第565号 「中道」とは何か
29日、臨時国会が開会し、衆議院本会議で野田総理が所信表明演説をしました。本来は参議院本会議でも同様に所信表明演説が行われますが、今回は先の通常国会での問責決議の可決を理由にした野党側の拒否により、これはかないませんでした。総理の所信表明演説が片方の院でしか行われないという事態は前代未聞です。
◆明日への責任
「明日の安心、明日への責任」と題された30分あまりの演説の中で、総理は「明日への責任」という言葉を20回使い、野田内閣及び、全国会議員が取り組むべき課題、果たすべき役割について理解を求めました。その具体的な項目については、経済の再生、被災地の復興と福島の再生、社会保障の安定、安全保障、そして一票の較差と衆・参の定数是正があげられました。特に経済の再生については全体の約4分の1を費やし、その決意を明らかにしました。
また、その「明日への責任」を果たすために掲げたのが「中庸」の姿勢です。「複雑に絡み合った糸を一つひとつ解きほぐし、今と未来、どちらにも誠実であるために、言葉を尽くして、進むべき道を見出していく。共に見出した進むべき道を、一歩一歩、粘り強く、着実に進んでいく。私たちの背負う明日への責任を果たす道は、中庸を旨として、意見や利害の対立を乗り越えて行く先にしか見出せません」として、政局優先で、国民の生活に直結する特例公債法案ですら政治的な駆け引きの材料になってしまう現在の状況をけん制し、ともに開かれた議論をするよう呼びかけました。
その上で、山積している課題について、「まだ道半ばの仕事を投げ出すわけにはいきません」「やるべき事を、きちんとやり抜こう」と述べています。これを早期解散に否定的、延命を図っている、と取る向きもありますが、先に掲げた5つについては待ったなしで手立てを講じなければならない項目ばかりであるのも事実です。
◆「中道」とは何か
さて、総理が口にした「中庸」という言葉は、「中道」と言い換えられます。民主党は結党以来、1998年4月27日の党綱領において「民主中道」の道を創造する、と謳い、「行き過ぎた国家主義的な保守や弱肉強食の新自由主義、偏った急進主義やポピュリズム、そしてイデオロギーの呪縛から脱皮できない旧革新とも一線を画し、日本社会のど真ん中を代表して改革の道を歩む」と訴えてきました。
31日の代表質問で仙谷副代表はこのことに触れ、「総理が所信で表明した方針は、民主党が今後も推進しようとする改革志向の『民主中道』路線をまさに具現化したものと考える」と述べ、民主党のあるべき姿が「中道」である事を確認しました。対して総理は「確かに民主党は結党以来、民主中道を掲げ、改革路線にまい進してきた。そして、今日において立ち位置が改革思考の民主中道にあるべきとの議員の主張にも共鳴する」と答弁し、これを全面的に肯定しました。
まさに民主党が目指すべき「中道」とは何か、また、国民の心に寄り添う政策とは何であるのか、政調会長代理としてきちんと向き合い、具体化して参ります。(了)
スタッフ日記「分刻みリターンズ」
代議士が政調会長代理を拝命してひと月ほど経ちました。
正式名称は「政策調査会長代理」で、政策調査会は読んで字のごとく、党の政策的な事柄を議論し、決定する機関です。とはいうものの、その会長代理がどんな仕事をしているのか、というのはなかなか想像が付きにくいかもしれません。
具体的に現在は、次期衆議院総選挙に向けたマニフェスト作りと、党としてどういったメッセージを発してゆくのかを、多くの方からお話を伺ったり、党内での聞き取りなどをしながら日々検討しています。しかも、性質上、ある特定の分野に限った話ではなく、その範囲は多岐に渡る、というよりも、ほぼ全体を網羅しなければなりません。
自然、スケジュールはぱつんぱつんになります。文字通りの分刻みです。いったん事務所に顔を出したと思ったら、次に振り返ったときには「じゃあ、行って来る!」と出て行ってしまう、そんなこともしばしばです。
あれ、こんなことあったな?と思ったら、副大臣、大臣、総理補佐官の頃も確かそんな感じだったような気がします。
「さすがに、疲れるな。」そんな風に代議士は言いますが、顔は笑っています。どう見ても疲れている人の顔ではありません。そうでした、代議士はターミネーターなのでした。しかもビジネスマン時代は「することがないのがイヤで」休日にも仕事をしていたくらいだったのですから、もう、その先は…言うまでもありません。
そうしたわけで、奈良に落ち着いて帰ることのできる日が少し減ってしまうかもしれませんが、ノンストップ・まぶちがまた戻ってきました。(シズ)