物価高の夏
夏休みに入っての世間で言うところの三連休は、まぶち事務所にとっては掻き入れ時。とにかく朝から地元周り。熱中症になろうかという猛暑の中、クラクラしながら町を、村を連日歩く。
物価高による世間の生活への不安は、相当に大きい。正直、原油高に関しては投機マネーの流入も含めてこのようなバブルの状態がそう長く続くとは思わない。確かにBRICsの台頭など需給バランスが大きく崩れだしていることも要因の一つだが、マーケットの規模が小さい原油先物に流入しているマネーの影響は当然に大きい。
日銀に質しても、石油関連商品や生鮮品などを除いたコアCPIは決してインフレ状態を示すものではない。日銀の「当面の金融政策運営について」の直近のコメントでも、インフレの「圧力」については「世界的に」「一段と高まっている」と認識しながらも現行のわが国の状況は「消費者のインフレ予想」に「注意が必要」と言っているのみだ。
消費者のインフレ懸念をむしろ注意すべき、マインドで消費が冷え込んではならないとの意思の表れだ。
相変わらず「インフレ絶対悪」に立脚する日銀は、もちろん足許の状況に対してなんら新たな金融政策を発動する気配は無い。こういう、「なにもしない」政策(状態)が、実は日本経済にもっとも悪影響を及ぼしていると僕は思っている。
地元周りで家庭の主婦の嘆きを聞きながら、うーん、こうした声を聞いてまた単純に「物価下げろ」とでも言いながらわけのわからん政策を持ち出す輩が出なければいいがなぁ、と正直思った。
僕自身は、市場メカニズムを「絶対」だとは言わないが、資本主義社会の中では、民主的に信頼をおけるものだと思っている。その意味では、漁業の燃油高補償も一時的な緊急対策であって本来的には水産市場のメカニズムが機能していないことが問題である。ここを正すことが最優先だ。
長期間のデフレによって、いつの間にか価格変動ということに国民が鈍感になってしまっている。それは、消費者のみならず市場流通関係者まで含めてだ。平気で「値段を上げれば客が買わなくなる」などということを声高に言い出す。
本来は、ものが無ければ値が上がり、それでも欲しければ客は買う。客が買わなければ品があふれ、値は下がる。この当たり前のメカニズムを、忘れ、いや歪めてしまっているのが今の日本社会だ。
原油高、物価高に対して、またぞろへんてこりんな政策を打ち出さなければいいがなぁ(どこが、誰がとは言ってないけど...)と僕なりに構えている。