第529号 さらなるインフレ目標を

2012年2月25日 (土) ─

 昨年の代表選挙でも、15年にわたるデフレ脱却こそ我が国経済の再生の道筋であることを強く訴えました。増税よりも先にとるべき政策が歳出削減であることは言わずもがなですが、経済発展のための金融緩和とインフレ目標の設定も重要であるとの自論は今も変わることはありません。1月末、アメリカFRB(連邦準備制度理事会)がインフレ目標2%を打ち出しています。そんな中、頑なにインフレ目標の設定を拒んできた日銀が、2月14日、実質的にインフレ目標設定へと政策転換を図りました。

◆「理解」から「目途」へ 
 日銀法二条に定められた「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する」ことを日銀は金融政策の理念としています。今までは、その理念に基づき、金融政策決定会合で、各政策委員が「このくらいの物価上昇率であれば物価が安定しているといえるだろう」と判断する数値を集約して発表していました。日銀の表現を使うならば「中長期的にみて物価が安定していると各政策委員が理解する物価上昇率の範囲を示していた」という説明となるこの「物価安定の理解」は、表現もわかりにくいと言われていました。また、金融政策としても日銀がインフレを志向するのか否かが不透明でした。 

 今回、これを「目途」に変えました。少なくとも「理解」よりは「目途」のほうが政策的意思を示すものであることは間違いありません。 

 この「目途」は「当面は1%」としていますが、市場は即座に反転し、円安・株高となり、好感しました。国際社会向けにはFRBと同様の「ゴール」という言葉を用いてさらに強い意志を示しているかのようですが、一方、国内向けの「目途」はまだあいまいなものと言わざるを得ません。例えば、FRBの2%、ECB(欧州中央銀行)の2%に近い2%未満、BOE(イングランド銀行)の2%±1%などと比べると、日銀の掲げる1%目途は低い数値です。日本がこのように他の先進国より低い水準を掲げることは、ひいては円高容認のシグナルとも受け止められかねません。円高抑止のためには他の主要国と同じか、それを上回る目標値を設定する必要があると考えます。

◆さらなる提言へ 
 今回の日銀の決定を受けて、私はこれではまだまだ不十分だと言う政策提言を、主催する「円高・欧州危機等対応研究会」で打ち出しました。ここでは、目標値の設定を「2%超」としています。さらに、日銀が10兆円の追加金融緩和も同時に発表していますが、3月の期末を迎える企業の決算を考えるとより一層の株高、円安誘導が必要となります。それを導くためにも、かつてはなかった二カ月連続となる3月の追加連続金融緩和を提言いたしました。これらにより、日銀がデフレファイターとしての強い意志を示すことになると提言で述べています。提言に書いた日銀の新時代となる3月の量的緩和をQE-EPOCH(新時代量的緩和)と称しました。これらによって、健全な金融政策が実行され、本来の経済活動に必要な円安と株高さらには安定した経済成長を導くマイルドなインフレが政策的に導かれることを願っています。(了)

 

スタッフ日記「年賀状をもらえるように…」
 私は2月から国会の事務所でインターンに来ている大学生です。

 恥ずかしい話、毎年長期休みにはほぼ確実に生活リズムが崩れてしまい、どうにかしなければならないと思っていた所でした。幸い今年の春休みはたいへん健康的なリズムを刻むことができており、今のところそれを維持できている自分にびっくりしています。 

 最初、事務所に来た時にはもっと様々な驚きがありました。その中で特に印象が強かったのは年賀状がたくさん届いていたことです。 

 私は今年、年賀状を1通もいただけませんでした。というのも理由は明らかで、昨年・一昨年と返事を全く返していないからです。国会議員の場合は公選法上の制限があり年賀状を返すことが難しいということを聞きましたが、とはいえ私は一般人なので、年賀状を2年連続で返さないとさすがに誰も送ってくれなくなるんだなぁ、と身をもって学びました。でも実は今までさして思う所はなかったのですが、事務所でたくさんの年賀状を見て衝撃を覚え、私も年賀状をたくさんもらえるような人間になりたいと強く思いました。 

 というのも年賀状の数というのは地道に人間関係を築いてきた証しであって、たくさん頂くという事はそれだけ信頼が厚いからだろうと考えたからです。私も様々な人と話して自分の見識を広め、皆から頼りにされる人になりたい、出会った人を大切にできる人間になりたい、そう思ったのです。 

 そこで、今年は自分の野望のための第一歩として、親戚や友人に年賀状を送るということを目標に一年がんばっていきたいと思います。   (インフル・ナカナカ)

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