第500号 特別立法債
震災復興のための復興債の財源の確保や償還期間(返済するための期間)について、復興策本部における基本方針が29日、決まりました。
財政は基本的に歳入が足りなくなったときには特例法を制定して赤字国債を発行することで対処しますが、今回の復興債のように、ある事柄に対して特別に法律を作って発行する「特別立法債」は今回が初めてではありません。
90年度、湾岸戦争の際に多国籍軍の平和回復活動に対して90億ドルの資金支援を行いましたが、これは臨時特別公債を発行したものでした。償還期間は5年間で法人税と石油税などを臨時増税して対応しましたが、当時はバブル景気で、法人税収も高く、90年度の赤字国債発行も0だった為、ほとんど景気に影響はありませんでした。
94年の阪神淡路大震災対応のための震災特例公債では、償還財源の指定もされず、償還期間も定められませんでした。
さらに、94~96年度は97年度の消費税増税に先駆けての先行減税を行うために減税特例公債を発行しました。このときの償還期間は20年と設定されましたが、償還の財源は消費税の増税によって得られる増収を当て込んだものでした。
このように通常の特別立法による公債の発行では財源や償還期間が定められましたが、震災における公債発行は償還財源も償還期間も指定されませんでした。
現在、通常の建設国債も赤字国債も償還期間は60年です。建設国債は公共投資に使われるので、将来世代にも恩恵があるとして、負担の公平性から60年の償還ルールが定められました。
内閣府推計の東日本大震災における被害額は16.9兆円で、阪神淡路大震災の当時の兵庫県推計のおよそ1.7倍ということから、今回必要な復興費は「少なくとも19兆円」といわれています。
今回の復興事業に関しては、当然、公共事業分は建設国債でまかなわれますが、それ以外の物については復興債を充てるため、財源の確保をどうするのか、という議論になっています。しかし、内閣府の推計でも民間の建物などに10兆円規模の被害が出ています。もちろんこういったものは建設国債の対象の事業ではありませんが、建築物ですから、将来世代にまでに効用が及ぶものであることは疑う余地もありません。建設国債の60年償還と同じように、長期の償還期限を設定すること自体に矛盾は生じません。むしろ、阪神淡路のときのように償還の財源も期間も定めないことで、景気へのショックを和らげて、なるべく復興に支障をきたさないようにするべきではないでしょうか。
復興基本法第8条では、復興債について「償還の道筋を明らかにする」よう求めているため、償還財源の原資を定めるべき、という意見もありますが、私は建設国債や赤字国債と同様に償還の計画を国会に提出する規定を復興債の特別法に位置づけることで十分であると考えます。
以前、赤字国債は10年が償還期限でしたが、借換債(国債を返済するために新たに発行する国債)の発行を認め、60年償還としてきた歴史があります。それ自体は問題ですが、景気の拡大を図らなければならない復興のときに償還の期間を短く定め、増税を前提とした議論を行うのは改めなければならないと心から思います。(了)
スタッフ日記「他を思いやること」
今日でインターン3日目を迎えました。2日間過ごした中で思ったことは、少ない人数で事務所を切り盛りしているので、スタッフの方達がとにかく忙しいということです。中と外の出入りは激しく、電話は一日中鳴り響いています。ここまで働くのは、代議士を支えていこうという強い思いによるところが大きいと思います。それでも、手がまわらないところはボランティアの方達が支えています。
そしてそんな中でも、お昼の時は集まって、代議士の挨拶を合図に一緒に食事をし、インターン生のことを気遣って下さいます。忙しさを理由に他をおろそかにしないことが事務所全体の信念であるようです。
私は、忙しかったり、心に余裕がないと、あからさまに疲れた顔をしたり、メールを怠ったりしてしまいます。逆に、心に余裕があると、他人のことを思いやることが出来ます。
少し前に、東京近郊の島に遊びに行きました。そこでは時間がゆっくりと流れているせいか、普段より明るく大きな声でバスの運転手さんに挨拶をするなど、こんな私でも他人のことをじっくり想い、接することが出来ました。私にとって、こうした気持ちを維持するのは難しいことですが、できるだけいつでも他を思いやった行動を心がけて行きたいと思いました。
余談ですが、島に行った際に、天候に恵まれなかったものの、雨が止んだ後の晴れ間に泳ぐことができました。ぼーっとしながら海に浮かんでいると、小学生の頃、遠泳をするために林海学校で過ごした数日間を思い出し、童心に返ることが出来ました。島で癒しの時間を過ごしました。(みかん)