国であり、原油価格の急落は、日本経済全体にプラス効果をもたらします。その効果は、当時のGDP比で、2%近いプラス効果であったとの評価があります。
一方、現状に目を向ければ、世界金融危機で一端急落した原油価格は、その後、急速に持ち直し、90~110ドルの間で推移しています。現段階の原油価格を見る限り、日本経済にバブル景気をもたらす要因にはならないと考えられます。
◆財政政策との関係
財政政策については、当時の円高不況に対処するために、1987年5月に緊急経済対策が取りまとめられました。規模は減税を含め6兆円(対GDP比1.7%)の大規模なものでした。加えて、88年から89年にかけて、市町村に1億円ずつ配分した「ふるさと創生事業」や消費税導入前の所得税減税など、大胆な財政政策がとられていました。
一方、現状では、黒田新総裁も記者会見の中で財政再建の必要性に言及しており、かつての規模のような財政政策が行われている訳ではありません。
以上のように、現在は、原油価格は安定し、また、財政政策についても、必ずしも緩和的なスタンスとはなっていない中で、デフレを受けて日銀が大胆な金融政策を行っています。このようなバブル景気当時とのマクロ的環境の違いを踏まえれば、バブル景気が再来する可能性は小さいと考えます。(了)
スタッフ日記「ヒラメとカレイ」
ようやく過ごしやすい季節になりました。国会事務所の窓から見下ろす首相官邸の周りも今が盛りとばかりにサツキが花をつけています。
ふとサツキとツツジの違いが気になり、調べてみました。思いつく違いは大きさくらいのものだったからです。するとサツキは正式には「サツキツツジ」という、ツツジの一種であることがわかりました。同じ種類なら似ていても無理はありません。
ついでに、ヒラメとカレイも調べてみました。すると、どちらもカレイ目に属する仲間なのだということがわかりました。ただ「左ヒラメに右カレイ」は必ずしも当てはまらないようで、左に目のあるヌマガレイという種類も存在するのだとか。
そんな中、ある歯医者さんのホームページで驚くべき記述を見つけました。「ヒラメは、口が裂け怖い顔をしている。一方、カレイはおちょぼ口でやさしい顔である。」ずいぶん主観的です。私から見ればどちらもおちょぼ口に見えますし、魚のやさしさなど判別のしようがありません。並べてくれるならまだしも、1匹だけだと、きっと見分けられません。…奥が深いなあ。
さて、今度は代議士です。国会対応の様子などから、永田町近辺では「コワモテ」というイメージが強くありますが、一方で、奈良で支持者の方に囲まれていたり、駅頭活動中に子供たちとハイタッチをする際は穏やかでやさしげな顔をしています。
皆さんには代議士の顔、どのように映っていますか?私はどちらかといえば、「ヒラメ」顔に見えているのですが、「カレイ顔」の方がいいなぁ…。(シズ)