第547号 成長へひた走れ
先日、米国商工会議所で講演の機会がありました。米国産業界は今後の政局の行方と、日本の政治の方向性について極めて高い興味を示していました。ちょうど消費税法案採決を終えたタイミングでもあり、参加者も今後の政局が気がかりな様子でした。
政局の行方は不透明ですが、いずれにしろ三党合意で消費増税法案が成立したら、法案が前提としている経済状況の好転のための施策に全力を尽くす必要があるとの持論を述べました。
◆経済を好転させるには?
この法案により、三党は経済状況の好転、具体的に言えばGDP成長率実質2%、名目3%の実現をどのように行うか、という重い十字架を背負うこととなりました。増税が始まるまでの2年弱でしなければならないことは何でしょうか?
その第一は金融政策の実行だと考えます。経済状況を好転させるためには、財政政策(公共事業などの財政出動)と併せて金融政策の実行を両方行わなくてはなりません。長期のデフレ脱却を実現するには、まずインフレ目標を現行の1%から2%へと引き上げること、また、さらなる量的緩和を実行することなど、マネタリーベースを上げる金融政策を実行することが重要です。また、これらは中央銀行である日銀の政策なので、確実に実行するためには、総裁の解任権などを政府に付与する日銀法の改正などが必要となります。とにかくはじめにデフレ脱却対策を実行することが肝心なのです。
その上で、人口減少社会でも成長が出来るよう労働市場政策を積極的に行う必要があります。人口減少社会では当然、生産年齢人口が減少します。スウェーデンなどでは、GDPの約2.5%の予算を経済政策としての積極的労働市場政策に割り当てるなどしていますが、我が国ではまだ取り組みが十分ではありません。
◆エンジンはエネルギー経済
このように金融・財政政策の実行と並行して労働市場政策を導入したうえで、成長の核となるエンジンを戦略的に決定する必要があります。政府は新成長戦略として409項目の実施政策を掲げていますが、少し手を広げすぎの印象を受けます。求められているのは、現時点でどの施策に選択と集中を行うのかという政治的な判断です。
私は昨年の代表選挙以来、成長戦略のエンジンは「エネルギー経済」に尽きると訴えてきました。スマートメーター、スマートグリッド(電力機器に電力需給を調整する機能を持たせ、省エネを目指す新しい電力網のこと)をはじめとするデマンドレスポンス(電力の需要と供給を徹底的に管理する)政策を家庭の生活関連サービス産業や、すそ野の広い住宅産業にまで展開しながら、原子力依存度を下げ、再生可能エネルギー政策を進めてゆく必要があります。同時に、発送電分離を進め、列島縦断の直流送電網、さらには列島縦断の天然ガスパイプラインを敷くなどのインフラ整備まで幅広いエネルギー経済政策で内需の拡大を図らなくてはなりません。
こうした施策の構築・実施に全力で取り組んで参ります。 (了)
スタッフ日記「都忘れ」
6、7年前、梅干しを作る容器を手軽なものに替えました。
そこで今まで使っていたかめをどうしようかと思った時、底に穴をあけて花を植えようと思い立ちました。
「塩分が沁み込んでいるから無理だよ」と言う主人に頼んで穴を空けて貰い、花はどうしようかなと思ったときに、ふと目にしたパンフレットに都忘れの苗を見つけ、注文したところ、数日して綾紫、桃、白と札の付いた苗が到着しました。
早速1株ずつ植え、手入れをすると、しばらくして花が咲きました。
しかし、翌年はなぜか姿を見せてくれません。やはり塩分のせいか、と思いつつ、諦めきれなくて、その次の年に土を替え、もう一度都忘れを植えたところ、2年続けて花が咲き、ほっと一安心。でも、あとは2年続いて雲隠れならぬ冬眠の様子。
そして、今年は気候のせいかチューリップももう一つ。梅も言い訳のように1、2輪の花が咲くばかり。花桃は紅白とも葉っぱばかりで、「あぁ今年はお花はダメか…」と思っていた矢先、例のかめの雑草を取り除くと、都忘れの小さなつぼみが3鉢目を覚ましていました。
特別手もかけずとも花が咲く、と聞いてはいましたが、どうやら本当だったようです。
承久の乱に失敗し、佐渡に流された順徳院が可憐なこの花を見て、都を忘れようと「都忘れ」と名付けたという話もあり、花ことばは「強い意志」だそうです。
花ことばに添えて、都ならぬ故郷からぶれることのない強い意志で代議士がお仕事をして下さるように、小さなエールを送る事にします。( セ )